世界システム論と文化人類学
World System Theory and Cultural Anthropology
「ウォーラスティンの世界システムの概念について整理しておこう。世界システ ムとは、全地球的経済システムとして資本主義の起源と発展をとらえようとする見方で ある。世界システム論は以下の基本的命題に整理できる。
(1)現代の資本主義の発展の基盤は国民国家にはなく、単一の分業体制にもとづく地 球全体におよぶ世界システムとよばれるものにある。
(2)世界システムは、完全に孤立した自給経済を除けば、人間の歴史の中で唯一存在 したシステムである。
(3)世界システムは、政治的にも経済的にも支配的な「中核」と、中核に経済的に従 属する「辺境」からなり、その中間に中核と辺境の両方の経済的・政治的性格が混在す る「半辺境」があるという三つの構成要素を想定する。
(4)中核は辺境より原料を供給されて工業生産が可能になる。したがって辺境で産出 される原料供給は中核における価格設定に従属する。そこでは不均等交換が生じてい る。
(5)この世界経済システムは、一五世紀ヨーロッパの資本主義的農業、つまり「農業 資本主義」から発展が始まった。
ウォーラスティン理論の要諦は、世界の辺境で見られる社会諸現象は中核で生起する 社会現象と深く連動し、それは地球規模で生起している経済現象とセットで考察する必 要があるということだ」。
Copyright Mitsuho Ikeda, 2000-2003