ローカル・ノレッジ
local knowledge
(地方固有の知)
クリフォード・ギアーツの論文「ローカル・ノレッジ:比較論的視点からの事実と法」(1981年のイエール大学ロースクールでの記念講義、のちに1983年に主タイトルと同じ書名に収載された論文として登場)で、一躍、知識人の間に膾炙した概念。
ごく普通の名詞に、ごく普通の形容詞がついたはずの用語だが、ギアーツ(あるいはギアツ)の手にかかると注意してとりかからなければならない用語になった。(他の用例に、ディープ・プレイや厚い記述がある)つまり、クリフォード・ギアツのいうローカル・ノレッジとは、決してたんじゅんに、局所的な知とか、文化相対主義的な意味での土着 の知を直接示しているものではない。
むしろ、ローカルな知を参照点として、その知的想像力を駆使する民族誌や法の理解(=抽象化された知的システムや、一般化 と個別理解のせめぎ合いが見られる知的法廷における知の操作技法をめぐる議論)のあり方と、その知的源泉としての〈事実 知〉や〈具体知〉のダイナミズムについて、考えようとしているのである。つまり、場所に関わるわざ(crafts of place)につい て考えようとしているのである。(続きはリンク先でご覧ください→ローカル・ノレッジという隠喩の分析)
"The locus of study is not the object of study. Anthropologists don't study villages (tribes, towns, neighborhoods ...); they study in villages. " - Clifford Geertz, Thick description, 1973
【引用】梶原景昭訳による(ページ数)
「法および民族誌は、帆走や庭造りと同じく、また政治や詩作がそうであるように、いずれも場所に関わるわざ(crafts of place)である。それらは、地方固有の知識(local knowledge)の導きによってうまく作動するといってよい」(290)。
「とりとめのない学識、風変わりな雰囲気そしてそれに加えて人類学と法学が共有するであろうそのほかのものがなんであれ両者はいずれも、まずもって局地的な事実のなかに広く普遍的な原理をみつけだす職人仕事に属するものといってよい。アフリカのことわざにあるように、まさに、「知恵は蟻塚に発する」のである」(290)。
【文献】
ローカル・ノレッジ : 解釈人類学論集 / クリフォード・ギアーツ [著] ; 梶 原景昭 [ほか] 訳<ローカル・ノレッジ : カイシャク ジン ルイガク ロンシュ ウ>. -- (BA42956538) 東京 : 岩波書店, 1999.9( Local knowledge : further essays in interpretive anthropology / by Cli fford Geertz. -- (BA48307491) New York : Basic Books, c1983)