政治経済的思考の人類学的な相対化について

「「経済学」と呼ばれる科学は、もともと、ある抽象の上に成り立っている。すなわち、人間のあらゆる実践が沈み込んでいる社会秩序から、ある特定のカテゴリーないし局面を切り離すという抽象である。この沈み込みの諸側面や諸効果については、カール・ポランニー以後、埋め込み(embeddedness)について語る際によく見かけられる。そして、こうした浮き沈みがあるからこそ、もっとも明白かつ厳密な意味において「経済学的」であるとされる実践をはじめとして、あらゆる実践は、たとえ認識の必要性からそれを別様に取り扱わざるをえない時であっても、マルセル・モース的意味で「全体的社会的事実」である、と考えなければならないのである」。――ピエール・ブルデュ『住宅市場の社会経済学』(山田悦夫・渡辺純子訳)2000[=2006:11]
授業科目名
基礎人間科学
政治経済の人類学
Anthropological Study of Politics and Economies
(授業コード: 010477)
担当教員 池田 光穂 非常勤講師
講義題目 政治経済的思考の人類学的な相対化について
授業の
目的・ねらい
この授業では次の3つの目標を掲げます。
授業の計画・内容
民主主義社会では、個人の諸権利が認められた上で、社会の将来をその政治に参加する人たちじしんが決定してゆくという仕組みがあります。他方、自由主義経済というものがあり、財の私的所有を前提にして、その生産・流通・処分という活動になるべく制限をかけない(つまり放任にもとづく)社会制度が保障されています。つまり政治的民主主義と経済的自由主義は、人間の「幸福の追求」のため基本的条件とされているのです。人類学を学ぶ者として、我々はその理念一般に関する議論よりも、具体的にどのような形で我々の生活のあり方にこれらの思考が影響を及ぼしているのかについて考えたいと思います。政治経済というのは、現代の生活を考える上でも根幹であるとしばしば主張されるので、この現象を人類学的に考えるというのは、まさに我々の社会について再帰的に考えるという意味で、自文化人類学(native anthropology)の実践にほかなりません。
授業は15コマ2単位相当の集中講義で、次のようなプログラムで行います。
(1)政治経済思想[再]入門ーー講義を中心とした3コマ
(2)身近な政治経済的思考とはーー討論やワークを中心とした3コマ
(3)政治経済的思考の人類学研究ーー講義を中心とした3コマ
(4)身近な政治経済的思考の人類学的相対化[実践編]ーー討論やワークを中心とした3コマ
(5)「幸福の追求」に関する人類学ーー講義と学生参加のシンポジウム
キーワーヅ 経済学、経済人類学、政治経済学、ポリティカルエコノミー(political economy)
教科書 (授業の内容よりも授業での議論の基礎になる知識を提供するものです)。
田辺繁治『生き方の人類学』講談社(現代新書)2003年[→エピゴーネン向き解説ガイド]
サーリンズ、マーシャル『人類学と文化記号論』山内昶 訳、東京:法政大学出版局、1987年(Sahlins, Marshall., 1976. Culture and Practical Reason. Chicago: Univrsity of Chicago Press.)
_____「甘さの悲しみ(上・下)――西欧的宇宙論の自文化人類学――」『思想』1997年11月号:Pp.81-110., 1998年1月号:Pp.110-141.
参考図書
適宜授業中に指示します。
成績評価
この授業は討論やワークを通して、受講者の「理解」というものを引き出しますので、全回出席(50%)が成績評価の前提になります。授業中のコメントや質問などの貢献(20%)、終了後に提出してもらうレポート(30%)。
配布資料
政治経済の人類学2006.pdf(約224k)
復習プリント(約180k)※PBLとは何かをまとめたもの

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関連リンク
▲ 問題にもとづく学習(PBL, Problem-Based Learning)
その他