大学の先生になるには?(中学生編)
発行人:垂水源之介

あるいは、とよ[の]なかXチュウ新聞(号外)2009年2月25日
この新聞は、2009年2月17日豊中市立第X中学校の進路学習の講師「大学の先生になるには?」を務めた池田光穂(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教員)芸名:垂水源之介がX(エックス)中生徒からいただいたコメントに対して返答するものです。
大学教授になるには?(高校生編)はこちらです。受験生ならびに社会人の方にも使えるスライド・コメント集です。
1.大学の先生とはなにか?
2.大学とはそもそもどういうところか?
3.大学の先生の仕事とはどういうものか?
4.そして大学の先生になるにはなにをどのようにすればよいのか?
という4つの柱からなります。
返答は ♪:の部分です。なおプラバシーを保護する観点から、誤字脱字を含めて固有名などは変更している可能性がありますのでご了承ください。なお、返答順は不同です。

文化人類学者クリフォード・ギアーツ(1926-2006)は、大学の教授になるために探求している中学生たちに、ここで考える視点として重要な名言 を私たちにもたらしました。それはこういうことです。「ある学問について知りたければ、その分野の学者がどういうことをやっているのか調べれば よい」というものです。すなわち、みなさんに、なりたい職業というものがあるとすれば、その職業に従事している人たちの活動を直接知ればなんら かの手がかりに見つかるかもしれないということです。
(質問:10年後(22歳〜23歳)の私はどんな生活をしているでしょう。みなさんの夢も含めて書いてください。[なお回答の字句は適宜修正を加えたところがあります]
(1)大学生、美容師
授業の感想(抜粋):「仕事の内容は、とてもたいへんだなぁ〜と思った」
♪:どんな職業でもたいへんなところと、そうでないところがあります。でないとみんな楽な仕事するからね。誰かが大変なことを引き受けないとならないし、また自分以外にご苦労している人たちについて、共感しかつ感謝しなければなりません。
(2)大学生、警察官
授業の感想(抜粋):「とちゅうに問題などもあってたのしかったです」
♪:もっと問題を出して楽しくすべきですが、問題をたくさんだすと、時間がかかるので、そうなりました。がんばって!

残念なことに、すでに亡くなっていますが、クリフォード・ギアーツさんという先生は次のようなお姿の方でした。

このギアーツの格言を守るとすれば、もしみなさんが生物学という学問について知りたければ、次のようなことをやる必要があります。
1.具体的な生物学者(すでに死んだ/もう引退した/現在活躍中の/学者の卵の/生物学を学んでいる学生など)を捜し出す。
2.その生物学者(人物)が、いったいどんな研究をやっているのかについて調べる。
3.できれば、その先生のところに会える約束をとりつけることができるならば行ってみる。いまだったら、電子メールなどを書いてみて、実際に会 えるかどうか試してみる。ただし、その時にはグループで訪問したり、きちんと面会時間を約束し、面接場の最低のルールを守らないとならないこと は言うまでもない。
4.他の生物学者を捜し出す(→1にもどる)
5.すでに物故(=亡くなっている)した研究者なら、その先生の本や伝記などを読んで、バーチャル(仮想的に)にその学者のやっていることを想 像上でイメージを組み立てるという方法もある。ただし、やはり実際に活躍している人と出会うことは重要だ。
(3)会社員(課長)、有名人
授業の感想(抜粋):「大学の先生のせつ明を、わかりやすく、まとめてもらい、プリントに印刷してもらい見やすくとてもよかったと思います」
♪:はい、どうもありがとうございました。がんばって!
(4)10年後の僕=ギョーザの王将、開店[記載は「閉店」でしたが、この方の真意はたぶん「開店」でしょうな――池田による補足説明]
授業の感想(抜粋):「今回のお話でなってみたい職業が、もう一つ増えました」
♪:進路学習でも話ましたが、なりたい職業について具体的に調べないと、夢だけにおわりますよ〜 がんばって!

