2017年3月23・24日 阪大フェスタ:産学共創ワークショップ

【参加レポート】阪大フェスタ「セッション E :未来の「学び」を考える」

 大阪大学では、下記の教育研究目標を掲げ、2016年7月1日にCOデザインセンターを発足させました。


「COデザインセンターの教育研究目標」
1. 既存の専門等の境域を超えた(Crossing-Borders)対話(Communication)と共創(Co-Creation)を促進する仕組みをデザインするとともに、その実践を通じて、教育研究を行う。
2. 産官学民の多様なアクターと連携(Collaboration)した新たな協奏(Concerto)をデザインするとともに、その実践を通じて、教育研究を行う。
3. 専門知を社会で発展させイノベーションとしてデザインし、実装する力(高度汎用力)を体系的に修得させる教育プログラムをデザインし、実践展開する。


 COデザインセンターとしては、現代の社会を生き、未来を切り開く私たちにとって重要な意義のある教育研究目標だと考える一方で、その具体的な中身については、これまでのように大学だけで考えるのではなく、目標にもあるように、産官学民の多様なアクターの方々と連携し、新たな協奏のかたちとして教育プログラムを作り上げ、かつ運営していきたいと考えています。

 これからの社会にとって必要な個人の能力とはどんなものなのか、それはどのような教育プログラムを通じて培うことができるのか。阪大フェスタにおいて行われた本セッションは、当センターが教育目標に掲げている「専門知を社会で発展させイノベーションとしてデザインし、実装する力(高度汎用力)」をキーコンセプトとし、さらに社会人の学び直しのあり方も視野に入れつつ、参加者の方々と一緒に考えることを目的として開催されました。


 今回は、このセッションに参加した大内詩野 さん(大阪大学大学院 医学系研究科 医科学専攻 博士前期課程2年)の参加レポートをご紹介します。

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 阪大フェスタ 産学協創ワークショップ「未来の『学び』を考える」には、大学院生から社会人まで幅広い年代層の方が集まり、活発なディスカッションが行われました。

 はじめに、大阪大学COデザインセンターの平川秀幸教授より大学における教養教育の課題について講演が行われました。平川教授は講演のなかで、産・官・民・学の共創により社会に求められるリベラルアーツ実現の必要性について言及しました。

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 講演に続いて NPO法人ミラツクの西村勇哉代表理事の進行でワークショップが行われました。最初に各グループで参加者それぞれの理想の「未来100年ライフ」について共有しました。理想の「未来100年ライフ」は、用意された「未来100年ライフ」を現す複数のキーワードの中から最も興味深いキーワードを一人ひとつずつ選択し、そのキーワードを切り口に考えていきます。それぞれの「未来100年ライフ」について、インタビューセッションやグループワークを通し掘り下げていく中で、その実現に向けてどのような人材が求められ、さらにその人材の育成にはどのような教育が必要か、アイデアを引き出しました。

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 私が参加したグループでは、「永遠の好奇心」というキーワードに注目しました。これは、未来100年ライフ「子ども教授からクリエイティブを学ぶ」ために必要なスキル・力・強みとして参加者の一人から提案されたものです。子どもたちが常に好奇心にあふれているように大人になっても好奇心を持ち続けることが、100年後の未来創造において大切ではないかとの意見でした。一方で、こうした好奇心は子どもに限らず実は大人も持っているのではないか、それを言葉にしたり受け入れたり考えたりする「余裕」が無いのではないか、という議論も生まれました。

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 社会に出て働き始めてから生まれる好奇心もおそらくたくさんあるでしょう。しかし、様々な障壁により、それを口にしたり、考えたり、取り組んでみたりすることにつながりにくいのが現状なのだろうと思います。そうした「この問題についてみんなで考えたら面白いのではないか」といった好奇心や、そこから生まれた「自分はこう思うのだけれども、実際のところどうなのだろうか」という疑問や考えを、子どもから大人まで多様な人々が一緒に学ぶことができるような学びの場が必要となってきているのではないでしょうか。私はグループワークを通して、例えば将来の大学は、私のような学生だけが学ぶ場所としてだけでなく、あらゆる人々に学ぶ機会を提供できる場所として存在あってほしいと考えるようになりました。

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 他のグループからは、エンターテインメント性やコミュニケーションスキルを持った「高度汎用型クリエイター」のような人材が求められているのではないかとの考えから、まちの資源を活用するアクティブラーニングが発案されました。また、企業・NPO等への積極的なインターンシップの導入などを提案したグループもありました。これらから、私は、学ぶのと同時にその学びを実践に繋げることができる環境づくりが求められているように感じました。
さらにこうした実践に「チャレンジし、失敗する経験も大切では」との意見も出され、会場の多くの参加者から共感を得ていたことが印象的でした。

 平川教授がセッションのまとめとしてコメントしたように、今の大学における課題の一つとして、「どのようなスキルを身に着けるか」ということに重きが置かれているように感じます。実際に私も学部生時代は資格取得のためのカリキュラムに多くの時間を割いてきました。もちろんスキルを身につける時間も有意義で不可欠なものではありますが、その学びを活かす実際のフィールドである社会に対する視野がどうしても狭くなってしまう、という傾向もあると感じています。

 今回のワークショップでは、100年後の「こうあってほしい」というライフ(=ゴール)を決めた上で、その実現のためにどのような教育が必要か考えたことで、これまでの大学教育ではあまり見られなかったような斬新なアイデアも多く生まれました。この場で生まれたアイデアが実現していくことになれば、きっと面白い社会になるのではないかと思いました。今後こうしたアイデアを実現していくのは私たち自身でもあります。改めて「これからどのような社会で、どのように生きたいのか」考え直し、大学院生あるいは地域で暮らす1人として「学ぶ」ことに向き合っていきたいと思います。


(書き手:大阪大学大学院 医学系研究科 医科学専攻 博士前期課程2年 大内 詩野)

主催:大阪大学COデザインセンター、企画運営:NPO法人ミラツク