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イベントレポートスペシャル受講生インタビュー
イベントレポート/学生インタビュー

自動運転のある暮らし:誰もおいていかない移動のデザインとその倫理

市民参加型ワークショップ@京都府立京都学・歴彩館
2019年2月18日(月) 投稿

2018年12月9日(日)、京都府立京都学・歴彩館において、市民参加型ワークショップ「自動運転のある暮らし:誰もおいていかない移動のデザインとその倫理」を開催しました。

○主催:日本生命倫理学会
○共催:大阪大学COデザインセンター、公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)


今回のワークショップは、日本生命倫理学会第30回年次大会の開催期間中に、大会関連企画としてバイオエシックス・カフェという名称で実施されました。

※本ワークショップの開催報告はこちらをご覧ください。

全体進行は、山崎吾郎COデザインセンター 准教授が、また、それぞれのグループでのファシリテータは 副専攻プログラム「公共圏における科学技術政策」(STiPS)の履修生たち8人がつとめました。

今回は、ファシリテータをつとめた野下 創史さんに、ワークショップに参加しようと思ったきっかけや、参加して気づいたことなどについて、お話を伺いました。

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理学研究科 生物科学専攻 博士課程前期1年
野下 創史


--野下さんのご専門について教えてください。

野下さん:がんに関係する遺伝子について研究しています。研究を深めるにつれ、専門分野において何かを達成するには修士課程の2年間だけでは時間が足りないな、と感じるようになり、現時点では博士課程に進みたいと考えています。

--そもそも、STiPS に興味をもったきっかけはどのようなものだったのですか。

野下さん:理学研究科の新入生オリエンテーションで平田オリザ先生のお話を聴いたことです。平田先生は、芸術や哲学と理系の研究は非常に相性が良い、というお話をされました。僕はもともと、そういったことを考えるのが好きだったので、面白そうなことをやっているセンターだな、と思いました。その後、副専攻/高度副プログラムガイダンス(※)で、工藤充先生(COデザインセンター特任講師、STiPS担当教員)のお話を聞き、STiPSについて興味をもつようになりました。

(※)副専攻/高度副プログラムガイダンス:毎年4月に行われる、副専攻プログラム、高度副プログラムについて紹介する説明会。

同じ専攻の先輩がSTiPSの履修生だったことも、ひとつのきっかけです。その先輩に、STiPSを履修した場合の研究との兼ね合いについて直接お話を聞いてみたのです。それで、これならできそうだな、と思い、履修することを決めました。

--実際にSTiPSを履修して、どのようなことを感じましたか。

野下さん:何より、しっかり時間を取ってじっくりとディスカッションすることができるSTiPSの環境が僕にあっているな、と思います。ディスカッションに限らず、STiPSの授業をとおして「そういう捉え方があるんだ」と、気づくこともたくさんあります。例えば、「科学技術コミュニケーション入門A」の授業で遺伝子組換えの問題について考えたとき、僕は理系の研究者の視点で理屈として理解していたのですが、社会で一般のひとが感じている不安はまた別のところにある、というお話を聴いて、なるほどと思いました。そういった「専門とは異なるものの見方」が身に付いたのは、僕自身にとって非常に良いことだったと思っています。

STiPSで一緒に学ぶひとたちにも刺激をうけています。みんなそれぞれに社会と科学技術について思うことがあって、STiPSを履修している。学んできた分野は全く違いますが、考え方として似ている部分があったりします。それがすごく面白いと感じています。


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--今回のワークショップに参加してみよう、と思ったきっかけはどのようなものだったのですか。

野下さん:工藤先生からこういうワークショップをやるから一緒にやってみないか、という紹介がありました。他では絶対にできない経験だからやってみたい、と思いました。

--ワークショップに参加する前に準備したことはありますか。

野下さん:意識して準備したわけではないですが、サマーキャンプ(※)のプレ・セッションのテーマがまさに自動運転のお話だったのです。名古屋大では自動運転についていろいろな研究が進んでいて、その専門家にお話を聴くことができました。直接的にということではないですが、今回のワークショップでファシリテータをつとめるにあたって、背景知識として役立ったと思います。

(※)「サマーキャンプ」:STiPSの履修生が参加することができる、他大学と合同で実施する合宿セミナーのこと。授業科目としての正式名称は「科学技術イノベーション政策総合演習」。2018年度の授業レポートこちらをどうぞ。

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--ワークショップを実際にやってみて、いかがでしたか。

野下さん:ワークショップがスタートした直後は、やはり緊張していましたね。同じグループの参加者のみなさんに均等に話してもらえるように配慮しなければ、という点が不安でしたが、まずは出てきた意見を聞くという姿勢で臨みました。結構活発にお話される方が多かったので、これはきちんと聞くというのが良いだろう、と思ったのです。参加者の方が積極的に話してくれたので、僕も徐々に緊張が解けていった感じはありました。

--ワークショップで「これは難しかった」というところはありましたか。

野下さん:ワークショップ中には、本当に多様なトピックが出てきたのです。いろいろ話したことを、どのように整理して、どのように他のグループのみなさんに共有したらいいのか、なかなかつかめずに苦労しました。

--でてきたトピックのなかで、特に印象に残っているのはどのようなことですか。

野下さん:参加者の方が、ご自身が抱えていらっしゃる病気についてかなり具体的にお話くださったことです。ご自身の実体験に基づいた、非常にプライベートな部分に基づいて考え方や感じ方をお話してくださったことに気持ちがひきつけられました。


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--個人の価値観や個人の経験がお話のなかに出てきたのですね。それは学生同士のディスカッションではあまりないことですね。

野下さん:そうなんです。お話の中に「一緒に働いている人がね」ということが出てきたりして、こんなに短い時間でも、そのひとが生きてきた人生における価値観や経験が色濃く反映されるんだな、ということを実感しました。そういうことは経験したひとから聞かないと分からない、と感じるお話が多くありました。


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--ワークショップに関わってみて、このような活動がどのように社会に影響を与えると感じましたか。

野下さん:今回のような場に集まって、ひとつのテーマについて話したあと、参加したそれぞれの中に何かしらの「不完全燃焼感」が残るのでは、と思います。もうちょっとこれについて話したかった、とか、ここはもう少し聞きたかった、とか。そういう思いをもってそれぞれが日常生活にもどったとき、何かもう少し話したいな、ほかのひとにも考えを聞いてみたいな、という気持ちにつながったらいいなと思います。ひとりひとりの中に「もやもや」が残るからこそ、日常の中で話をする機会も出てくるのかな、と思います。

以上


(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)