細胞についての勉強を思いだしてほしい。学者の人たちもまた、自分たちの研究対象を表現する方法や、研究対象を抽象化するために、さまざまな学問上の 手がかりや装置あるいはイメージを使っていることがわかるはずだ。

もし、言語学について知りたければ、言語学者のところにいって話を聞くということは重要である。
(5)10年後の僕、ギョーザの王将
授業の感想(抜粋):「苦労したことに関しては新しいアイディアが出なかったと言っていましたが、だれだってアイディアがでないのはふつうだと思います」
♪:なんでも「ふつう」だと言って、感動しないと、あじのない人になってしまうぞ〜 「ふつう」のことに疑問をもったり、感動したりするのが職業人への第一歩です。がんばって!
(6)働いている
授業の感想(抜粋):「ちょっと難しすぎてわからないところもありましたが、生物学とかの話でよくわかったところも少しありました」
♪:ものごとは、わかることとわからないことからなります。大切なのは、何がわかって、何がわからなかったのかを理解することです。 がんばって!

次のスライドは、近代言語学の父、あるいはその開拓者フェルディナン・ド・ソシュール(1857-1913)の横顔と、この先生が授業中に黒板に書いた内容 が、のちにイラストレーターの助けを借りて再現されたものがある。近代言語学の歴史的発展を知る際に、ソシュールの理論と、この先生が学生たちにどん な授業をおこなったのかに知ることは、言語学(すくなくともソシュール派のそれ)を知ることにつながる。

ここで用語法のチェックをしよう。大学の先生(=大学教授)は、学者としばしば言われるけど、両者はおなじ意味なのですか?
私の見解ですが(ということは異論を持つ人も世の中に多くいるが)「学者と大学の先生は違う者である」私は理解しています。
私がここで言う学者とは、学識ある人すなわち、知恵を持つ人のことで、私にとっては、多くの大学の先生は、そのような学者になろうと日々努力し ています。
つまり、大学の教授(=大学の先生)には、なろうと思えばできないことはないですが、真の学者になることはなかなか難しい、つまりハードルが高 いと思います。
もちろん、学者のなかの学者と思われているノーベル賞受賞者ですが、そのような人たちにおいてすら、真の学者を見つけるのは難しく、ノーベル賞 をもらっていなくても、あるいは学位というものがなくても学問的に優れていて、かつ知恵をもつと多くの人から尊敬される人は世の中にいます。
(7)職についている
授業の感想(抜粋):「大学の先生は生徒に勉強を教えるだけでなく研究もすることをはじめて知りました」
♪:え〜っと驚きました! というのは、大学は研究するのが本務で、教育は二の次という愚かな大学教授が本当は多いのです。そういう人は私のいう「真の学者」からほど遠い人たちですけどね。 がんばって!
(8)働いている
授業の感想(抜粋):「私は理科が好きなので、実験や研究すると分かってちょっと興味をもちました」
♪:大学に来て実験や研究にぞんぶんにがんばってください。 がんばって!

ここで言う大学の先生とは、真の学者のなろうと努力している人たちであると、定義しておきます。
つまり、学者の卵、かなり上級の(ときには、とうが立った)予備校生と言っておきましょう。
大学の先生が、ある意味で質を保証できるのは、真の学者になろうとする努力だけです。その代表的試練は、人びとへの愛、学問への愛、真理への愛(チ ェ・ゲバラの言葉に由来します)です。
ここが、小学校、中学校、高等学校の先生と「職業的な環境として」大学の先生を違った存在にしている特徴だと言えるでしょう。
♪:もちろんそうです。 がんばって!
(9)大学院に入っている
授業の感想(抜粋):「周りの人から聞いたときは、大学の先生は変な人が多いと聞いていたのでどんな不思議な人がくるのだろうと思っていたら、そう変な人ではなかったので少し安心しました」
♪:いや〜、私だって、職場(大学)では十分な変人――由緒正しいヘンジン――と呼ばれていますので、決して私のハンサムな外見に騙されないようにしてください。 がんばって!
(10)野球選手、メジャーの選手、テレビに出る、会社員(課長)
授業の感想(抜粋):「やっぱり一つだけできるのではなく、できるだけたくさんのことを知っていたほうがいいことも改めて感じました」
♪:もちろんそうです。 がんばって!

