「文化」概念の検討
様態からおこなう文化の定義
解説:池田光穂
文化とは有形無形の人間活動のことと定義したい。私の文化に対する見解――つまり文化をどのように研究するか――は、そのように定義された文化の様態を、どのように考えるかということに由来する。
それは、文化ないしは文化現象とは、次のような様態をもつものであるということだ。
(i )創造
(ii)維持
(iii)破壊
タイラーに始まる文化の静態的な理解、つまり文化を伝統的なものとしてとらえる見方は、私が主張する文化の様態の二番目の(ii)維持という側面を過度に強調しすぎた点からの反省に由来する。つまり、文化をより動態的にとらえる点であるが、他方、文化はいつも流動的でハイブリッドであるという見解にも組みしない。
こうすることで、文化の静態的な面であることについても、変化し、流転するものとしても、捉えることができる。もっとも、文化の静態的な面といっても、人間活動によって維持継承されているわけであるから、それらは、一時的な構造的安定、ないしは一種の新陳代謝(メタボリズム)をおこなっているゆえに、それが安定してみえるだけである。
さらに、この文化概念ではグローバル/ローカルという狭隘な二元論はとらず、それらが文化概念をめぐって相互交渉をおこなうとみる。つまり、文化はローカルなコンテキストによって生成するがゆえに、人々をして安定した構造体のように見えるのである。他方、安定した構造という信念が、他のカテゴリーの人たちをして別の文化をもっているという信念を引き出すことになる。文化は、安定した構造をもつという信念があるゆえに、予め文化の差異があると信じてしまうのである。文化の差異の概念は、(逆説的だが)文化を安定した構造体とみる信念より由来していると思われる。
◆ 異文化理解の基礎(池田光穂)
■ 関連リンク(サイトのなか)
文化人類学入門(池田光穂)