略記法
(よくある間違いと正書法)
解説 池田光穂
学生の論文・レポート・ゼミのレジュメなどをみていますと、以下のような表記法のあやまりが目につきます。自分でチェックするだけでなく、友人の誤りを指摘してあげましょう。これこそが真の友愛の精神です。作成者:池田光穂
| 誤 | 正 | 略語の意味 |
| P52
L13 |
p.52
l.13 |
52ページ[解説1]
13行目[解説2]※通常は行数を指定しなくてよい |
| P36-39, ps36-9 | pp.36-9 | 36ページから39ページ |
| ex, EX | e.g. | たとえば(ラテン語のexempli gratia から) |
| → | ref. | 〜を参照せよ(reference) |
| → | cf. | 〜と比較せよ(compare) |
| ←→ | opp. | 反対は(opposed) |
| V.6 | vol.6 | 第6巻(volume) |
| V.S., VS | vs. | 対(対抗・対決)
例:Inoki vs. Baba(猪木 対 馬場) |
| etc | et al. | 〜ほか(ラテン語のet alii)
注意:等々(etc, et cetera)とは異なります |
それ以外に、ibid.(引用した直前の文献をさす)と、op. cit. (すでに引用したが直前にはない文献)の混同などもみかけられます。
ibid. :ibidem(同じ場所で)
op.sit.:opere citato (引用した作品の中に)
sic: (原文のまま)
他にも下記の文献に豊富な用例があるので参照すること。
ページをP52と表記するのが間違いであることに気づかない理由はかならずしも学生だけにあるのではない。というのは、けっこう学術本でもみられる。つまりプロでもこの種の幼稚な誤りをおこなうからだ――そういう連中の本や論文は、そのようなつまらない瑕疵(かし:キズのこと)によって大幅な信用を失う。また、この種の誤りの横行がやがて「それは日本語の表記法なのだ」という居直り論法で正当化されることもあるだろう――憲法第9条の有名無実化と同じだ。だが、この居直りはよくない。日本語の表記では(52頁)や(52ページ)という審美的にもよろしい表記があるではないかということだ。学問は公明正大にやるのが原則。といことは悪貨が良貨を駆逐するような状況は容認されるべきではないだろう。
レジュメに行をしてくれる学生がおられます(例:p.52, l.13)[これは52ページの13行目にあるという意味です]。まことに親切で嬉しい限りですが、行中に単語を探す際には、口頭で説明したり(例、「第x番目のパラグラフ=段落にあります」)することができますので、行を数えて記載する必要は[文献考証的関心がない限り]不要です。また、行を数える際にエラーも起こしやすくなります。ページの記載は誤りにくいですが、行の記載は誤りやすいです。
結論はこうです。行数の番目を記載する必要はありません。
【文献】
ジェームズ・レスター『レポートの書き方』(Lester, James D., 1999. Writing Research Papers: A complete guide. 9th ed. New York: Longman.)の9版(pp.178-9)