かならずよんで ね!

知の理論(TOK)

Studies on the Theory of Knowledge, TOK

池田光穂

01:「知の理 論」あるいは「知識の理論」(Theory of Knowledge) とは、国際バカロレアの学士入学(ディプロマ; baccalaureate とはフランス語で学士号の意味)プログラムにおける必修科目のことであり、それ以外の認証システムにおける大学では、通常「認識論」や「認識論入門」に相 当す るものである——正式な日本語訳は「知の理論」。知とはプラトンによる「知的」伝統を汲み「正当化された真なる信念」のことである(『テアテイトス』『メノン』)。

国際バカロレア機構(本部ジュネーブ;1968- )が提供する 国際的な教育プログラム。国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラム——初学(PYP)、中期(MYP)、大学入学資格 (DP)、 キャリア(CP)の四資格がある[引用者]——として、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をと るための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的と して設置」文科省

ディプロマ・プログラムは6教科からそれぞれ1つの 科目選択する(例外として「芸術」から1科目選ぶ代わりに他の教科で2科目選択も可能)。3〜4科目(上限)を上級レベル(HL)、それ以外を標準レベル (SL)と称する。IB(国際バカロレア)では、HLの科目に240時間、SLに150時間を割り当てることを推奨している。

ウィキ(日本語)が解説するその教育水準のスタン ダード化のエピソードが面白い:「国際バカロレア(IB)は当初、世界各国から人が集まる国際的な機関や外交官の子供が母国での大学進学のため、様々な国 の大学入試制度に対応し、1つの国の制度や内容に偏らない世界共通の大学入学資格及び成績証明書を与えるプログラムとして開発された。その目的を、より良 い平和な世界を築くために貢献する人材育成としており、その教育プログラムの特徴として「全人教育」を掲げている。」国際バカロレア

また文科省は、グローバル人材育成の観点から、我が 国における国際バカロレア (IB)の普及・拡大を推進しているが、その背景には、日本人(専門家たち)による日本の大学の国際化/グローバル化対応の資質にそれほど期待し ているように思われる。そのため、EUですでに定評のある国際バカロレアのついて、まず手っ取り早く速習する必要性を感じているように思われる(→文科省 「国際バカロレアについて」)。

フランスのバカロレアつまり「大学入学資格試験」試験については、私の授業「大人のための知の理論=TOK(対話術F)」で一部解説とリンクがあります。ご参照ください。

日本では、知の理論や、認識論(エピステモロジー) は、大学の必修の授業科目になっていないが、日本の予備校産業などは、日本の大学教育の 閉鎖性などに鑑みて、これから、TOKが導入されることを見越して、バカロレア標準のTOKの導入に関して、さまざまな概説書や教科書を出版し、導入の機 会をねらっています。ディプロマプログラムにおいては、クリティカル・シンキングと 分析に重点をおく。そして各科目の履修時にIB(国際バカロレア)による

Theory of knowledge is a compulsory subject in the International Baccalaureate Diploma Programme which is, in essence, similar to epistemology courses offered at many universities. - Theory of knowledge (IB course)

00:目次(タグジャンプ)

02:さて、国 際バカロ レア(IB)では、理想とする学習者像を つぎの10の項目に表現している。

1.探究する人: Inquirers

2.知識のある人: Knowledgeable

3.考える人: Thinkers

4.コミュニケーションができる人: Commuicators

5.信念をもつ人: Principled

6.心を開く人: Open-minded

7.思いやりのある人: Caring

8.リスクを担う人: Risk-takers

9.バランスのとれた人: Balanced

10.振り返りができる人: Reflective

03:●知の理 論の位置づけ:TOK、CAS、EE

プログラムには3つのコアがある。それが「知の理 論:Theory of Knowledge, TOK」「創造性・活動・奉仕(Creativity, Action, Service, CAS)」そして「課題論文(Extented Essay, EE)」である。これらの3つのコアは必修である。

