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スペシャル授業レポート
授業レポート

「フィールドプロジェクト」

2021年11月10日(水) 投稿

「フィールドプロジェクト」(担当:山崎吾郎 COデザインセンター 准教授、大谷洋介 COデザインセンター 准教授)は、超域イノベーション博士課程プログラム(以下、超域)が提供している授業です。今年度は、対面とオンラインのハイブリット形式の授業として行われ、超域生8名が参加しています。

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本授業の目標は、超域プログラムの各種モジュールにより獲得しつつある課題解決に関する知識やスキルを発展させ、社会における課題の解決への関心と方法論への理解を具体化することです。受講生は、複雑な事象をシステムとしてとらえ、問題の特性を的確に把握したうえで、超域プログラムでここまでに獲得してきたデザイン思考を活用し、課題の解決に向けた具体的な働きかけを行うことが求められます。

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2021年度の本授業は、以下のスケジュールですすめられます。
・10月1日 初回レクチャー
・11月12日 中間報告会
・11月26日 最終報告会

今回は、10月1日に行われた初回レクチャーの様子をレポートします。

今年度の「フィールドプロジェクト」には、超域の卒業生でもある山脇 竹生 さん(2017年度卒、株式会社資生堂 ブランド価値開発研究所 原料開発グループ)が課題提供者として参加してくださっています。

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山脇さんから提示されたテーマは以下のようなものです。

化粧品市場ではアルコールフリー、シリコーンフリー、オイルフリー、グリセリンフリー、パラベンフリーといった「○○成分フリー」を謳った商品を目にするようになりました。しかし、これらの風潮がどういった背景から言われ始めたのか、どういった社会構造のもとで広がったのかは明らかになっていません。

なぜこのような議論が出てきているのか、ステークホルダーは誰なのか、企業としてどう働きかけるのが良いか、みなさんの考えを聞かせてください。

山脇さんは製品開発の立場から、これらの「○○成分フリー」を重視する風潮が近年急激に強まっていると感じるそうです。「『◯◯成分フリー現象』がどういった背景から始まり、どういった社会構造のもとで広がっていったのかについて知りたい。その上で、『◯◯成分フリー』という風潮に対する企業としての適切な対応とはどういったものなのか、次の『◯◯成分フリー』は予測できるのかということも含め、受講生の皆さんが広い視野から検討した結果を聞かせてほしい。」と話されました。

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受講生から山脇さんに、「天然の素材と合成の素材の品質の安定性や安全面はどのような違いがあるのか」「『◯◯成分フリー』の製品開発に取り組むことで、どのくらいの負担が発生しているのか」といった質疑が出ました。

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山脇さんは、「このお題に対しての絶対の正解は無いので、現状の複雑さをふまえたうえで、最終報告では提案のメリットとデメリットについて何らかの根拠をもとに説明をしてほしい。」という要望を受講生たちに伝えました。

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授業を担当する大谷先生からは
「この授業を通して、自分たちで計画をたてて最終報告に間に合うように活動を組み立てるというチームマネジメントに取り組んでほしい。また、この授業で非常に重要なのは、『当事者意識』をもって課題に取り組むこと。ぜひ、みなさんひとりひとりが山脇さんの部下になったつもりで考えてもらいたい。」
とのアドバイスがありました。

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課題提供者の山脇さんは、超域を修了し資生堂に入社した当初から、超域の授業で課題提供をしてみたいと考えていたそうです。山脇さんはこの授業の前に、以下のようにお話しくださいました。

「ぼくは超域での経験を通じて社会科学的なものの見方というのを知りました。つまり、ひとの価値観や行動に紐づけて物事をとらえるということです。そこでの経験は、今の仕事のなかでも大いに生きていると思います。

背景の異なる人と話すと、普段は気づけないことに気づいたり、自分と違う考えが聞けたりして面白い、と感じることってありますよね。でも、それで終わってしまってはもったいない。『なぜこの人はこう言うのか』という、その人の価値観に触れるところまで深く考えることではじめて、頭と肚で理解できるようになるのだと思います。その力を超域でつけられたように思います。」

このプロジェクトにチャレンジする超域生たちは、山脇さんのメッセージを受け止め、どのように課題をとらえ、どのような提案を行うのでしょうか。今後も継続的にレポートする予定です。


(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)