かならず 読んでください

イノベーション・デザイン

Innovation-Design for our Co-Innovation-Design Center, Osaka University

池田光穂

(1)【問題の所在】イノベーション(新機軸、刷 新、変革)は、事前アイ ディアにもとづいて設計(デザイン)でき るか? というのが私の当面の関心である。

(2)【イノベーションの定義】イノベーションと は、斬新で意外性に富み、「劇的に役に立つだろう」(ないしはそ う思われる)ア イディアを産みだし、それを実際に実行に移すことをいう。クライアントの要求どおりものを生み出すことはイノベーティブ(革新的)とは言わ ないことは、当然である。

(3)【イノベーションの帰結としての環境の変化】 「劇的に役に立つ」ということは、そのような技術や 製品あるいはビジネスモデルが採用されれ ば、それで動いている世界が変わるということを意 味する。

(4)【イノベーションのSDGsについて】は「イノベー ション・カ ルトあるいはイノベーション・マネジメント入門」を参照のこと!

(5)世界のユニコーン企業を分析した結果、今後とも技術革新が起こり得る(=起こることが期待される)分野は、ソフトウェア、消費者向けインターネット、e-コマース、金融、ヘルスケアの5つの部門という(野口 2017:224)。

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グーグル社のCEO(2001-2011)エリッ ク・シュミットは成功した会社(=組織と読み替えてください)の特徴を つぎ の3つにまとめている(シュミットとローゼンバーグ 2014:135)

1)問題を まったく新しい方法で解決する

2)その解 決法を生かして急速に成長・拡大する

3)成功の 最大の要因はプロダクト(できがったも の)である。

さて、イノベーションのデザインのだが、ビジネスに おけるイノベーションを定義したのはシュ ンペーター(1911)[Joseph Schumpeter, 1883-1950]だという、今から1世紀以上も前のことである。その定義は、「経済活動のなかで生産手段・資源・労 働力などをそれまでとは異なる方 法で結合」することだという(『経済発展の理論』)。

以下のウィキの記述を冷静に分析してみよう。

"Schumpeter identified innovation as the critical dimension of economic change. He argued that economic change revolves around innovation, entrepreneurial activities, and market power. He sought to prove that innovation-originated market power can provide better results than the invisible hand and price competition. He argued that technological innovation often creates temporary monopolies, allowing abnormal profits that would soon be competed away by rivals and imitators. These temporary monopolies were necessary to provide the incentive for firms to develop new products and processes." - Joseph Schumpeter, An Introduction to Economics with Emphasis on Innovation, Pol, E Carroll,P, 2006.

"Innovation can be defined simply as a "new idea, device, or method".[1] However, innovation is often also viewed as the application of better solutions that meet new requirements, unarticulated needs, or existing market needs.[2] This is accomplished through more-effective products, processes, services, technologies, or business models that are readily available to markets, governments and society. The term "innovation" can be defined as something original and more effective and, as a consequence, new, that "breaks into" the market or society.[3] It is related to, but not the same as, invention.[4] Innovation is often manifested via the engineering process. The exnovation is the opposite of innovation."

"Schumpeter begründete in seiner Theorie der wirtschaftlichen Entwicklung (1911) Pionierleistungen nicht vorwiegend mit ökonomischem Eigennutz, sondern mit psychologischen Motiven, zu denen auch die „Freude am Gestalten“[7] zählt. Schumpeter zufolge wird ein innovativer Unternehmer durch seine Innovation zu einem Monopolisten – so lange, bis Nachahmer auftreten (oder seine Innovation durch andere Entwicklungen verblasst). Schumpeter erkannte damit das Wechselspiel aus Innovation und Imitation als Triebkraft des Wettbewerbs. Es bildet die Grundlage für eine Reihe von Konjunkturmodellen.[8] Die Begriffe Schöpferische Zerstörung und 'kreative Zerstörung' sind in der Makroökonomie bis heute bekannt." Joseph Schumpeter, in German

"Innovation heißt wörtlich „Neuerung“ oder „Erneuerung“. Das Wort ist vom lateinischen Verb innovare (erneuern) abgeleitet. In der Umgangssprache wird der Begriff im Sinne von neuen Ideen und Erfindungen und für deren wirtschaftliche Umsetzung verwendet. Im engeren Sinne resultieren Innovationen erst dann aus Ideen, wenn diese in neue Produkte, Dienstleistungen oder Verfahren umgesetzt werden, die tatsächlich erfolgreiche Anwendung finden und den Markt durchdringen (Diffusion).[1] Das Gegenteil von Innovation ist die Exnovation." Innovation, in German

彼(=シュンペーター)によるとイノベーションのタ イプは次の5つである。先のシュミットの 指摘とよくにている(出典は、ウィキペディア「イノベーション」)。

これは東畑らの翻訳によると、《新結合の遂行》 Durchsetzung neur Kombinationen と記されている(岩波文庫『経済発展の理論(上)』Pp.182-)

1)「新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られて いない財貨、あるいは新しい品質の財貨の 生産:The introduction of a new good — that is one with which consumers are not yet familiar — or of a new quality of a good.

2) 新しい生産方法の導入:The introduction of an improved or better method of production, which need by no means be founded upon a discovery scientifically new, and can also exist in a better way of handling a commodity commercially.

3)新しい販路の開拓:The opening of a new market that is a market into which the particular branch of manufacture of the country in question has not previously entered, whether or not this market has existed before.

4)原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得: The conquest of a new source of supply of raw materials or half-manufactured goods, again irrespective of whether this source already exists or whether it has first to be created.

5)新しい組織の実現」:The carrying out of the better organization of any industry, like the creation of a monopoly position or the breaking up of a monopoly position.