知の理論は、ディプロマプログラムのなかでどのよう な位置を占めるのだろうか。それは知の理論を構成要素の1つのコアにを含む、きわめてシンプルだが堅固な教育構造からなりたっている。それは「知の理論」 のほかに「創造性・活動・奉仕(Creativity, Action, Service, CAS)」そして「課題論文(Extend Essay, EE)」の2つである。これらの3つのコアはもちろん言うまでもなく必修である。つまり知の理論は、欧米の教養的伝統のトリニティ(三位一体)のひとつの 柱なのだ。

04:●反論は 可能か?

さて、こんなことを日本の大学の教養教育の専門家に 話そうものなら「そんなものは、君に指摘されなくても、すでに知っているよ」「日本のリベラル・アーツ教育は、そのような知の理論の各所で触れられている さまざまな学問領域のことがより詳細に教えられている」「この程度のものは高校教育までで学習指導要領で示されているはずだから、大学の基礎教養には必要 ないよ」などとお小言をいただきそうだ。だが、はたして、そう自信をもって反論できるだろうか?

05:●ユニッ ト

そして、ユニットを1から4までさだめている。

ユニット1:知識とは?

ユニット2:知識の理論における枠組みと 知識習得の方法

ユニット3:知識の理論の評価(エッセー)

ユニット4:知識の理論の評価(プレゼンテーショ ン)

06:●学ぶべ き こと

知識とは何か?

知識に関する問いとは何か?

共有された知識と個人的な知識とはなにが異なるの か?

異なるタイプの知識をどのように比較することができ るのか?

どのようなスキルが必要なのか?

評価はどのように行われるのか?

07:●TOK とIBの学習者像との整合性

1.探究する人
・知るための方法を活用できる、・知の 領域からえられることで知の構築を理解できる。知に関する主張を、証拠や探求をとして確実なものとし、それを個人の知として構築することができる。
2.知識のある人
・知の本質を学ぶこと。・教科のそれぞ れの方法に精通すること。独自の知に精通し、世界を理解する。
3.考える人
・良い思考とはなにかを、思考過程の欠 陥を発見できる、思考と感情や直感との関係がわかる/考察できる。
4.コミュニケーションができる人
・自分の理解や考えを話したり、書くこ とができる。伝達のための言語を学ぶと同時に、言語の力の側面と同時に、ディスコミュニケーションの要因になることも理解する。
5.信念をもつ人
クリティカル思考(Critical Thinking)を通して信念にもとづ く思考を会得する。信念にまつわる道徳や義務についても理解できる。
6.心を開く人
・先入見から自由になる。知がたんに正 確なだけでなく、バイアスがかかっているかどうかも吟味できる。
7.思いやりのある人
・単に知識をつかえるのみならず、知の 使い方に関する配慮についても思いをめぐらせることができる。
8.挑戦する人
・これまで正しいと言われたものにたい して再吟味する勇気。それまでの誤りを修正し、新しい判断をができる力をもつ。誤りを侵すことへのリスクに直面できる。
9.バランスのとれた人
・徹底的に吟味できる。話すことと書く ことのバランス。具体例と一般化のバランスをとることができる。
10.振り返りができる人
・自分のことのみならず他者のことにつ いても、上記の知識・知のプロセスのあり方について知ろうとする姿勢があること。

08:●知の領 域(pp.6-8)——ページ数は、翻訳 版、知の理論 : 国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム準拠 / Sara Santrampurwala [ほか] 著 ; 田原誠, 森岡明美訳,オックスフォード大学出版局 (2015)による

