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CSCDスペシャル活動レポート

声なき声を聞くために ワークショップデザイナーの活躍

WSDカフェ「医療職教育の現場で~ITコミュニケーション世代と取り組む対人技能」

声なき声を聞くために ワークショップデザイナーの活躍

8月17日アートエリアB1にて、ワークショップデザイナー(以下、WSD)・カフェ「医療職教育の現場で~ITコミュニケーション世代と取り組む対人技能」を実施し、大阪行岡医療大学医療学部の、山本貴啓さんにお話を伺いました。山本さんは、大阪大学のWSD育成プログラムの修了生でもあります。

学生からの悩み相談をきっかけに、ワークショップデザイナーに

コミュニケーションの手段をIT(information technology)に頼る機会が急増した現代。医師、看護師など医療従事者を目指す学生たちに将来最も必要とされるであろう"face to face"のコミュニケーションに、彼ら自身が戸惑いや課題を感じているケースは少なくありません。人付き合いに関する学生の相談を受けるうちに、山本さんは学生がコミュニケーションの訓練をするための場作りを学びたいと思うようになり、2011年にWSD育成プログラムを受講。そこで学んだことを、積極的に学生の学びの場に活かすようになったそうです。

例えば学生をグループに分け、ある学習範囲を項目ごとに区切って担当を決め、講師から習うのではなく学生が自主的に学び、そしてそれを他のグループに「教える」ことで、知識の定着を促すという授業の形態を提案。これにより講師から一方的に教えられるだけでなく、学生間で「学び合う」機会が新たにつくられたのです。

会話でなく、対話

上記の職場(大学)での取り組みの紹介の後は、「こんな病院・医療従事者はイヤだ」というテーマで、ラボカフェの参加者の皆さん同士で話し合いをします。様々な意見が出ましたが、その意見の逆を返せば、私達が思い描く理想の病院像、またそこで働く医療従事者への期待が浮かび上がってきます。「本来、医療従事者の仕事は患者さんの病気そのものを治すことだが、治療の技術だけでなく、患者の声を聞きその方に寄り添ったり不安を和らげたりするコミュニケーション能力が現場の人材には求められていると思う」、という意見も多く出ました。

話し出すと皆さんそれぞれに、医療に対する想いや願いがあるようですが、山本さんにお聞きすると現状は、現場にそのような利用者の「声なき声」が届きにくい状況にあるのも事実だそうです。「利用者の声なき声をいかに拾い上げるかが、医療現場での今後の課題になるでしょうし、私は医療職教育に携わるWSDとして、学生の内に『対話』を沢山することがその訓練になるのではないかと考えています。」と山本さん。医療職教育の現場において、対話の機会を増やすことの重要性に触れていらっしゃいました。


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医療職教育の現場での、ワークショップデザイナーの役割

現在、山本さんは対話型観賞(絵画など美術作品を観賞し、素直な感想や意見を出しあうことで正解のない対話を実現する鑑賞方法)や演劇ワークショップの手法を積極的に学内に取り入れ、様々な人が集う対話の場所をご自分で生み出されています。またワークショップを対象や目的にあわせて自由にデザインするという考え方が、医療職教育に携わるご自身の取り組みにも活きているように見えました。前項でレポートしたような利用者の声なき声が、(良い意味で)敷居の低い、開かれた医療現場に寄せられ、医療職教育にさらにフィードバックされる、そんな場作りを目指す医療教育従事者としての、またワークショップデザイナーとしての強い意思が、今回のお話の中で伝わってきました。

(レポート:中谷和代/大阪大学CSCD 特任研究員)


ワークショップデザイナー(WSD)育成プログラム

WSD_PR.jpg本プログラムは青山学院大学と大阪大学の共同事業であり、「コミュニケーションの場作りの専門家」を養成する講座として、2008年にスタートしました。受講生は約3ヶ月の間に演習、研修、実習を通してワークショップの理論と実践を体系的に学ぶことができます。
現在、阪大だけでも200名近くの修了生を社会に輩出しており、修了生の職種は企業の社員や教育系、NPO職員、自営業など実に様々です。なお、本プログラムの次回の募集は2014年度第1期(通期11期、開講期間2014年4月〜7月)の予定です。


2013年度以前の情報や、新規受講生の募集情報は以下のサイトに掲載されます。
CSCDの公式サイト
大阪大学WSD育成プログラム公式サイト