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スペシャル授業レポート
授業レポート

春~夏学期「表現術C(ZINEを発行する)」

COデザインセンター開講科目<表現術>
2018年7月27日(金) 投稿

COデザインセンターでは多様な授業が開講されています。


その中のひとつである、2018年度春~夏学期で展開される「表現術C(ZINEを発行する)」(山森 裕毅 COデザインセンター特任講師)。

シラバスには、


本授業の目的はZINE(ジン)の社会的意義と、それを実際に作る方法を実践的に学ぶことです。

個人あるいは小グループが自主的に発行する小冊子のことをZINEと呼びます。ZINEは出版社を通さないため、商業的側面が弱く、規制もかからず、出来不出来も問いません。個人が自己表現を行うのに最適なメディアのひとつです。とりわけマイノリティは社会のなかで自分たちの言葉を歪められたり、奪われたりしている場合が多く、彼ら・彼女らの思いはZINEの形を取って表現されることがあります。そのためZINEは「持たざる者の最後の砦」ともいわれます。COデザインセンター「社会の臨床」コースはマイノリティの生き方を/に学ぶため、ZINEに触れておくことには意味があります。

こうした背景を意識しつつ、本授業ではZINE制作を通して自分たちの思いを言葉と形にしていきます。比較的長い時間をかけてチームで制作を行ってもらいます。このことでチームワークとDIYの精神を養います。またZINEは表現媒体なので、何をどう表現するのかという表現における価値と倫理についても実践を通して考えていきます。


と、あります。
いったい、どのような授業なのでしょうか。

授業を担当している山森 裕毅 COデザインセンター特任講師のレポートです。

―――――――

「表現術C:ZINEを発行する」は学生にZINEという冊子を作ってもらう授業です。

ZINE(ジン)とは個人や仲間内で自発的に制作したインディペンデントな冊子のことを指します。SF小説やパンクロックのファンが発行していたファンジンと呼ばれる同人誌が源流のひとつと言われています。そこから派生して現代ではフェミニスト・ジンなどの社会派なものからアート系のものまで多彩なZINEが登場しています。大学や専門学校で授業に取り入れる学校も増えてきています。個性のある書店で手に入れることができますし、最近ではZINEを専門に扱う書店もあったりします。(詳細はこちら:「あなたの知らないZINEの世界」)

ZINEの精神のひとつは「うまい/へたに関係なく、自分たちの手で作ること」、「D.I.Y」です。というわけで、この授業では学生たちに二つのグループに分かれてもらい、まったくの白紙から冊子の配布までのすべてのプロセスを彼ら自身でやってもらいました(講師は見守るという大事な仕事をしていました)。

完成品はこちら。

180727ZINE1.JPG

写真の右側は『Funny Road』というタイトルで、CDアルバムの歌詞カード風の作品です。
左側は『叛逆』というタイトルで、小説と書評、取材、実験的論稿が入っています。

180727ZINE2.JPG

『Funny Road』の方は、架空のバンドを考えてそのバンドの歌詞をミーティングで作っていく作業と、写真を撮影するという作業を行っています。かなりの時間を費やしたようで、「ここまで時間をかけた授業は他にない!」とのことでした。こだわったために〆切を守れませんでしたが、その分納得のいく作品になったようです(D.I.Yに〆切とかないんですが、授業なので仕方がないです。この辺が授業でやることの限界ですね)。

『叛逆』の方は、統一的なテーマは設けず、自分たちのしたいこと・書きたいことをやるなかで共通点を探していこうという感じで出発し、そのなかで「叛逆」というテーマに落ち着いたようです。この授業ではチームワークを学んでほしいと言っておいたのですが、このチームは個人色が強く、個々別々に作業をするようで、毎週のミーティングもあまり進展しないことが続いていました。心配で口を出そうかと思ったのですが、なんだかんだで何も口を出す必要はなく、無事完成し、中身でもそれぞれ協力し合った痕跡があり、一安心しました。

授業の感想はこんな感じです。

「すごく自由な雰囲気でとても居心地がよかった。と同時に自由だからこそその葛藤や悩みも体験できて非常に勉強になった。」(人間科学部、3年)

「それぞれの熱意のこもった文章、作品をまとめ本という物質にするのはとても楽しかったです。」(理学部、3年)

「複数の人と協力して1つのものをつくりあげる、というのは、よく考えると大学に入ってからは初めての経験だったので楽しかったです。自分にはできないことやないアイデアが得られて新鮮でした。」(人間科学部、3年)

「特定の時間に特定の場所で授業を受けるのではなく、チームで自由に作業できたのが、実際の社会での作業に近くてよかった。他分野の人と深く関われたのがよかった。」(理学研究科、修士1年)


 この授業で制作した2冊のZINEは、2018年8月1日~26日、東京 PARK GALLERYで開催された『COLLECTIVE 2018』に出品しました。詳しくはこちらをご覧ください。

 また、ZINEは100冊ほど刷り、学生たちが自分たちで交渉して学内外に置いてもらおうとしています。学内のどこかで手に入るかもしれませんので、そのときは手に取ってぜひ読んでいただければと思います!

COデザインセンターでも保存していますので、関心のある方は授業担当の山森裕毅まで連絡してください。(yamamori[at]cscd.osaka-u.ac.jp)


(書き手:山森 裕毅 COデザインセンター特任講師)