TOK 用語集

1.知の領域:AOK

2.知るための方法:WOK

3.知識に関する主張:KC

4.知識に関する問い:KQ

5.知識の枠組み:KF

6.リアルな生活の状況:RLS

7.知の理論

p.23Your knowledge in your propositions

1)数学、2)自然科学、3)ヒューマンサイエンス、4)芸術、5)歴史、6)倫理、7)宗教 知識の体系、8)土着の知識体系

数学
公理、予想、演繹、経験論、論 理、定理、幾何学のパラダイム、証明
倫理
道徳理論、価値判断、道徳的相 対主義、利己主義、共感、価値、功利主義、利他主義
歴史
証拠、プロパガンダ、社会的偏 見、後知恵、多元論、共感、一次資料、二次資料
ヒューマンサイエンス(ヒュー マニティズ)
観察、誘導的質問、土着化、人 類学、意識の流れ、還元主義、自由主義、決定論
宗教的知識の体系
多神教、汎神論、経典、原理主 義、福音主義、宗教多元主義、世俗主義、一神教
自然科学
擬似科学、仮説、確証バイア ス、パラダイム、相対論、理論、反証、合理論
土着の知識の体系
伝統、文化、遊牧民、儀式、民 間伝承、物語、観察された現象、祖先、局所的知(local knowledge
芸術
美学、キッチュ、贋作、前衛芸 術、カタルシス、模倣、美、現代芸術


09:●知るた めの方法: Ways of Knowing, WOKs(p.10)

1)言語、2)知覚、3)感情、4)理性、5)想像、6)信仰、7)直感、8)記憶、 という方法を設定。

感情
心理的距離、偏見、失感情症、 ロマンチック、主観性、共感、無気力、感情の訴える言葉
記憶
目撃者証言、回想、語り継がれ た記憶、外部記憶装置、過誤記憶、幻想、記憶法、記憶の再生
想像
創造力、シュールレアリズム、 抽象化、解釈、オリジナリティ、再創造、フィクション、後の考え
知覚
写実主義、経験論、感覚、科学 的実在論、幻想、誤りやすさ、解釈、権威
直感
認識、推測、推論過程、本能、 生得的な知識、内省、反射作用、無意識
理性
合理論、三段論法、誤謬、確証 バイアス、演繹法、帰納法、無限背進(無限後退)、既得権益
信仰
反直感的、願望成就、権威、パ ラダイム、信頼、判断、価値、経験
言語
あいまいさ、明示的意味、言語 決定論、分類、翻訳、コミュニケーション、暗示的意味、ステレオタイプ


10:●池田が 「大人のための知の理論=TOK(対話術F):2018」で試みたプログラム

回数(日程等)
内容・目的・教材 備考
1.知の問題(概要)
常識(良識)、確実性、ラ ディカルな懐疑、相対主義、何を信じるべきか、などついて議論する。
大人のための知の理論=TOK(対話術F):2018
2.知の性格や性質
正当化された「真なる信条」 としての知識、知識のレベル、知識のタイプ、などついて議論する。
・知識を分類する
知識を関連づける
・知識を階層化する
3.個人的知と分有された知
個人的知と分有された知の峻 別、個人的知、分有された[シェアされた]知、インターネット、文化的伝統、学校(制度)、専門家の意見、メディア、などついて議論する。
暗黙知と明示的知識
・knowing what - knowing how
古典的学習
一人称的知識
4.言語
言語とはなにか、意味の問 題、言語と翻訳、レッテル[ラベル]とステレオタイプ、言語と思考、言語と価値、などついて議論する。

5.感覚知覚
感覚、知覚の幻想、知覚選 別、見ることと信じること、リアリティと外見の峻別、究極のリアリティ、などついて議論する。

6.理性
演繹的推論(deductive reasoning)、非公式/日常的推論(informal reasoning)、理性と確実性、水平思考(lateral thinking)、 などついて議論する。

