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EPA にもとづく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ制度について考える

Re-thinking about care workers' trans-national Immigration toward Japan by Economic partnership agreement

池田光穂

EPAにもとづく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ制度について考える







 

我 々は何をなすべきか (2013年6 月29日の研究会報告)於:天理大学

EPA研究の時系列


移民研究

歴史的アプローチ
制度社会学的アプローチ
経済的アプローチ(人口論を含む)
個別アプローチ(民族誌、社会言語学、ジェンダー論)

ジェンダー問題

国境を越えた「感情労働」論(“emotional labor” in transnational context)
ホックシールドの感情労働論は、ゴッフマンとマルクスの議論の統合。成功した面と不完全な面を自覚しない「感情」のみに焦点化した議論はナンセンス
搾取労働論(ルクセンブルグ)の導入が必要かもしれない。

言語問題

理論的/応用的関心
現実的問題
言語使用における「社会差別」論
実践的介入は、すべてのテーマに関して、顕著な問題解決には貢献していない

人口問題

population: 個体数、頭数、生物学的、統計的現象
demography: demos=群衆・民、-graphy=記述、政治経済的、政治社会的現象

アジア人口問題テーゼ

アジアの経済成長は人口ボーナスによる可能性が高い。
アジアの人口構造が変化し、それを「放置」しておくと、同地域における経済問題を鈍化させ、今後、同地域における社会に大きな問題となる。
小峰隆夫+日本経済研究センター編『超長期予測老いるアジア』日経新聞社、2007年


人口問題と技術刷新

人口トレンドは比較的予測しやすい
予測し難いのは技術イノベーション(IT・エネルギー)と政治変動要因(冷戦構造、テロリズム、虐殺)
人口ボーナス<v.s.>人口オーナス
日本は1950-70s=bonus, 95-=onus
アジア65-70=beginning bonus, 2K-=onus

人口増加と高齢化

2005
65億(世界)
1.3億(日本)
7.3%(世界)
20.2%(日本)

2050
95億(14.6億人)
9千万
15.5%(65歳以上)
40.0%

pdf file : HyperAgedSciety2013.pdf


◎今後の研究の方向性に関する提言(池田光穂  2013年6月30日)


今後の研究の方向性に関する池田からの提 言は以下の3点である。

    1. (1)EPAの現場の実践研究:日本 のEPA介護・看護「労働者」の現状と(試験・日本語適応・日本文化適応も含めた)その「支援」の現状と、民族誌・社会誌研究のさらなる推進、
    2. (2)介護・看護「労働」移動に関する EPAに関する政策と人材育成研究:日本の受け入れ当局の整備・逸脱事例の処理、海外での送出にまつわる現象など、 日本と海外を往還し、制度の着目する国際政治の現場研究の展開、
    3. (3)EPAを可能にする介護・福祉・看 護労働者の労働市場を創出する社会が直面する、アジア全域および域内の人口高齢化現象と、高齢者へのケア研究の個別研究と、アジア間における国際研究ネッ トワークの形成


◎報道から(朝日新聞デジタル  2016年9月18日)


定着後の問題を指摘する、朝日新聞デジタルの下記の 記事(一部)を参照のこと

「来日前はインドネシアで小児科の看護師として働い ていた。EPAの募集を知ると、アニメで憧れた日本に行けると夢が膨らみ、2009年に応募した。来日後、4年間は施設で働きながら研修をする。仕事は楽 しく、覚えた日本語で利用者と冗談を言い合った。夕方には自習時間があり、月2回は日本語教室に通わせてもらった。日本の制度や専門用語は難しかったが、 過去の問題を頭にたたき込み、14年に介護福祉士の試験に合格した。ところが、合格後に生活は変わった。国が補助金をつけて施設に研修を義務付けているの は合格するまで。勉強の時間はなくなり、家賃の補助も出なくなった。合格しても給料はほとんど上がらず、長期休暇も取りづらかった。昨年末から夜勤リー ダーの見習いが始まった。最初ははりきったが、期待はすぐにしぼんだ。日勤への申し送りは、15分間で入所者42人分の夜間の状況を口頭で伝える。「失禁 があって全更衣しました」など日常会話では使わない言葉を早口で言う。発音が悪いと、「何を言っているか分からない」とダメ出しされた。毎晩残って練習 し、3カ月間の見習い期間の最後に臨んだ試験。5人分の状況を伝えるのに10分かかったところで、打ち切られた。このころ、日本の受け入れ機関である国際 厚生事業団にメールで送ろうと、書き留めた文章がある。「ずっと我慢して仕事をしながら、申し送りの勉強をしていましたが、やはり疲れました」ログイン前 の続き追い詰められて笑顔をなくし、帰り道に何度も涙を流した。上司に「辞めたい」とこぼすと、「今の状態じゃどこも雇ってくれない」と返された。たまた ま母国で結婚話が持ち上がり、帰国を即決した。「頑張って頑張って合格したけど、もっと高い壁がある。私は日本人と同じようにはなれない」」(松川希実・ 森本美紀による署名記事「外国人看護師・介護士、難しい定着「もう疲れ果てた」」)

出典:http: //digital.asahi.com/articles/ASJ8J354HJ8JUTFL001.html?rm=832(2016年9月18日)

1. これまで日本政府・JICWELS(公益社団法人・国際厚生事業団)が推進してきたEPA(経済連携協定)における「外国人看護師・介護福祉士候補者」制 度は、日本国内における看護業務ならびに介護福祉業務における《労働力補填》のために発足したことは明白であり、この目的は現在でも維持されている。

2. EPA(経済連携協定)における「外国人看護師・介護福祉士候補者」制度は、他の日本における労働力調達制度、たとえばJITCO(公益財団法人・国際研 修協力機構)における「外国人技能実習制度」に比べれば、外国人労働者の労働環境ならびに保護と指導が相対的に良好な制度である――両財団とも業務改善や 適正化においては進展がみられるものの。その理由は、1)職域、2)リクルート制度、3)資格取得への支援制度を通した定着への「配慮」、という3つの条 件の優位性によるものである。

3. 最新(2016年9月現在、上掲)の情報よると、これまでの累積来日者4千人のうち合格者は6百名(15%)であり、この合格者は向上している。ただし、 合格率の向上に寄与しているのは、研修先の日本語指導や合格率をあげるための特別の指導という「受け入れ現場の努力」によりものだと考えられる。このよう な職域の職員の支援と労働現場の配慮には純粋な意味での人間的支援というものがあるが、それにもまして、労働力の確保という切実な課題がある。

4. さらに、合格後の定着は7割弱であり、3割以上は離日(=出身国への帰国)や職場からの離脱などの問題を抱えている。合格後の定着を7割としても、来日総 数から推計しても(600x0.7/4,000x100=)10.5%となり、看護・介護福祉の専門職の移民労働者の支援制度および労働経済学という観点 から言えば、非常のパフォーマンスの悪い制度のままであり、今後の改善が求められる。

5. 外国人労働者が、日本に中期的あるいは長期的に滞在して看護・介護福祉の専門職として定着することは、労働供給の観点からみて好ましいことであるが、それ は労働者の人権や良好な労働条件を満たしてこそ、社会と個人の間の関係におけるウィン=ウィン関係が確保できる。これまでも課題であったが、今後も、改善 がもとめられる点であるところの、1)良好な研修体制の維持と資格制度の合格率の向上、2)合格後の労働条件のみならず日本人労働者との格差解消、3)研 修中ならびに修了後の円滑な定着の促進、4)専門職外国人労働者の労働者の権利擁護の進展、が課題となるであろう。

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研究資金の出典

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