大学の先生と、小学・中学・高校の先生とどのように違うのでしょうか? その具体的な違いはなんでしょうか?
大学の先生は、学生(大学では「生徒」と呼ばず「学生」と言います)を教えるだけでなく、自分自身の研究テーマをもち、勉強(=「研究」と言い ます)をしている人でもあります。これが、大学教授(大学教員)は研究しているとよく言われることです。
大学での研究とは、これまでの大学の先生の先輩たちの研究成果の、継承、再検討、見直し、批判、そして再発見を通して、人間社会のため、勉強の ため、真理のためになにか役立つことをすることです。
(11)[大きく書いて]野球をしている
授業の感想(抜粋):「ぼくは最初どうでもいいやと思っていました。でも聞いているとなんだか興味が出てきました」
♪:う〜ん?、出発点から出遅れておるぞ〜 がんばって!
(12)10年後の僕。サッカーをしている。日本代表だ、キーパーだ、頭がいい。
授業の感想(抜粋):「クイズもぼくはハズしたけれど、すごく楽しかったです」
♪:おいおい、楽しいだけの感想ではだめだぞ! スポーツと学問はちがうぞ(ただしスポーツの学問というものはもちろんある)。 がんばって!

でも、大学の先生はどこにいるでしょうか?
みなさんにとって大学の先生のイメージはどのようなものでしょうか?
身近なところ知人や親戚でいらっしゃいますか?
マンガやテレビのドラマで大学教授はしばしば登場しますよね?_でもなぜ、これだけ頻繁に大学の先生が登場するのだろう?不思議と言えば不思議 です。
偉人伝にも大学教授が沢山、タレント教授というスターなみの人気をもつ人もいますね?
でも、タレント・スター教授と言われる人も、身近な存在になれば(例えば同僚になる)、普通の人が多いです。
ということは、私たちがイメージする「いかにも大学教授」という人は意外と少ないのですよ。
(13)プロ野球の選手、大学の先生
授業の感想(抜粋):「クリフォード・ギアーツさんの言うことは本当だと思いました」
♪:そうでしょう、そうでしょう。クリフォード・ギアーツさんについては、こちらにリンクがあります。 がんばって!
(14)サッカー選手で海外でやる、大学の先生
授業の感想(抜粋):「誰にでも[大学教授に]なれると言っていたけれどぼくは、そう思いません。言語学者も悪くないと思い少しきょう味を持ちました。ぼくは早く大学生になりたいです。外国語の勉強が好きなのでそれをやりたいです」
♪:言うまでもないけれど、プロスポーツで頭角をあらわし、引退後ビジネスに転じて、億万長者になるよりも、大学の先生になるほうがはるかに簡単です。 がんばって!

ここから、大学とは?とうことについて検討します。整理しましょう。
大学とは、小学・中学という義務教育の後にくる、高校あるいは高専の後に進む学校のことです。ただし、高専は、短期大学と同じ扱いがされてい て、高専の先生は「教授」と呼ばれます。また、高専から大学に進学する場合、大学での一部の勉強の科目が免除されることもあります。
大学を卒業すると、大学院(だいがくいん)というさらに上の学校があります。
大学はふつうは4年生です。また、医歯薬獣医などの学部では6年制という奇妙な(正確には中途半端な)専門教育があります。
(15)1.プロ野球、2.大学の先生
授業の感想(抜粋):「本当にわかりやすかったです」
♪:前のコメントと同じです。すなわち、プロスポーツで頭角をあらわし、引退後ビジネスに転じて、億万長者になるよりも、大学の先生になるほうがはるかに簡単です。 がんばって!
(16)10年後の自分、プロ野球選手
授業の感想(抜粋):「池田さんのおかげで大学の先生のしくみがわかりました」
♪:そうでしょう、そうでしょう。がんばりましょう!