7.感情・情動
感情・情動の本性や性質、情動と知的探 求、知の障害物とし ての情動、知の源としての情動、情動的知性、などついて議論する。

8.直観
直観とはなにか、ナイーブな学術的直観、 社会的直観、認知 的バイアス、中核的直観(core intuition)、などついて議論する。

9.想像・想像力
想像力のタイプ、想像と知性の関係、想像 力・共感・倫理、 創造性の神秘、幻想と曲解、などついて議論する。

10.記憶
記憶の実体[本性・性質]、記憶のメカニ ズム、記憶の確か さ、目撃証拠、記憶と文化、記憶の倫理、などついて議論する。

11.信条・信仰
信条・信仰とは何か、証拠主義による挑 戦、信条・信仰の3 つの定義/意見、信条・信仰と解釈、信条・信仰に訴えるのは逃げなのか?、信条・信仰の倫理について、などついて議論する。

12.知の理論(まとめ)
これまで学んだことの復習。知の理論の確 認問答(学習 チェック)。

13.成果発表会
討論参加者による個別発表と意見交換

14.成果発表会
討論参加者による個別発表と意見交換

15.まとめ
総合討論


11:●評価 (2つの評価方法)(p.18)

1)エッセイ(小論文)、2)プレゼン(発表)

課題
長さ
人数
評価者
点数
内容
1) エッセイ(小論文) 3,200字以内
個別
IB試験官
10点満点
IBが出題する6つの所定課題から1つを選ぶ
2) プレゼン(発表) 10分〜30分/人
個別または3人までの共著
授業担当者がおこない、IB試験官がチェック
10点満点で、グループの場合は参加者全員が同じ点をシェアする。
生徒が自分でトピックを選ぶ。


12:●「個人的な知」と「共有された知」の二分法:(ベン図で表現可能)また、p.41 (その間は 「交換領域(zone of exchange)」)

A)花子は、紙飛行機をつくるために物理学で「共有された知識」を使いました。物体の空気力学 的特性、揚力、などについて知り、それを紙飛行機づくりに役立てました。

B)太郎は、紙飛行機をつくるために自分の「個人的な知識」を使いました。なぜ彼の飛行機が飛 ぶのかは彼はよくわかりませんが、より良く飛ぶにはどうしたらいいのか分かっています。でもそれを他人に伝えるのは大変であることを知りました。

13:●知に関す る問い=「知に関する問いかけ」+「オープンな問い」+「一般化されていること」

14:●知の枠組み=「範囲・応用」+「概念・言語」+「方法論」+「発展の歴史」+「個人的な知との つながり」

15:●知の枠組みの一例(ヒューマンサイエンス)——BI『「知の理論」(TOK)指 導の手引き:2015年第1回試験』(ディプロマプログラム)IB、p.47、2015年

16:「範囲・応用」

・    人間の行動を調査して理解する。
・    人類学、経済学、心理学、社会学など、幅広い学問領域を包含する。
・    人間の行動を幅広く予測しようとする学問領域もある(経済学、応用社会学)。

17:「概念・言語」

・    経済学における機会費用といった主要な概念がある。
・    厳密な知的行為であることを示すために数学的言語を用いる。
・    アンケート調査の文言作成に際して中立な言語で尋ねることが難しいといった問題がある。

18:「方法論」

・    実験的方法
・    アンケート調査や意見調査などの使用
・    人間の行動の直接的な観察
・    モデルの使用
・    理性を用いて、当該分野で受け入れられている他の知識と一貫性のある、妥当と思われる理論を構築する。
・    人間の合理性について(経済学)、あるいは法則的な行動について(心理学)、ある種の前提がある。
・    統計的方法の使用。何を根拠に有意水準などのものを選択するのか

19:「発展の歴史」

・    効用を最大化させる存在として人間を捉える前時代的な経済学の見方は廃れ、人間を本質的に非合理でヒューリスティックな存在と見なす近代の行動経済学が優 勢となった。
・    人類学は、当初は人間の進歩を探究する学問と位置づけられていたが、
・ フランツ・ボアズ以降は、価値観をあまり付帯させない見方が主流となった。
・    フロイトの精神力学に代わり、経験的行動観察を重んじる流れが、心理学の近代的な機能理論を支えるようになった。

