CSCDスペシャル活動レポート

知デリ「ひと×人 幸福論」

2011.9.29  Apple Store

知デリ「ひと×人 幸福論」

9月29日、Apple Storeにて開催された知デリ「ひと×人 幸福論」。学生スタッフによるレポートです。「幸せ」をテーマにした対談で浮かび上がってきたのは、「共有」というキーワードでした。

2011年9月29日、Apple Store,Shinsaibashiにて、知デリ「ひと×人 幸福論」を開催しました。テーマは「幸せ」について。多様な価値観をもった人がともに生きていく「これから」について、ゲスト、来場者のみなさま、スタッフみんなで考えたいと思い、二人のゲストをお招きしました。

ひとりは、アーティストとして色々な人にオープンな場を提供しつづけている小山田徹さん。小山田さんは、パフォーマンスグループ「ダムタイプ」の活動をする中で、人々が集まる「場」の重要性に気づき、それをテーマにしたカフェや展覧会を積極的に開いていらっしゃいます。


小山田 徹(こやまだ とおる)

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美術家/京都市立芸術大学准教授。
1961年鹿児島生まれ。京都市立芸術大学日本画科卒業。
84年、友人たちとパフォーマンスグループ「ダムタイプ」を結成。主に企画構成、舞台美術を担当。90年からは、コミュニティセンター「アートスケープ」や「ウィークエンドカフェ」、移動式屋台カフェなどの企画制作、コミュニティカフェである「Bazaar Cafe」の立ち上げに参加し、現在もさまざまな共有空間の開発をおこなっている。「浮遊博物館」(2009年)など展覧会にも多数参加、監修。


もうひとりは、ブータンの政策について研究する上田晶子さん。ブータンはGNP(国民総生産)ではなく、GNH(国民総幸福量)を重視しようという方針を打ち出している国として注目されています。その中でも上田さんは、最近、人々の間の関係性に着目してGNHを読み解こうとされています。


上田 晶子(うえだ あきこ)

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大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任准教授。
1970 年北海道生まれ。ロンドン大学で開発学博士号を取得。在インド日本国大使館、国連開発計画ブータン事務所での勤務を経て、2007年より大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任准教授。最近は、ブータン農業省と共同で、フードセキュリティに関する研究を中心に行っている。主な著作に、『ブータンにみる開発の概念』(明石書店)ほか。ブータンでのライス・バンクの取り組みなど、研究を実践につなげる活動にも積極的。


上田さん、小山田さんそれぞれにご自身の活動を紹介していただいたあと、小山田さんがブータンについて以前から気になっていたことを上田さんに聞くという形で、対談がスタートました。上田さんの答えに小山田さんが反応し、そこからさらに話題が広がり・・・というように対談の内容は多岐に渡りました。

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私にとって印象深かったのは、何かを一緒にするということです。たとえば上田さんによれば、ブータンではキッチンの「共有度」がとても高いそうです。これについては小山田さんから、日本の嫁・姑の問題と関わりのある話なんじゃないかとの指摘がありました。また、食事についても、ブータンでは家族の分よりも多めにつくることがよくあり、家に来てくれた人とはとりあえず一緒に食事をするという習慣があるそうです。

小山田さんは、いまの私たちは必要以上に個人主義になっているのではないかと言います。みんなで共有できるものは共有できるようにする。そうすることで楽になることもあるのではないか。これを事前のインタビューでは、「(プライベートな範囲から共有できるものを)「引き算する」と呼んでおられました。卑近な例では、持っている本を仲間うちで共有して小さな「図書館」をつくることで、自分の持っていない本でも読むことができるようになるでしょう。シェアハウス等もこれに入るかもしれません。こんな風に自分の生活の中からひとりきりで行う必要のないことを探して他の人と共有すること、上田さんの言葉をお借りすれば生活の「パブリック率」を高めることは、私たちの日常にひと工夫加えるためのヒントになると思います。

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対談は、大風呂敷を広げずに身近なところからこれからどう生きていくかを考えるという、企画側のねらい通りのものとなりましたが、お客さんも巻き込んで満足のいくまで話し合うには、とても時間が足りませんでした。

イベント終了後に記入して頂いたアンケートにも、「時間が短かった」、「観客との対話がもっと欲しかった」といったご意見が多く見られました。これは企画側としては反省すべき点で、当日の時点で私たちも感じていたので、対談後にしばらくゲストにその場にいてもらい、来場者のみなさまと語り合ってもらうことにしました。ゲストを取り囲む来場者の輪で、イベントが終わっても会場は熱気覚めやらぬ状態でした。観客の方からはぜひ続きをというご意見もあり、ゲストのお二人も乗り気だったので、今回の企画の第2弾を行うことも考えています。

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当日は学内外から大勢の方に来ていただきました。イベント会場のシアターと売場とを隔てる仕切りなどはなく、アップルストアにたまたま来ていた方も立ち寄って行かれました。来ていただいた方それぞれにとって、今回の知デリが私たちの生き方をいま一度見つめ直すひとつのきっかけとなればと思います。

(報告:岡直哉/大阪大学理学部物理学科4年)