イノベーションされるものはいったいなんであろう。 シュンペーターからは次のような特徴をま とめることができるだろう。これは私(池田)のパラフレズである。

1)あたら しい価値をもった財が、生まれ出ること (=イノベーティブ・プロダクト)

2)それら の生産のプロセスが、イノベーティブであ る(=プロセス・イノベーション)

3)流通プ ロセスや経路の、イノベーション(=トラ フィック・イノベーション)

4)原料や 供給源の獲得が(従前の方法よりも)イノ ベーティブである

5)イノベーティブ・プロセスの結果生まれた組織そ のものが、イノベーティブ(=以前には存 在しなかった組織が産れること)

つまり、

オープン・イノヴェーションの最初の提唱者は、ヘン リー・チェスバーグによる。

Open innovation is a term promoted by Henry Chesbrough, adjunct professor and faculty director of the Center for Open Innovation at the Haas School of Business at the University of California, in a book of the same name, though the idea and discussion about some consequences (especially the interfirm cooperation in R&D) date as far back as the 1960s - Open Innovation(Wiki- Eng) Even though, the article has multiple issue.

シュミットとローゼンバーグ(2014:128- 129)は次のようにいう。「オープンか否かというのは、倫理的な選択ではな い。初期設定をオープンにするのは、エコ・システム(=比喩的意味)においてイノベーションをうながし、コストを下げる方法なので、むしろ戦略的選択とみ たほうがよい」。

また、レッシグは「インターネット上で花開くイノ ベーションの源泉を理解するには、 インターネットのもともとの設計についてある程度理解が必要だということだ。 そしてさらに重要なこととして、このもとのアーキテクチャに対する変更が、 ここでのイノベーションの範囲にも影響を与えかねないということを理解しなければ ならない」(p.62)というように、イノベーションは、それを支える環境(=上掲 の比喩としてのエコシステム)を変えることを示唆している(→出 典:『コモンズ』)。

また、既存の制度やシステムは、イノベーションの生 成には、しばしば邪魔になることを示して次のように言う。

「ソ連東欧の失敗の教訓は、 国家コントロールによるイノベーションは失敗するということだ」(p.218)。

「市場でもっとも成功した企業のコントロールするイ ノベーションは、 新しい形の創造性に対しては体系的に目を背けるということだ。これはまた、 インターネットの教えてくれる教訓でもある」(p.218)

「議会は、 古い力が新しいもののイノベーションを踏みにじらないようにする役割を果たせる」(Pp.308-309)

「閉じたネットワークは、イノベーション全般に対し て外部性を作り出す。 それはあらゆる新しいイノベーションにライセンスを供与しなくてはならない参加者 の数を増やすことで、イノベーションのコストを増やしてしまう。そのコストは、 消費者が直接負担するものではない。長期的にはもちろん、それがコストなら、 消費者が負担することにはなるだろう。でも短期的には、 消費者はクローズドなモデルがつぶしてしまっているイノベーションには気がつかない」(pp.249-250)

「創造性というものがそれ以前の創造性にいかに依存 しているかを明らかにしてくれ る。つまりどちらも、 イノベーションというのが他人の仕事に何かを追加することだと示してくれる」(p.274)

また、アートとイノベーションの関係について……

「アーティストには報酬があるべきだ。でもかれらが 報酬を得る権利は、 新産業におけるイノベーションの発達をコントロールする業界の権利にすり替えられ てはならない」(p.307)。「つまりこの業界は、新しいイノベーションの拒否権を要求していて、 そしてその拒否権の後ろ盾として法を持ち出そうとしている」(Pp.308-309)

発明とイノベーションの関係については……

「これらの事例すべてで、独占を認める機関が尋ねた 質問はたった一つ : この種の 「発明」は、特許の対象となるほかのものと十分に似ているだろうか? もしそうなら、特許はこの分野のイノベーションにも与えられる。 でも経済学者なら、たぶんかなりちがった質問をするだろう。 特許がイノベーションを喚起することははっきりしているけれど、 イノベーションの一部の分野では、 特許は益よりも害をなすかもしれないというのも明らかだ。 イノベーションのインセンティブを高める一方で、 特許はイノベーションのコストも引き上げる。そしてコストが便益を上回るなら、 特許は意味がない」(p.321)。

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つまり私(池田)の結論はこうだ:イノベーションを人為的にコントロールすることは 困難であり(ただし不可能ではない)、イノベーション自身はデザインできないことである。

 「われわれが文化として捉え直すべき中 核的発想は、 コンテンツに対するコントロールは完全であってはならないということだ。 アイデアと表現は、ある程度はフリーでなければならない。 それがそもそもの著作権法のねらいだった ... 技術は法と結びついて、 いまやコンテンツとその配信に対してほぼ完璧なコントロールを約束している。 そしてこの完全なコントロールこそがインターネットの約束するイノベーションの可 能性をつぶそうと脅かすものだ」(p.378)。

またイノベーションの歴史教育は可能だが、「イノ ベーションを授ける」教育など言おうものなら、それは大いなる法螺とみたほうがいい

イノベーションはその意味で、生物進化の自然選択と 同じようなプロセスをたどっており、さまざまな創造的解釈がまたれているところである(シュミットとローゼンバーグ 2014:286)。(→ Evolutionary economics

それでもなお「教育用プログラム」にこだわってみよう!(反省的にみるには「イノベーション・カルト(Innovation Cult)」のページが役立つはずだ!)

一橋大学イノベーション研究センター編『イノベーション・マネジメント入門(第2版)』日本経済新聞社、2017年

教育用プログラム

リンク先

文献

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For all undergraduate students!!!, you do not paste but [re]think my message. Remind Wittgenstein's phrase,

"I should not like my writing to spare other people the trouble of thinking. But, if possible, to stimulate someone to thoughts of his own," - Ludwig Wittgenstein

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