専門科学修士
Professional Science Master, PSM
解説:池田光穂
修士号を取得後は、さまざま科学を利用する産業界に従事することをめざした、大学院の履修課程コース。
この履修モデルの創成にある背景は、アメリカ合州国の経営学修士(Master of Business Administration)であり、従来の科学系の大学院生が、修士課程修了者と博士課程進学者との教育履修上の峻別をそれほど具体的につけてこなかったことが発端になって、2000年以降、急速に整備されてきた。
経営学修士と同様に、PSMでの教育の特徴は、限られた学生による集中的な授業と実習(つまりエリート教育)と在学中における企業研修(インターンシップ)である。つまりPSMは一見、大学教育のみでで高度な専門職業知識を教えるようであるが、実際には優秀な学生を企業研修に送り込み、企業は採用前に一定の研修課題を課すことで学生の能力を評定することができるので、企業は大学の教育部門のアウトソース化するという貢献をおこなうかわりに、優秀な人材をチェックし、よい場合には確保することができる。企業は、就職面談レベルにおける人事上の評価をより的確にすることができ、また中長期にわたって大学と関係を保つことができメリットがある。
従って専門科学修士のコースは、企業就職後に即戦力になるような学科目編成がなされている。例えば、アメリカン大学におけるPSMコースには(1)応用コンピュータ科学、(2)バイオテクノロジー、(3)環境科学および環境評価、がある。
日本では、アメリカの模倣をしてPSM制度を導入する動きがあるが、次のような社会的条件をクリアしないとこの制度が有効に機能しないばかりか、定着しない可能性がある。
(1)インターンシップ制度がより定着するような社会的努力
(2)インターシップ制度を利用した企業内における研修生の的確な評価システムと大学へのフィードバック
(3)科学技術者が、身に付いた能力をもとに企業を自由に移動できる労働制度や市場の弾力化
文献
「成長を考える・第5部・人を生かす(4)」『日本経済新聞』2007年4月14日
◆ 医療人類学辞典
Copyright 2007, Mitsuho Ikeda
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