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CSCDスペシャルインタビュー

「お遍路」と「ブータン」の共通点

佐藤紗良(文学研究科博士課程前期1年 超域イノベーション博士課程プログラム)

「お遍路」と「ブータン」の共通点

 CSCDに「お遍路」を体験する授業があるのは、ご存知でしょうか?森栗茂一教授の「交流システム実践論」という授業です。授業の目的には「人は限界まで歩くことによって、風土に出合い、人に出会う。一緒に歩く仲間と語り合う。犬は歩いても棒にしかあたらないが、人が歩けばコミュニケーションに当たる。そして、自分の内面、悩みを突破する力、可能性に出合う。己の能力、研究知識を活かして社会を変えていく力を得る。勇気を得る。」とあります。面白そうですよね!
 今回は、この授業の受講生である佐藤さんにお話をお聞きしました。「お遍路」と「ブータン」の共通点についてのお話もあり、とても興味深いインタビューになりました。

森栗 茂一(もりくり しげかず)

CSCD教授。専門は、都市民俗学、コミュニティコミュニケーション。
民俗学を出発点としつつ、各地で住民恊働型交通まちづくりに関わる(土木工学の領域以外の専門家)。観光ツーリズム、復興住宅コミュニティづくり、住民の恊働による合意形成を通して、全国を寅さんのように渡り歩いている。

スタッフ紹介


ー どうして、お遍路に行こうと思ったんですか?


佐藤:CSCDのシラバスを見て、いいなと思って。もともと歩くのが好きだということもありますし、小学生くらいの時に読んだ本にお遍路の話が出てきて、お遍路って何かすごく深いなと思って興味を持っていたということもあります。


ー 実際行ってみると、どのような授業だったのですか?


佐藤:私が参加したときは、参加者が30人以上いたと思います。歩く速さも人によって違うので、数人のグループに分かれて歩きました。最初はゆっくり歩いていたのですが、途中で、私、意外と足が強いなと気付いて、二日目、三日目は結構前のほうをひょいひょい歩いていました。毎日、違う人とグループになって歩いていましたね。それも楽しかったです。中国人留学生のグループに混ぜてもらった日は、中国語を教わったりしながら歩きました。


ー いいですね、そういうの。


佐藤:この時のメンバーが、CSCDの他の授業で一緒になったりしましたね。


ー いいですね。ところでお遍路って、一日何時間くらい歩くのですか?


佐藤:朝 10時半くらいから5時くらいまで歩きました。昼食で1時間くらい休憩があったとしても、5時間くらいは歩いたかな?森栗先生もおしゃべりしながら楽しそうに歩いていましたよ。結構急な山道で、上ったり下ったり、いい運動になってとても楽しかったです。歩く快感もありますけれど、景色もすごくよかったですね。やっぱり自分の足で歩かないと、地形とかは分からないなと思いました。いきなり視界が開けるんですよ、木と木の間から。ぱあっと景色が見える。あの時間はすごくいいですね。


ー それは、すごく気持ちがいいでしょうね。


佐藤:そうなんですよ!あと、とてもよかったのが、地元の方々が私たちのようなお遍路をしている人に『お接待』をして下さるんです。それがすごく印象に残っています。外に机と椅子が置いてあって、ゆで玉子とかおにぎりとかおはぎとかを、お茶と一緒に一人ひとりに出して下さる。そこに「今日はどこに行ってきたの?明日はどこに行くの?」という会話があるんです。すごくあたたかい気持ちになりました。いい風習だなと。私は超域イノベーション博士課程(※1)に所属していて、先日、海外フィールド・スタディ(※2)でブータンを訪問しました。ブータンで「あ、これ、お遍路の時に感じたことと共通しているな」と思ったりしましたよ。


ー なるほど。佐藤さんの中でブータンとお遍路がどう繋がったのか、そのあたりをもう少し詳しく聞かせてください。


佐藤:ブータンもすごくあたたかいんですよ、人の感じが。声をかけたらにっこりと笑顔を返してくれるあたたかさがあります。海外旅行に行くと、ニヤニヤ笑いかけてくる人には警戒心が湧いたりしますけど、ブータンには全く、そういう「不安」のようなものが無いんですよ。Big Smileっていう表現がありますよね。ブータンに行って、あれってこういう笑顔のことを言うんだなと思いました。一緒に行った学生とも、「笑顔が違う」って話していたんです。私たちも影響されて、笑顔がどんどんマイルドになっていきました。何故そうなのかは分からないですけど。時間の流れ方の違いなのかな。ブータンで出会った人とお遍路で出会った人の笑顔は通じるものがありましたね。
さとうさんブータン.jpg
 お遍路には、色々なところに人を気遣う気持ちが溢れているんです。例えば、お遍路の時には「杖」が必要なんですよ。杖がないと本当にしんどいんです。でもお遍路の道中、色々なところに「使ってください」って書いた杖置場があって、使い終わったら戻せるようになっているんです。そうやって何か、「次に繋げていく」ようなものが、色々なところにありました。


ー 大学でそういう経験ができるのはいいですね。


佐藤:そうですね。この授業はずっと続けてほしいなと思います。このお遍路のときのメンバーでFacebookグループをつくっていて、授業が終わってからも交流が続いているんです。石橋から梅田まで歩く企画や、六甲山を歩く企画を立てたりして、よく集まっているんですよ。友達や後輩に「この授業、いいよ!」とすすめたくなる授業ですね。

(※1)超域イノベーション博士課程プログラム:俯瞰力と独創力を備えた優秀な学生を、広く産学官にわたってグローバルに活躍するリーダーへと導くため、平成23年度より開始された専門分野の枠を超えた博士課程前期・後期一貫の学位プログラム。超域イノベーションはその中でもオールラウンド型(オールラウンドリーダー養成)として、
国内外の政財官学界で活躍しグローバル社会を牽引するトップリーダーを養成するための、大学の叡智を結集した、
人文・社会科学、生命科学、理学・工学の専門分野を統合した学位プログラムと位置づけられている。


(※2)海外フィールド・スタディ:超域イノベーション博士課程プログラムの海外実習。履修生は、自分たちの日常とは異なる世界において、他者と対峙し、異なる価値観と出会うことを通して、自らの価値観を相対化し、世界の多様性を理解する。