靖國神社観光論:魂のツーリズム
Political Tourism toward the Yasukuni shrine, or Introduction to "all Souls tour"
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写真は心象イメージであり実物とは異なります
このページは私が熊本大学在職中の2005年入学1年生を対象にしたいわゆる基礎ゼミの授業として立案・実習したものです(ファイルの日付から2003年当時には計画をしていたように思われます)。1度だけしか開講しませんでしたが、10数名の熊大の学生が参加し、、また現地では奥野克巳先生率いる桜美林大学のゼミの学生たちと一緒に交流し、神社訪問後に、東京工業大学が提供している田町のセミナー室で、小さなシンポジウムを開きました。熊本大学では、授業の計画を大学教育センターに対して提案したところ、いわゆるリベラルな先生方から「受講生が集まらないから止めたほうがよい」という暖かい助言をいただきましたが、精神の自由の重要性について陶冶する大学で、またまじめな趣旨で、靖国問題を検討するという説明をして、了解をとり授業を敢行、無事終了しました(2009年4月23日付記)。
[科目分類] [時間割コード] [授業科目][科目コード] [授業題目] [担当教官]池田光穂 [開講年次]1 [学期]前期 [曜日]金 [時限]3 [選択/必修]必修選択[単位数]2 [教室]C209教室 [スケジュール]ここでリンク
■ 「ゆきゆきてベトコン!」 ■ 「現代暴力論」 ■ 絶対悪 ■ 戦争表象(思想編=numero uno)
[授業形態]講義と演習(文献の読解)と実習(実際に観光する)
[授業目標]
1.靖国神社について、今日の社会的議論について概観を得ることができる。
2.現代社会における靖国神社という政治表象のもつ役割について理解することができる。
3.靖国神社をテーマにして文化記号論の立場から分析し論評することができる。
[授業の内容]
靖国神社に行ったことがありますか?
こんな質問を我々の父母の世代の人に聞いてみよう。あるいは、自分たちの仲間に聞いてみよう。
我が国では、このような質問そのものが政治化される。つまり、その人の政治的信条を聞くことなり、質問者の市民としての政治的立場との距離がつねに問題化されるということだ。
しかし、このような政治的・倫理的な呪縛から逃れる方法はいくつかある。
例えば――そしてこの授業の目論見なのだが――靖国神社を「単純に」観光の対象として文化的に消費することだ。
しかし、そのようなことが現実的にみて「本当に」可能だろうか?
靖国神社に関する文献を読み、さまざまな資料を収集し、またさまざまな靖国参拝に関する政治的立場について議論をおこない、そして靖国神社そのものを(ヴァーチャルに、そしてリアルに)訪れるのが、この授業でおこなうことである。
授業の目標を実現させるための理論的方法論は、文化人類学を中心とした表象に関するさまざまな研究(→文化記号論、カルチュラル・スタディーズ、観光人類学)である。また、方法論は、参与観察を含むフィールドワークである。
[キーワード]
靖国神社、戦争、平和、表象、文化、文化記号論
[テキスト]
4冊の教科書を指定します。この4冊の全部あるいは一部の資料を授業で使いますので、授業には携帯してくるように受講者には求められます。
[参考文献・情報収集]
田中丸勝彦『さまよえる英霊たち』東京:柏書房、2002 年
jyugyo.htmlにリンクするページで指摘します。
[資料リンク:ヴァーチャルツーリズム]
[内部参考リンク]
[外部参考リンク]
[評価方法]
定期レポートならびに試験による総合評価をおこないます。
[履修上の指導]
大学における授業とは毎回必ず出席するものなので点呼による出席確認はとりません
[関連するリンク]
[授業の結論]
引用の際には著者にご一報ください。
今年度(2005年)の開講スケジュール
<靖國神社観光論>
| コマ数(累積) | 月 | 日 | テーマ | 備考 |
| 1 | 4 | 15(金) | この授業の目的・方法・趣旨 | 池田による解説 |
| 2 | 5 | 13(金) | 靖国問題とは何か(1) | 政治問題を観光学のテーマに変換するために
◎ 副読本練習問題 |
| 3 | 5 | 27(金) | 靖国問題とは何か(2) | 靖国問題への関与/非関与について
◎最初に「この授業で議論したいテーマ・問題・問題の背景について」のアンケート(この書式はここからpdfファイルとしてリンクします)を実施し。それについて発表、コメントをいたしました。 ◎その中から抽出された2つの問題系 (1)愛国心/愛国者って何だろう? (2)私的なもの、公的なものってなんだろう? |