大学という場所は、行ってみてわかりますが、いかにも勉強するところという雰囲気があります。
時計台や、校章や、図書館などがその代表ですね。
(17)大学生、テニスプレーヤー
授業の感想(抜粋):「大阪大学のことをもっとよく知ることができました」
♪:阪大はでかいからね。誰も全体のことを把握しているわけでもありません。がんばりましょうね。
(18)10年後の私。私は将来動物に関係している仕事につきたいと思っているので、大学の獣医学部に入っていたり、短大を卒業して、トリマーやドッグトレーナーになっていたりしてるといいなと思います。
授業の感想(抜粋):「池田先生に会ってとてもやさしそうで、おもしろい先生もいるんだ!とびっくりしました」
♪:はいどうもありがとうございました。がんばりましょうね。

教育に携わる人にはさまざまな呼び方があります。
1.教諭(きょうゆ):小中高、養護、ろう、盲学校、特別支援校などの先生は、教員免許法による合格者だけが名乗ることができます。また、その資格の 維持や剥奪についても、きちんと管理指導されています。
2.教授(きょうじゅ):先にも触れましたが、大学の高専の先生です。高専のほうはよくわかりませんが、大学の教授になるための資格試験というものは ありません。私が、大学の先生(=教授)というのは、誰にもなることができると言ったのは、このような意味からでした。
(19)10年後の私。医者になりたいです。どんな病気でも治せるようになりたいです。
授業の感想(抜粋):「途中で問題をいれたり、図や写真付きで説明していただいたので非常にわかりやすかったです。分かりやすくおもしろ、ためになる、そういう話だったと思いました」
♪:よい医師になるためには、よい医師の先生をみつけて、じぶんの将来の姿に近づけることが重要かもしれません。がんばりましょうね。
(20)大学生、医者。
授業の感想(抜粋):「世の中のために大学の先生はかっこいいし、すごいと思いました」
♪:すごいだけでなく、苦労も多いぜ〜。がんばりましょうね。

もちろん、大学の先生は教授だけではありません。
教授のほかに、准教授(じゅんきょうじゅ)、講師(こうし)、助教(じょきょう)というランキング分けの身分というものがあります。また教授の肩書き にも大学ごとに特任(とくにん)、特命(とくめい)教授、名誉教授などのさまざな制限や利点がついた役職があります。それ以外に、研究員というものも あります。これらは、身分あるいは階級というものに近いと言えます。
世間で一番エライはずの大学の先生たちは、すでに古くさくなったと言われ、多くの民主主義社会で廃止された階級制という世界の住人であるのと嫌みを言 うこともできます。ただし、このクラス分けについては、ボクシングのウエイト(例:ライト級、ウェルター級、へピー級など)などのランキングと変わら ないとか、会社で言うところの係長、部長、重役のような違いと同じなので、大学の先生の頭が古くさくないと屁理屈を捏ねる意見もあります。
(21)10年後の私。普通に大学を卒業して、テレビ局に勤めたい。ADとしてがんばりたい。
授業の感想(抜粋):「あいさつの時に、イスの上に立ってあいさつしていて少しおどろきました。紙に「10年後の私について書け」と言われて何を書こうか、とてもなやみました。この紙でどんなことをするのかなぁと思っていたら、何もしなくて、あとで紙にまとめると聞いたときは、みんなの書いたものがみれるのかなぁと思って今からとてもたのしみです」
♪:はい、その結果が、この新聞です。あなたのコメントは生き生きして、私(池田)も元気をもらいました。がんばりましょうね。
(22)10年後の自分。結婚して普通のサラリーマンが良い。
授業の感想(抜粋):「今日の池田さんの話を聞いて、ぼくも先生になってみようかという気持ちがぐっとわいてきました。……池田さんもいつかノーベル賞をとれるような教授になってください。きたいしています」
♪:フフフフフ……「なってみようか」なんていうセリフは10年早いわ!修行がたりんぞ〜と気合いを入れてあげましょう。 がんばりましょうね。

