
民族誌学(みんぞくしがく)とは?
What is the ethnographic study ?
解説:池田光穂
民族誌学(ethnography, ethnographic study, ethnology)とは、今を生きる世界のさまざまな人びとの生活をおもに記述したり記録することを通して、あるいは、そのような記述をもとにした民族誌(ethnography)を比較検討することによって人間の文化の個別性と普遍性について考える学問分野をさします。[→民族誌]
ただし、この説明は民族誌学に3つの翻訳語(この場合は英語)を与えているために、皆さんが混同するかもしれません。冒頭で民族誌学と名づけた名称のそれぞれの訳語の意味(含意)を解説することで、これらの混同を軽減します。
(1)エスノグラフィーとしての民族誌学:
民族誌とは、フィールドワークという経験的調査手法を通して、人々の社会生活について具体的に書かれた体系的体裁によって整え られた記述のことです[→出典]、したがって、この意味での民族誌学は、民族誌記述・記録をおこなう実践行為とその考察のことを意味します。
(2)民族誌にもとづく研究としての民族誌学
民族誌とは、フィールドワークという経験的調査手法を通して、人々の社会生活について具体的に書かれた体系的体裁によって整え られた記述のことです[→出典]、したがって、この意味での民族誌学は、民族誌記述・記録をおこなうことにまつわる考察のことを意味します。(1)の行為から「民族誌をおこなう実践行為」を省いたような内容です。
(3)エスノロジーとしての民族誌学
エスノロジーすなわち民族学は、民族に関する学問でした。民族の定義を人間の集団のひとつと考えると、民族についての学問である民族学と、人間についての学問である人類学と、人間集団の文化 についての学問である文化人類学と、社会という人間集団についての学問である社会人類学、あるいは、人々の語り(folklore)についての 伝承的構成である学問である民俗学(日本語の発音は、みんぞくがく)は、それぞれ、学問の名称は異なっていても、共通する部分は多いように思われます[→民族学]。すなわち、この語感では、民族誌学(民俗誌学)とは、文化人類学、社会人類学、民俗学などの用語とほぼ同義語的なニュアンスで語られます。
じつは、民族誌学という用語の使われ方には、もうひとつの用法があります。
(4)地域研究や特定の民族集団についての詳細な民族誌研究としての[連辞符]民族誌学
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