| 4 | 6 | 10(金) | 靖国で私たちは何を考えるか(1) | 実習の準備構想発表 |
| 5 | 7 | 1(金) | 靖国で私たちは何を考えるか(2) | 実習の準備構想発表 |
| 6・7・8
・9・10 |
7 | 9(土)10(日) | 実習 | 7月9日午後
靖国神社周辺を散策する(市ヶ谷→防衛庁本部→田安門→靖国神社)※参加できる方のみ *** 7月10日 午前9時 遊就館(ゆうしゅうかん)前に集合 全体の地図はこちら(pdfファイル,約884Kbyte)です(パスワードがかかっています:授業でお知らせします) 7月10日 午後13時30分より 特別シンポジウム 桜美林大学国際学部奥野ゼミならびに一橋大学大学院有志諸君との合同ワークショップを開催します。 東京・田町キャンパス・イノベーションセンターにて 桜美林大学の学生の感想(プライバシー保護のために一部編集しています) <1> 今日はありがとうございました。池田先生や吉田先生の話が聞けて、刺激になりました。ニューギニアも色々問題はありますが、頑張ってきます! 熊本大の学生と話す機会が今回は少なかったのでまたこのような機会があったら参加したいと思います。 <2> 今日は合同ゼミに参加して本当に良かったと思っています 靖国神社について.当時の人々の愛国心や忠誠心を改めて実感しました。 戦後60年経った今日、私達の年代の人々でそのような過去の軍国主義的な思想を持つ人々は恐らくいないと思います(もしくはかなり少数) 改めて振り返ってみてその考え方がおかしいなーとか疑問に思うのではなくて、その当時の人々の置かれていた状況、立場にたって考えてみることってすごく大事だろうと思いました 親睦会では池田先生とも話をすることができてよかったと思っています また奥野先生と飲みの席で話ができて、みなさんとお互いの話をしてすごく刺激になりました 文化人類学に対する意欲がますます湧いてきました そしてもっとがんばらなくてはと痛感しました 今日は本当にありがとうございました <3> 今日は一日ありがとうございました。以外と遊就館を見てるだけであっとゆう間に時間がなくなってしまいました。でもただの戦争資料館、神社でないのは分かりました。宗教的部分や戦争を肌で感じました。いろんな人の意見も聞けて、刺激も受けました。靖国神社はなんども行く価値がある気がします。みたま祭りにも行けたら行こうと思いました。 |
| 11 | 7 | 15(金) | 研究発表会 | 実習の成果発表(グループ1の個人発表) |
| 12 | 7 | 22(金) | 研究発表会 | 実習の成果発表(グループ2の個人発表) |
| 13・14・15 | 7 | 23(土) | 研究発表会 | 実習の成果発表(グループ3の個人発表)および全体討論 |
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番外・場外乱闘戦
ーーとりあえず〈魂の錬金術〉の修辞法を批判するーー
神霊化の問題は、田中信尚『靖国の戦後史』にあるように、 国家システムとの適合が戦前・戦中・戦後と一貫して続いて きたことにあります(続いているのが問題ではなく、制度 設計をし直さなかったことが問題)。高橋さんのリベラル派 からの言挙げは要するに靖國=非合理という戦後民主主義 が一貫して批判した路線の延長上にあります。
たしかに 国家は〈感情の錬金術〉(→これは鋼の錬金術師のパクリで すな)を靖國を通して実践してきました。しかしてなことを 言ったら、〈伝統社会〉はおろか近代社会においてもこの ような錬金術だらけです。文化というのものは、人間を動員 する錬金術と言えないこともありません。もちろんこの場合 は〈できないこと・ありえないことを産出する〉という ニュアンスで使っているので、そのメタファーを使う背景に は(神の眼とみまがうばかりの)合理的批判精神が見え隠れ しています。
ボクが高橋哲哉(→『靖国問題』ちくま新書、2005年)を生ぬるいと思うのは、錬金術 の周りに張り巡らされた近代の合理的管理システムそのもの です。それをオリエンタル・ディスポティズム(東洋史家ウ ィットホーゲルの造語=東洋的独裁)と警鐘を鳴らすのは プロパガンダとしては容認できますが、分析的視座としては はなはだ頼りないものだとかねがね思っている次第です。 ま、精霊と共に(台湾先住民の人たちが靖國から自分たちの 祖先の御霊を取り返す運動がありましたね)靖国神社に観光 しましょう(それが魂のツーリズムというタイトルの由来です)。
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