さて、ここからが大学の組織についてです。
大学の組織は、4年間の学生が所属する学部(がくぶ)というものがあります。大学院では、所属組織としては研究科と呼ばれる集団に属していま す。大学院は、2年間の履修期間の修士課程(しゅうし:あるいは博士前期課程)および博士課程(はかせ/はくし・かてい:あるいは博士後期課 程)という組織があります――ただしこれにはいくつかの変種があります。
学部と研究科が大学のメインの組織ですが、大学での研究と教育を支えるために、必要な組織があります。つまり、各種の研究所、研究センター、図 書館、そして、これが必要不可欠で大切な組織なのですが、事務組織があり、ここでは、将来の計画や設計、実際の運営、および経理を担当する会計 という組織があります。
(23)夢は実の畑と山を継いでぼちぼち農業して一人暮らしをしていろいろと思う。そして兄弟はどこか遠くに引っ越しているのだと思う。
授業の感想(抜粋):「とくに驚いたことは、大学の先生になるために、資格がいらないということでした」
♪:農業、いいねぇ〜。私(池田)も引退すれば、小さな菜園をもちたいです。日本の農政は、農水省とJAによって、とても歪(いびつ――もちろん世界共通の問題もある)な成長を遂げました(参考文献:ちょっと古いけれど、立花隆『農協』朝日新聞社、1984年)。農業を正常にするためには、世界的な農家のネットワークづくりがまず重要です。がんばってください。
(24)十年後の私。十年後は父と同じ仕事(歯医者)について、父の助手として働いている。
授業の感想(抜粋):「大学の先生は、本や論文のアイディアを自分で考えなくてはいけないこと、その論文などには〆切りがあるということにびっくりしました」
♪:もちろんお父様の職業でも同じです。次の治療までに、歯科医もまた用意しないとかりません。治療にも〆切りがあるのです。がんばりましょうね。

大阪大学とはどういうところでしょうか?
2009年4月現在で、10学部、11研究科と、学部をもたない5つの研究科があります。さらに5つの研究所、3つの病院、1つの図書館ただし、分館 が数館あるいはそれ以上あります。また、学内には21以上のセンターがあります。
学部学生と大学院生をあわせるとなんと2万4千人もの人たちが勉強しています。まさにひとつの共和国のような感じです。ちなみに、阪大の豊中キ ャンパスのサイズは、バチカン市国と同じ大きさがあるのです。
この2万4千人ちかくの学生を支えているのが、5千人の教職員です。
(25)『十年後の私』私は20歳を過ぎたらなってみたいものがあります。それは天文学者です。父の影響で星や宇宙が好きになり、現在は天文学者になりたいと思っています。
授業の感想(抜粋):「私には大1[大学1年生のこと]の兄がいます。なので、前から少し「大学の先生ってどんなんだろ?」と疑問をかかえておりました。が、今回、大学の先生(池田さん)にお話を聞かせていただいたので、とてもうれしかったです」
♪:いいねぇ。私の、そして世間の多くの人が抱く現代の偉大な天文学者は、ホーキング博士だね。彼の存在が天文学そのものの人気を下支えしていることはよく知られていますね。がんばりましょうね。
(26)10年後の私。ぼちぼちな大学を卒業。東京に住んでいる。出版社に勤めている。結婚するまでは、マンションに住んでいる。
授業の感想(抜粋):「まず思ったのは、話がおもしろくてとても新鮮でした。……でも1つ理解できない事がありました。それは、「勉強が楽しいと思える事」でした。今の私にはどうしても理解できないと思います(この環境だからかもしれませんが)いつか先生のように思える日が来るかな、と思います」
♪:「勉強が楽しい」ということが、それほど困難なことでしょうか?_好きなことを好きなだけ調べる勉強が楽しくないわけがありません。アリストテレス先生も言っています。人間は知ることを(本質的に)欲するというふうにね。がんばりましょうね。

