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CSCDスペシャル活動レポート

懐かしさの未来

懐かしさの未来

知デリでは、異なる分野で活躍するゲストによる対談を通じて、新しい価値観を探究・発信しています。2013年夏の知デリ学生企画のテーマは「懐かしさ」でした。学生スタッフによるレポートをお届けします。

――「懐かしさ」とは一体何なのか。そして私たちは「懐かしさ」とどう付き合うべきなのか。―― このような素朴な疑問から今回の企画がスタートしました。そして7月11日、大阪大学豊中キャンパスカルチエ(Quartier)にて、ゲストのお二人と70名もの来場者の方々とともに、私たちの「懐かしさ」を巡る旅が始まりました。

wajimayusuke.pngまずは、ゲストのお一人である輪島裕介さんのプレゼンテーション。輪島さんは演歌の周辺に作り上げられた"古き良き日本"イメージの正体を解き明かした研究者として、昔懐かしい映像を用いながら研究内容を分かりやすく語ってくださいました。その際、軽快でユーモラスな語り口で来場者の笑いを誘い、会場が明るい雰囲気に包まれました。

kuwakuboryota.png次に、もう一方のゲストのクワクボリョウタさんによるプレゼンテーション。クワクボさんは、ご自身の作品の中でも、とりわけ影を用いた≪10番目の感傷(点・線・面)≫がどこかノスタルジックな情景を創出していると評判を受けていることについて、この予期せぬ現象の原因をご自分で考察・分析していらっしゃいました。作品がスクリーンに映し出されたとき、幻想的な影の動きに驚嘆の声をもらす方が大勢いらっしゃいました。(お二人の詳しいプロフィールについては、こちらをご覧ください)

そして始まった対談では、「何を懐かしいと感じるのか」「なぜ懐かしさを感じるのか」という疑問について、お二人がそれぞれ独自の視点で切り込んでいきました。今回は新たな試みとして、来場者に「あなたが懐かしいと感じるものは何ですか」という事前アンケートを実施し、それをゲストのお二人が見て対談を進めるという形式を採りました。質疑応答に加え、こうした双方向のコミュニケーションがあったことにより、来場された方にもより楽しんでいただけたようです。

対談を通じて、《からだ層》と《あたま層》というクワクボさんの発案した概念に則り、二人のアプローチが全く違うということが明らかになりました。しかし、その差異をそのまま放置するのではなく、お二人がそれを乗り越えて共通点を見出していこうとする姿勢に感銘を受けました。また、ゲストのお二人がほぼ同年代ということもあり、昔はやった懐かしい物についての話に花を咲かせていました。来場者の世代も学生から社会人までさまざまで、お二人が「これって懐かしいよね」とお話しされるのを聞いて、「分かる分かる!」とうなずく方と「何それ?」と首をかしげる方がいたのも印象的でした。

時間が過ぎるのははやいもので、あっという間の二時間でした。そのため、懐かしさにどう向き合っていくのかという点については、あまり探究することができなかったのは少し残念でした。しかしながら、予想を超える数の方々にご来場いただき、企画は大盛況のうちに幕を閉じました。来場された方にも「懐かしさの曖昧さに気付けた」「ノスタルジーについて考える良い機会になった」「少し難しかったが面白かった」などと数多くのコメントをいただき、終演後も残ってゲストに質問をされる熱心な方もいらっしゃいました。こうした来場者の方々の意見を真摯に受け止め、次回も素晴らしい対談の場を創り上げたいと決意を新たにしました。

最後になりますが、対談を引き受けてくださった輪島さんとクワクボさんを始め、企画の準備に携わってくださった先生方、ご来場いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
今後も知デリでは新しい価値観への挑戦を続けていきます。
皆さま、次回の開催をお楽しみに!

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(中谷和生/法学部法学科4年)