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CSCDスペシャルインタビュー

自分自身の内面をほぐす大きなきっかけ

猪口絢子(法学部国際公共政策学科3回生)

自分自身の内面をほぐす大きなきっかけ

「大学に入学してから急激に世界が広がった」という法学部国際公共学科の猪口さん。様々なバックグラウンドを持った人と話す機会が増えたなかで、CSCDの授業を受講した理由とはなんだったのでしょうか?

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ー 最初に、猪口さんのご専門について教えていただけますか?


私は国際公共政策学科に所属していて、日本におけるいわゆる部落問題、とりわけ(旧)同和地区と人権問題ついて勉強したいと思っています。そしてそれを、海外の同様の問題とつなげて考えられるようになることが目標です。祖父母や両親が小学校の教員だったこともあり、幼い頃から出生地区や人種、性別による差別について自然に考える環境でした。保育園の頃から本棚に『世界がもし100人の村だったら』があったり、父が買ってくれた全部肌色のクレヨンがあったりしました。特に肌色クレヨンで遊んだことは、幼いときの思い出として強く心の中に残っています。私が知っている薄橙色の「肌色」以外にも、「肌色」って本当に沢山あるんだな、と。そして、将来はそういう問題に立ち向かえるような仕事がしたいと思い、この道を選んだのです。


ー CSCDでは、どのような授業を受けたのですか?


色々とりましたが、一番印象的だったのは池田光穂先生の「ヒューマンコミュニケーション」ですね。


ヒューマンコミュニケーション(2013年度は第1学期/木曜5限に開講)

コミュニケーションメディアがどのように発達しようとも、人間のコミュニケーションは対人コミュニケーションがまず基本にあります。ヒューマンコミュニケーションとそれに関連する臨床コミュニケーション関連授業は、この人間の基本的なコミュニケーションの様式にまつわるさまざまな事柄について、教員の変化に富んだ事例の提示と受講生どうしの共同討議により運営しています。(シラバスより抜粋)

シラバスへ


CSCDには、認知症の方のコミュニケーションに関する授業があったことがきっかけで、興味を持ちました。私の祖母が認知症なんです。私は一人暮らしをしているのですが、家族と離れて暮らすことで余計に家族の問題を大切に考えたいと思うようになり、CSCDの授業をとることをきっかけに一度きちんと考えたいと思ったんです。あと、人と話す授業に参加したかった、ということがありますね。私は大学に入学してから、急激に世界が広がったと感じていました。様々なバックグラウンドを持った人と話す機会が増えたという喜びがある一方で、他の誰でもない私の発言として責任が求められる場面も増えました。私は器用な方ではないので、そういう状況で頑張ってはいたのですが、一方で迷いも大きくなっていたんですよね。しばらくは、気軽に話すのも面倒な気持ちになることもあったくらいで...。


ーえっ、そんなことがあったのですか。今の猪口さんからは想像できないですね。


そうですか?(笑)自分自身の思考の方向性が定まっていないような気がして、そういう状況で発言する自分が無責任だと感じて...。結構悩みましたね。それで、CSCDの授業に行ったら新しい視点が得られるかなと思ったんです。


ー そうなんですね。「ヒューマンコミュニケーション」の授業は、受けてみていかがでしたか。


最初にオレンジショップに行ったとき、一面オレンジの絨毯で、なんだこれは?とまず思いましたよ(笑)。グループ毎に思い思いに座って、「コミュニケーションとは何か」というのをいろいろな題材を使って議論するんです。この前は4コマ漫画の『コボちゃん』を言葉で表現する、というのをやりました。これが意外と難しいんですよね。他にも、これもすごく印象的だったんですけど、ある有名な人の一人芝居のDVDを観たりもしました。役者の人が、舞台の上でずっと一人で「右手動け」、「右足動け」、「こっちじゃない」とか、自分で自分に言いながら身体を動かすんです。そこから、「脳から体への伝達はコミュニケーションと言えるのか」というテーマで議論したりしました。「指示している人は脳ではなくて、実際は脳よりも上のものは存在するのか?」とか。

実際に受けてみたら、想像以上にゆったりした授業でした! なんでも言いたいことを言える雰囲気で、とっても楽しかったです。「ヒューマンコミュニケーション」の授業を受けたことは、自分自身の内面をほぐす大きなきっかけになりました。本当に受けてよかったと思っています。

これは私の個人的な感想なのですが、「ヒューマンコミュニケーション」の最大の特徴は一貫性が見えないことかなと。何の授業だったっけと思ってよく考えたら「ああ、確かにここにはコミュニケーションが含まれているな」と、やっとわかるという感じなんです。それがすごく面白い。


ー 専門の授業とはまた違った授業だったんですね。


全然違います。何を言ってもいいっていう雰囲気があって、実際に正解がないことを議論するわけですし。思考実験みたいな感じですね。新鮮でした。喋らないといけない。でも、喋らないといけないという強迫観念で喋っているわけではない。受講している人も様々で、社会人から大学に入って来た方とか、大学院生も色々な専門の方がいるし。面白い人が沢山いました。

私としては、本当に「ヒューマンコミュニケーション」で助かりました。自分の考えを口に出すというのが少し苦手な時期があったので。今は少し、話すこともまとまってきたかな、と思います。


ー 自分自身のバランスをとるのに、CSCD授業を活用できたという感じ?


そうですね、そんな感じです。


ー 猪口さんの今後について、教えてください。


「これが私です」というようなものを持てるようになったら面白いな、と思います。他の人と違うところがあったほうが面白い、と思うところが私にはあるので、それを強みとして生かしていきたいなと思います。今、自分を見直して、もうちょっとはみ出してもいいんじゃないかな、と思っているところです。


ーありがとうございました。

(聞き手:森川優子/大阪大学CSCD特任研究員)