このような数字を聞いて、阪大はでかい、あるいはでかすぎる!と言わないでください。
上には上があります。
現在、大学の廃校化がようやく始まりましたが、2009年4月の時点では、日本の大学数は役720校、そのうち私立大学は560校ほどあります。
国公立大学は160校ほどあり、国立大学――と言っても国が経営しているのではなく国の費用で運営している国立大学法人という法人資格の組織―― は、全国に87校もあります。
大学の先生の数は、およそ16万7千人です。これは日本の医師の数よりも少ない数です、スライドをみて、男女比についてもよくご覧ください。
大学の学部生の数のランキングでは、日本大学7万、早稲田大学4万5千人、立命館大学3万6千人、東海大学3万2千人、近畿大学と明治大学が3 万人います。阪大の学部学生は1万6千人です。
(27)一戸建てに住んで会社で働くサラリーマンで月収40万円で結構いい会社に入っている。子どもは2人で庭付きの広い家に住んでいる。
授業の感想(抜粋):「大学の先生というのは最初はしんどい事ばかりかと思いましたが、本当はそうでなく楽しい事やうれしい事もたくさんあるものだと思いました」
♪:そうです、そのとおりです。がんばりましょうね。
(28)マンションに住んでいて自分の気に入った仕事につき、給料が多いわけでもないが家族と暮らしている。
授業の感想(抜粋):「大学は身近ですがぼくたちとはあまり関わりの無い所です。したがってあまり大学のことは知りません。しかし今回のお話を聞いて大学のことを知ると同時に大学に興味をもつことができました」
♪:なるほど、もっと興味をもってね。がんばりましょうね。

大学の先生の仕事にはどんなものがあるでしょうか?
大学の先生の仕事は昔から、研究と教育にあると言われてきました。
しかし、私じしんが実際に働いてみると、大学の運営という仕事が結構多くあります。
ここでの大学の運営業務とは、管理、入試、予算、広報などの活動に関わるものです。
(29)私が10年後を想像してみると就職していて働いている姿が思い浮かびます。音楽がたくさん聴ける所で大阪で暮らしている。
授業の感想(抜粋):「研究を積みかさねたりして、人の役に立つことはとてもやりがいがあり素晴らしい仕事だと改めて思いました」
♪:これらの特徴は、ほかの学問でも共通することです。がんばりましょうね。
(30)大学で友達と一緒にこれからの事について話し合っている。サッカーをしている。
授業の感想(抜粋):「阪大の教授ということだけあってとてもきんちょうしました」
♪:緊張なんて、まさか? 冒頭はみんな、わいわいがやがやしてましたよ〜!(大学の業界用語では「私語」(しご)あるいは「死語」(後者は「授業を殺し生徒の頭が死んでいるという意味での私の造語」といいます。がんばりましょうね。

