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ブリコラージュという概念について

On Bricolage of Claude Levi-Strauss

池田光穂

ブリコラージュとは、寄せ集めでなにかを造ったり (間に合わせの)修繕といういみで、繕(つくろ)う、誤魔化すというフランス語のブリコルール(bricoler)に由来する。レヴィ=ストロースは『野 生の思考』( La Pensée sauvage, 1962)において、「未開人」でも我々(=非未開人の意味だろう)でも、日常生活のなかで、さまざまな間に合わせ細工をもって実践にをもって世界に対応 しているさまを指摘し、そこに着目することの重要性を指摘した。

「実際に彼は自然/文化という対立の価値に異議を唱 え続ける。『基本構造』から十三経過したのち、『野生の思考』は、いま私が引用したテクストに忠実れわれがこだわった自然と文化の対立が今日においてわれ われに対してもつ価値とは、とりわけなものであるように思える」。そして、この方法論的価値は、その「存在論的」な——と、ここではこうした概念に疑念を 表明することなく、言っておくことにするが——無価値によって影響を蒙ることはないのである。「個々の人間集団を一個の一般的人類のなかに吸収してしまっ たとしても十分ではないだろう。こうした最初の試みは、他の……精密科学や自然科学が行なうべき試みを生み出していく。つまり、文化を自然のなかに再統合 し、最終的には、生命を、その物理—化学的諸条件の集合のなかに再統合するという企てである(三二七頁)」デリダ」(pp.576-577)

「他方、やはり『野生の思考』のなかで、レヴィ= ストロースはかかる方法の言説とでも呼ぶことが可能であるものを、ブリコラージュという名称で提示している。ブリコラージュをする者は「応急の手段」つま り、自分の周囲の手の届くところにある道具を使用する者であるとレヴィ=ストロースは言っている。そうした道具類は最初からそこにあったのであり、それら を用いて行なおうとしている操作のために特別に考案されたものではない。ひとはその操作に道具が適応するかどうかとにかくやってみるのだが、必要と思える ならいつでもためらうことなく道具を取りかえるし、あるいは、起源や形態が異質なものであってもためらうことなく複数の道具を同時に試みるのである、等 々。したがってブリコラージュという形式のなかには言語の批判(クリティック)が存在している。さらには、ブリコラージュとは批判的言語そのもの、とりわ け文芸批評(クリティック)の言語であると言うことさえ可能だったのである。ここで私が念頭に置いているのは、『アルク』のレヴィ=ストロース特集のなか に掲載されたG ・ジュネットのテクスト「構造主義と文芸批評」であるが、それによれば、ブリコラージュの分析は「ほとんど逐語的に」批評に、もっと特殊化して言うら、 「文芸批評」に「応用」可能なのである(これはスイユ社より刊行された『フィギュール』のなかに再録されている。一四五頁)」デリダ(p.577)。

「多かれ少なかれ一貫していたり、あるいは破損して いたりする遺産のテクストから概念を借りねばならないという必要性をブリコラージュと名づけるのであれば、あらゆる言説は素人大工〔ブリコラージュを行な う者〕だと言わねばならない。この素人大工(ブリコルール)にレヴィ=ストロースは技術者を対置するのだが、その技術者(エンジニア)であれば自分の言語 の全体を、その構文から語義まで組み立てねばならないということになる。かかる意味において、技術者とは一個の神話である。つまり、ある主体が自分自身の 言説の絶対的起源であり、その言説の「すべての部品を」組み立てた主体であるというのならば、その主体は言(ことば)の創造者であり言(ことば)そのもの になってしまう。したがって、いかなるブリコラージュとも断絶している技術者という観念は神学的な観念なのである。そして、別のところでレヴィ=ストロー スはわれわれに、ブリコラージュとは神話制作であると語っているのだから、技術者とは素人大工(ブリコルール)が作り出した一個の神話であるという確率が 非常に高くなる。このような技術者と、それから歴史的な受容とは断絶した言説などというものを信じるのをやめて、そして、いかなる有限な言説もある種のブ リコラージュを余儀なくされていること、技術者や学者もまた一種の素人大工(ブリコルール)であることを認めてみよう。すると、ブリコラージュという観念 それ自体が危うくなる。この観念は差異のなかで意味を得ていたのだが、その差異が分解してしまうのである」デリダ(pp.577-578)。

※→グレマス「意味の四角形

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