マフィア的原則
解説:池田光穂
ネオリベラリズムのやり方以外に、利潤圧縮に対応しうる方法で、歴史学者のI.ウオーラスティン(1999[1998]:83-4)が指摘したもの。
ここで言うマフィアの定義は次のようなものである。
「法的強制や税の回避によってあるいは保障費をゆすりとることによって実質的利益を獲得しようと努める人たちや、この資本蓄積様式の生存能力を保障するために、個人的暴力や広範なわいろを利用し、公的な国家的手順を堕落させる用意のある人たちのすべて」(ウオーラスティン(1999:84)。
彼によると、マフィアは近代世界システムに固有の要素であり、ネオリベラリズムと同様、国家機構の力(=権力)を切り崩し、国家の正統性を失わせる作用をもつ。
もちろん、このマフィア的原則は、経済活動を通して国家の力を失わせるだけではなく、麻薬などの生産と販売に関わることにより、アノミーや社会的反乱――反体制活動の資金源になる――を引き起こし、国家の経済ならびに治安の統制的機能を失わせることに貢献している。
しかしながら、全体主義の恐怖政治と同様、ローカルな文脈では「秩序が保たれているような状況」が生起することがある。これは、恐怖によって人間が社会的秩序を「人工的あるいは強制によって」維持されているのか、恐怖状況においても、人間は秩序ある社会性を構成しようとするのか、議論が分かれるところである。マフィア的原則によって社会秩序が維持されることが、仮に「病理」であったとしても、このことは、「健全あるいは正常な」デモクラシー下における、秩序が維持されることを自明視することの正当化には使えない。
「健全あるいは正常な」デモクラシー下においても、秩序がなぜ維持されるかについての理論的説明を我々は十分に手にしているというわけではない。
人間の社会的秩序は、いったいどのように構成されているのだろうか?
文献
ウォーラスティン、I. 1999[1998]『ユートピスティクス:21世紀の歴史的選択』松岡利通訳、東京:藤原書店.
池田光穂「社会福祉とネオリベラリズム政策についての見取図」
____「新国際経済秩序あるいはネオリベラリズム経済」
____「競争的パーソナリティ」
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