はじめによんでください
研究倫理:2011
―科学者になるということ―
キーワード:学問、科学研究、倫理、研究上の不正行為、科学の社会的信頼性
授業の目的 医歯薬学系、工学系などの研究に関わる倫理的諸問題の全体像を把握し、具体的なトピック に即して、研究に従事する者として踏まえておくべき倫理原則と規範を習得する。
講義内容:教科書に準拠した話題による参加者どうしの討論と発表およびコメントによるフィードバックという対話型授業で以下のような観点に関する議論をおこなう。
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レクチャー
討論(研究倫理事例検討集より)
関連リンク
教科書
米国科学アカデミー編『科学者をめざす君たちへ』池内了訳、化学同人、2010年(原著はインターネットで講読できます:下記のリンク参照)
On Being a Scientist: A Guide to Responsible Conduct in Research: Third Edition
参考書 授業時に適宜紹介します。
ステネック、ニコラス著『ORI 研究倫理入門:責任ある研究者になるために』山崎茂明訳、丸善、2005年:研究倫理授業の討議用の資料集
成績評価
研究倫理の説明と定義(→出典)
研究倫理(Research Ethics)とは、研究活動がなんらかの社会性をもち、かつその成果が社会に影響を与える時に、社会がその成員とりわけ科学者集団に対して、なんらかの規範を与えて、それを適当に制御(コントロール)することを意味します。通常、人が考えたり、研究したりすることは、研究する人の独自で自由な活動であり、それが何らかのかたちでコントロールされることは、一見理 不尽なような印象を与えます。しかし、社会性をおびた人間の属性から、研究が他の人々になんらかに危害を及ぼすことは、その量や数の多寡にかか わらず常に起こりうる危険性をもっています。さらに、研究が「人類を幸せにする」という社会的使命を標榜し、社会から承認され研究費や声援(モラルサポート)を受けている場合において は、研究倫理上の規範をを、研究者自身あるいは研究集団そのもののが作り、それを遵守することは避けられません。他方で、研究の正しさ、客観性の担保、そして「人類の福利」などの基準などは、時代や社会によって相対的に決まるという特性があるために、研究倫理上の正しさや正当性の基準もまた変化します。それゆえに、研究倫理は、研究者集団およびそれを見守る社会によって、定期的に管理、点検 され、必要に応じて改訂してゆく作業が不可欠です。[池田光穂「研究倫理」医療人類学辞典]
研究倫理を考える
近代科学やそれを実用化した革新的技術は飛躍的に発展し、人間や社会に対して多大な恩恵をもたらしてきた一方で、環境・生態系の破壊や大量殺戮などの問題を引き起こしてきたことも歴史的事実です。科学や技術はまた、政治権力や巨大ビジネスと結びつくとき、様々なマイノリティの人権の侵害につながるということもあったし、その成果が万人に享受されないことも珍しくありません。自由かつ独創的で、質の高い科学研究は、そうした人間生活や社会との関係を視野に収めた研究倫理に裏づけられたものでなければならなりません。言い換えれば、科学研究は、それが人間や社会に対してどのような影響を及ぼすのかを意識し、絶えず自らの営みを反省することが必要となるのです。従って、科学研究における責任ある行動が、誠実さ、正確さ、効率性、客観性といった基本的な価値を尊重するものでなければならないことを踏まえ、科学研究の健全な発展を図ることが研究に従事する者一人一人に求められます。
今、なぜ、研究倫理か
近年、成果至上主義や利潤追求などの圧力によると思われる科学研究の不正行為が頻発する傾向が見られます。科学研究において不正行為が行われると、健全かつ正しい科学研究の発展が阻害されるだけでなく、研究に対する社会の信頼が損なわれ、多くの人々に対して重大な悪影響がもたらされる可能性があります。それゆえ、多くの国では、不正行為を予防し、かつ起こった場合にこれを適切に処理して再発防止に務めるために、国家レベルあるいは各大学・研究施設がそれぞれ指針を定め、研究不正行為に対処するための研究倫理委員会を設置しています。これに対して日本では、研究の不正行為が頻発している中で、十分な対応ができているとは言えない状況にあり、政府や学術会議あるいは各大学・研究施設がようやく取り組みを開始しているところです。
研究倫理観の向上のために
本講義では、医学・工学のみならずすべての大阪大学大学院で研究者を目指す大学院生(3年次以上の学部学生を含む)を対象として、研究開発(R&D)の社会的意味、研究実践上における公正、研究者集団と社会における公正、研究室内の人間関係における公正などについて多角的に考察します。そこでは、科学研究を取り巻く社会的な課題が具体的に取り上げられ、受講者自身が自分自身の問題として考える姿勢を身につけること、そして受講者各自の研究倫理観を向上させることが目指されます。
この授業科目は、本年度(2011[平成23]年度)をもってこのタイトルと内容での最終年度となる可能性があります。次年度以降の開講タイトルと内容は未定です。
Copyright Mitzub'ixi Quq Chi'j, 2010-2011