20:「個人的な知とのつながり」

・    自己は意識の場として、経済主体として、社会的背景との関係で定義された個人として理解される。
・    経済学のアダム・スミス、デビッド・リカード、ジョン・メイナード・ケインズ、ミルトン・フリードマン、人類学のフランツ・ボアズ、心理学のジークムン ト・フロイト、ジョン・ワトソンなど、個人により大きな貢献がなされてきた
・    近代の経済学と心理学は、協働をより重視する傾向にある。
・ 人類学は個人による貢献に比較的オープンであるように見受けられる。
・    ヒューマンサイエンス(人間科学)の調査で探究者が自分自身の経験を証拠として使用すること(マックス・ウェーバーの理解社会学的なアプローチ)は、どれ ほど正当なのか。
・    性別や年齢などの個人的な要因は、ヒューマンサイエンス(人間科学)でどれほど重要なのか。

21:●知の枠組みの一例(土着知識の体系)——BI『「知の理論」(TOK)指導の手 引き:2015年第1回試験』(ディプロマプログラム)IB、p.57、2015年

22:「範囲・応用」

・特定のグループの人々の性質や人間性の存在につい て説明を試みる

・イヌイット、ボリビアのアイマラ、ロマなどの多様 な体系を包含する

23:「概念・言語」

・物語の伝承など、知の体系において言語が役割をは たしている

・隠喩と類推が使われている

・書き言葉を通じて伝承を維持する

・書き記されない口承の伝統はすたれつつある

・年長者が重要な役割を担う、個人よりも集団を重視 するといった慣習がある

・ノマド、ホーム、名誉、所有権などの主要な概念が ある。

24:「方法論」

・世代を超えて受け継がれてきた口承の伝統、記憶の 役割

・儀礼、感情の共有

・民間伝承

・音楽

・工芸品

・推論の体系

・観察した自然現象を、全体的な世界観の一部として 説明、知覚の役割

25:「発展の歴史」

・植民地化とグローバル化の影響

26:「個人的な知とのつながり」

・      自己の理解。先祖、世界の中での場所、他者に対する態度や行動。
・      年長者が個人的に知識の体系の形式に貢献。
・      協働の役割。儀式や伝統の実施により、集団活動を通じて、知識の体系を再強化できる可能性がある。
・      先祖の知識が個人の知識につながっている

27:●私(池 田光穂)の対応

僕は、現在の職場で大学院生向けの高度教養教育をお こなっている。具体的には、フィールドワーク方法論(「訪問術A」)、 ICTをつかった市民がおこなう社会イノベーションの方途(「協働術A」)、 世に数多ある他人や他所の集団についての記録(民族誌やルポルタージュ)の批判的読解(「訪問術B」)、そして「ヘルスコミュニケーション」 である。それらの科目に、アクティブラーニングの手法を使って教育をしてきた——興味のある方は僕の名前と「科目名」でググってほしい。そこでの僕の結論 は、もし、僕のゼミナールに集う学生諸君が、受講の数年前にIBの「知の理論」を勉強していたら、今すぐに社会にでても世界のビジネスパースンや市民運動 家と互角に渡り合えるだけの批判力と見識をもてたはずだということである。これは大言壮語でなく、現場での正直な気持ちだ。彼/彼女らはものすごく現実的 でありながら、倫理的には教師よりも清廉で、そして社会の改善について心を砕いている。だが、その実践をうらづける「知の理論」に関して適切な概念や用語 を見つけられずにいるからだ。つまりIBの「知の理論」は、人間にとって社会でおこっていることを鋭く批判的かつ的確に分析できる普遍的な方法と知恵が ぎゅうぎゅうに詰まった宝箱なのである。

28:◎知の領 域(上掲の再掲です)