大学の先生の教育上の仕事あるいは使命(ミッション)とはなんでしょうか?
それは以下の2つです。
1.学生に勉強を教えること
2.学生が学問の習得にもとづいて、現在および将来においてただしく生きることができるように「知恵」を授け、また学生が自分自身でそれらの知 恵を身につけるようにすることできるように、側面から指導することです。
(31)大学を卒業してパン職人になるためにがんばっている。
授業の感想(抜粋):「私の家から大阪大学まではすごく近くて一度中に入ってみたいなぁと思っているけれどなかなかチャンスがないので自分が勉強してそこに行くしかないのかなと思いました」
♪:はいはい、入試だけでなく、図書館などにも来てください。がんばりましょうね。
(32)大学卒業して社会人になって本格的にゆめに向かってスタートしてきてる。
授業の感想(抜粋):「大学の先生は、私はいそがしくてたいへんというイメージだけだったんですけれど、楽しいと聞いてちょっとやってみたくなりました。……池田さんみたいな明るい先生がいてくれたら、やる気がめっちゃでてくると思うので、これからも生徒を明るくしてください」
♪:ちょっとだけやるには、大学の先生はいいかもしれません。ずっとやると、しんどい辛いこともあるからねぇ。ま、がんばりましょうね。

大学の先生になるには、どうすればよいでしょうか?
むかし「教授の上司に毒を盛ればよい」などの冗談で盛り上がりました。もちろん、そんなことはできません。それは前項で説明したように、大学の 先生の使命=ミッションは、学生が正しく生きることを教えることですので、先生がそれを破るわけにはいきません。それどころか模範にならなけれ ばなりませんんで、大学の先生は、民主的で、公平で、かつ公正でなければなりません(これは厳しいことですが、逆にこの部分をクリアすれば「自 由に」教育や研究をすることが保障されているので、みんなの模範になることには、それなりの意義もあります)。
もとい。ふつうのコースは、大学を卒業してから、大学院に進学し、博士号(はかせごう)の学位をとり、研究を続け、大学教員の募集に応募するこ とです。
もちろん、一度社会人になり、大学院に入って勉強し、大学教員になる人も増えてきました。
(33)私の夢は大学の教授になっていることなので、大学院に入っていると思います。
授業の感想(抜粋):「私の将来の夢は大学の[物理学の]教授になることなので、今回の先生の話がきけてとても嬉しかったです。……今回、先生の話がきいて、もっと教授の話がきけて、もっと教授の仕事を知ることができて、もっと自分の夢が身近に感じられました。大学は自分も通る道なので、今からでも一生懸命勉強してがんばりたいです」
♪:う〜ん、それは具体的な人生設計だ。ただし、物理学は、応用することに興味深いことがたくさんあります(例えば戦争のための原子爆弾開発と、平和利用としての原子力発電とか。そして、原爆は原発の廃棄物から容易にできるから、両者の関係は水と油、まったく正反対の関係ではありません。そして、理性的と呼ばれる大学の先生は、このことの関係について未だクリアな議論ができているとは言えませんからね)ま、がんばりましょうね。
(34)10年後の私は大学を卒業していてほしいです。一人暮らしができるくらいに成長してほしいです。
授業の感想(抜粋):「大学の先生はずっと研究しているので新しい発見ができていていいなと思いました」
♪:いいでしょう? がんばりましょうね。

皆さんの質問・コメントが私の話題提供をより深いものにするでしょう!!
(35)10年後の私はまだ決まっていないけれど大学で勉強……か卒業していてほしいです。仕事しているなら人のためになる仕事をしていると思います。
授業の感想(抜粋):「今日はとてもきちょうな経験をしたなと思いました」
♪:そうでしょう、そうでしょう。がんばりましょうね。
(36)大学に通っていると思います。10年後は技術が進んでいると思うので生活が便利になっていると思います。
授業の感想(抜粋):「私もそろそろ進路について考えなくてはならない年になってきましたが、池田さんみたいに、自分のやりたい仕事につきたいなと思いました」
♪:いいねぇ、前向きの姿勢が! はい、がんばってね!

とよ[の]なかXチュウ新聞(号外)
2009年2月25日 初版印刷・発行(発行部数 限定40部_印刷版)
編著者…………池田光穂(垂水源之介)・豊中市立第X(エックス)中学校1年生有志
発行者…………垂水源之介
発行所…………大阪府内某所
■人文社会系ゼミで学ぶ高校生のためのライフデザイン
■中学生・高校生のための文化人類学講座