人文社会系ゼミで学ぶ高校生のためのライフデザイン

■ 趣旨
この授業では、大学進学を前提にする高校生(とくに1年生、2年生)の皆さんに、(1)大学卒業後の自分の[複数の]将来の設計図を描くことで、(2)進路選択のための大学の学部や専攻分野に関する情報収集活動を促し、さらに(3)進学後に本格的に勉強する学問分野に関する基礎的な情報を知り学習することで、ともすれば課題学習や解法スキルのパターン学習になりがちな勉強のマンネリ化を回避し、(4)現在おこなっている断片化された知識習得のシステム的弊害を学習主体の側から克服する方法を考えます。
■ 方法論
上の文章は難しいので、これを実現する方法について、ここで今一度やさしく要約します。
1.対象は高校生です。
2.大学卒業後少なくとも20歳代を終了するまでの、人生の将来像(=自分の将来の夢)をひとつないしはそれ以上の可能性について設計します。
3.この夢を実現させるための経路を最初は単線のアルゴリズムとして設計します(このページの下図――図の形式は「フローチャート」(流れ図)と言います――を参考にして自分で作図します)。
4.次にアルゴリズムの枝(途中で出てくるさまざまな変化の可能性)への対応を想定し、最終的に夢に到達あるいは近いところに着地するように経路の複数化を試みます。[これは現時点では必須ではありませんので5.進んでください]
5.将来の夢を実現することと、大学に進学し学ぶべき内容について予備調査します。
6.進学を希望するその大学が提供する学問分野と、自分が勉強したい分野が重複しているかどうかをチェックします。合致しない場合は、偏差値の範囲を広げて、自分がやりたい学問分野を提供する大学や学問分野の領域を広げます。
7.以上のことをふまえてアルゴリズムを含んだ図を作成し、また、自分の将来の夢と、夢に向かって具体的にどのような情報を収集ししたのか、またその情報をもとに、大学に入るまでに何をやらねばならないのかについて、800字程度の作文をします。
■ 夢を実現するためのアルゴリズム(左側)と「行為選択に必要な知識や情報」(画像をクリックすると単独で少し拡大します)
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■ 図表ファイルのダウンロード
この左図表(文字が入っているもの)のpdfファイル 091110mae.pdf(約144k)/この右図表(文字が入っていないもの)のpdfファイル 091110maeB.pdf
■ 必要な作成物(確認)
1.自分で作成した自分の人生設計のアルゴリズム:手書きでもかまわない:ただし数人で閲覧できるような大きめのサイズが好ましい。
2.アルゴリズムをもとにした、自分の将来の夢と、夢に向かって具体的にどのような情報を収集し、大学に入るまでに何をやらねばならないのかについて、800字程度の作文。
■ 発表会
とき:2009年11月10日(火)13時00分から14時00分
ところ:大阪大学豊中キャンパス・コミュニケーションデザイン・センター・オレンジショップ[所在地]
対象者:群馬県立前橋高等学校1年生41名と引率の進路指導の2名の先生方
連絡先:大阪大学コミュニケーション・デザインセンター(CSCD)大阪府待兼山町1-14 ワークショップ担当者:池田光穂
照会先:この件についての質問(電子メールで)は、tiocaima7n★mac.com 【星印マークをアトマーク[@]】で受付ます。
■ 発表会の形式
まず6人程度のグループになった班を編成します。次に、グループ内で、各人が発表します。その後グループ内でコンペティションをおこない、各グループで優秀作品と次席のものを決定します。決定後、今度は優秀作品をそのグループを代表するものとして、グループ内のメンバーの協力で、全体発表の場で、グループ間でコンペティションをおこない、クラス(ゼミ)全体で最優秀作品を選出します。
発表全体における皆さんの仕事ぶりや、プレゼンテーションについて、ファシリテーターの教師は最後にコメントし、高校生のためのライフデザインについての実践的な助言をおこなう予定です。
阪大に来る前に準備を周到にやりすぎると、逆にアクシデントの面白みが経るので過度の用意は不用です。ただし、この段取りに慣れない人(生徒)は、予定している1時間半はあっというまに過ぎてしまうので、高校でのリハーサルをやっておくことをお勧めします。つまり、授業の現場力(げんばりょく)を事前のリハーサルによって身につけておくのです。
■ 用語集
ライフデザイン:
人生や生活を、その本人が設計すること。ライフ(生活・人生)を名詞の形容詞的用法にして造語した和製風の日本語です。英語に翻訳すると、designing one's life course (ある人の人生コースを設計する)というのが、その造語のここで皆さんに伝えたいニュアンスを含む表現になります。[→リンク]
アルゴリズム:
問題を解くために効率的な手順を示したもの。このページではアルゴリズムは上の図のような「フローチャート」(流れ図)として表現(=表象)されています。
コンペティション:
略してコンペという。狭義の意味は競争のことをさすが、グループ学習におけるコンペとは、みんなが作品を紹介してそれを比較することで、それぞれの作品の利点と弱点を相互に理解し、よい/わるい評価の基準をその過程をとおして[メタ的に]理解させようとする学習の意味がある。
現場力:
実践の現場で人が協働する時に育まれ、伝達することが可能な技能であり、またそれと不可分な 対人関係的能力などの総称のことです。現場力は、現場にある物理的な力だけでも、個人に備わる能力だけでもない。その両方の性質を有するものである。[→オリジナルリンク先]
■ このページのワークに関する倫理学ノート
この手順(プロトコル)に従ったライフデザイン構築をおこなうことは、人間的に正しい行為を行うということとは何の関係もありません。なぜなら、この手順(プロトコル)に従えば、愚かで反倫理的な目標「20歳になるまでにX人を殺して死刑になる」「40歳までに麻薬ディーラーのマフィアの親分になって豪邸に住み愛人をX人もつ」についても、その実現に向かったフローチャートを具体的に立案することができるからです。したがって、このプロトコルに自ら正直に従っても、そのような「愚かで反倫理的な目標」をもつ限り、それを実現するための「合理的な行動」を推論することができます。従って、目標設定には、自分の良心、常識的な社会道徳(=通念)、あるいはこのワークを指導する指導者(スーパーバイザー)による、目標が倫理に反していないかという点検を、このプロトコルの外部から呼び出す(=召喚する)必要があります。グループワークでおこなうことの意義は、議論を複数の参加者に公開することで、このような誤った目標を常識的にチェックするということにもあります。ここで取り扱う人生の目標は、参加者の皆さんのそれぞれのプライベートなことに属するものですが、なぜ自分の目標や具体的戦略をグループのメンバーに開示しつつおこなうのかという意義は、ここにあります。
■ 関連するリンク
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