TOK 用語集
1.知の領域:AOK
2.知るための方法:WOK
3.知識に関する主張:KC
4.知識に関する問い:KQ
5.知識の枠組み:KF
6.リアルな生活の状況:RLS
7.知の理論


29: ● 以下の情報は「資料編:大人のための知の理論=TOK」と重複していま す。

大学教育について / J.S.ミル著 ; 竹内一誠訳,岩波書店 , 2011

30:◎審問 集:01

「英知を目指す巡礼の途にあるユーグは、ラテン語の はしごをよじ登り、アッシジのフランチェスコは、イタリアの街角にはだかの自我をさらすのだった」――イヴァン・イリイチ『テクストのぶ どう畑で』岡部佳世訳、p.76、法政大学出版局、1995年、この比喩が過不足なくわかるようになれば西洋版「知の理論」は卒業できるんじゃないか? (→「読書の方法」)

31:◎審問 集:02

「社会の高度化・組織化に伴って、知識・科学・技術 を 担う人たちと政治権力との関係が複雑になり、俗人(あるいは素人)に対する、ある種の特別な処遇をうける知識人が、その社会の運営にむかって総合的・統合 的に関わりあう時、それを有機的知識人と呼ぶことができる。この用語は、アントニオ・グラムシ(Antonio Gramsci, 1891-1937)が使った、intellettuale organico に由来する。/私(池田)なりに有機的知識人を定義すると、「思索的営為にふけりながらも、思索(=理論)を行動(=実践)に関連づけよ うとして、道徳的な目標を立て、政治的な目的のために支持者をつくり、それらを組織化し、連携・連帯させる精神的活動者」をそう呼ぶことが できるのである」→「有機的知識人

スキルと実践
1.はじめに
2.TOK用語とスキル
3.TOKスキルの応用
4.評価に向けて
5.根源的な考え
6.トコポリス:TOK攻略ゲーム


32:資料集 (パスワード付)——和文

33:資料集 (パスワード付)——英文

34:リンク (サイト内)——学習に関するもの

35:リンク (サイト内)- miscellaneous

36: リンク(サイト内)——授業

37:リンク (サイト外)

38:文献

39:その他の 情報

Y君からの手紙

1)IB機構から承認をとっているのか?

2)授業のタイトルを「大人のためのTOK」と銘打つ理由はなにか?

3)日本でおこなうのはとても大変だと思います。自発的に自分たちで学ぶにはどうしたらよいでしょうか?

+++垂水源之介先生のリプライ+++

Yさま

メールありがとう。簡潔におこたえします。

1) IB機構から承認をとっていません。それに基づいて認証を出す授業ではなく「その認証の思想」そのものを批判的に解剖するのが、この授業の趣旨だからです。IB教員養成するつもりも導入するつもりも一切ありません。このシステムを限界を見抜くことが、この授業の目的です

2)TOKを学んだ大学入学生が、大学卒業時、さらには卒業から10年後、20年後にどれくらいTOKの効果があるのか、エビデンスを調べる長期の調査が必要になるでしょう。

3)結構なことではないでしょうか? 学問に王道なし、自分たちでベストなことだと思うことをおこない、限界を感じたら、さっさとそれまでの方法を放棄することです。私たちが授業での議論で、明らかにしたことは、TOKの限界をTOKのメソッドで乗り越えられた時点で、TOKをマスターと言えるのであって、教師やスーパーバイザーの判定で成績を決められているうちは、まだまだ、TOKには限界があるということでしょう。ポートフォリオによる成績の自己管理の発想もないので、やはり、大学生の自発的学習プログラムには、向いていないのではないかというところです。もっとも、日本での高校教育はTOKの1/10のパフォーマンスしかないと、僕は見立てております。

以上です。

40:■クレ ジット:池田光穂「知識の理論、あるいは知の 理論(Studies on the Theory of Knowledge, TOK)」

Copyright Mitzub'ixi Quq Ch'ij, 2017-2018

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