機械の中の幽霊
the ghost in the machine
解説:池田光穂
デカルトの、内的に省察する自己のドグマ(身体=機械から切り離された内省する自己=幽霊)に関するギルバート・ライルによる批判の表現である。(G・ライル)『心の概念』1949年。
つまり、デカルトは心(res cogitance)と身体(res extensa)をわけ、前者に、直観、自由、分割不能、破壊不能そして自由意志という特権的な立場を与え、自己としての同一性の根拠も心にあるものとして扱われる。にもかかわらず、我々は心と身体の両方をもつ存在としてある。あるいは、他方で、私というものは、私の身体と関連づけられてはじめて意味をもつ。
このようなデカルトの人間観を嘲笑して、ギルバート・ライルは、我々は機械(身体)の中に住む幽霊(心)なのだと表現した。
デカルト的身体観――身体と心の二元性が特色で、それぞれの属性を対比的に描いたために合理主義者がしばしば夢想するファンタスマ(幻影)の例にしばしばあげられる――の問題を的確に言い表した重要な比喩である。
士郎正宗(1961-)原作のマンガ・アニメ作品『攻殻機動隊』の英語タイトルは ghost in the shell だが、これはギルバート・ライルのこの表現に由来する(ユダヤ人ジャーリストであるアーサー・ケストラーの同名の評論(1967)がある)が、ネットワークのゴーストは、明らかにデカルト的でオカルト的な心の概念を隠喩するテーマと議論がさまざまなところで登場する。
文献
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