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スペシャル授業レポート
学際共創プロジェクト レポート

「超域イノベーション総合」(2)

合同発表会「SDGs+クリエイティブミーティング」 @KIITO
2021年11月22日(月) 投稿

「超域イノベーション総合」は、超域イノベーション博士課程プログラム(COデザインセンター)が提供する授業です。2021年度は、以下のスケジュールですすめられています。

2021年
・6月18日:キックオフ
・10月15日:学内中間報告会
・10月16日:KIITOでの合同発表会「SDGs+クリエイティブミーティング

2022年
・1月28日:最終報告会
・2月25日:最終報告書の提出


本活動の一環として、2021年6月27日に、プロジェクトチームの超域生たちが神戸の再開発地区でフィールドワークを行いました(そのときのレポートはこちら)。その後、超域チームは発表に向けて準備を重ねてきました。

今回は、2021年10月16日にKIITOで行われた発表会「SDGs+クリエイティブミーティング」の様子をレポートします。

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課題は、「フラワーロードを舞台に神戸をもっと元気にするSDGsをテーマにした地域共創イベントのアイデアを考える」。神戸大学 減災デザインセンター/バリュースクールの4チーム、KIITOクリエイティブゼミの4チーム、そして超域チームの全9チームが今回の発表にのぞみました。

チームごとに、現状のリサーチや分析、提案の内容とその背景を5分間でプレゼンテーションすることが求められました。発表の様子はオンラインで配信されました。

講評は、以下の方々によって行われました。
  永田 宏和(デザイン・クリエイティブセンター神戸 センター長)
  槻橋 修(神戸大学 減災デザインセンター 副センター長)
  鶴田 宏樹(神戸大学 バリュースクール 准教授)
  山崎 吾郎(COデザインセンター 准教授)
加えて、会場には三宮に拠点を構える企業、そして神戸市の職員も多く参加していました。

いよいよ、超域チームからの発表です。超域チームの発表者である趙 瑩瑩さん(人間科学研究科 博士後期課程1年、超域イノベーション博士課程プログラムAdvancedコース所属)は会場からの参加、他のメンバーはオンラインで参加しました。

趙さんは、「みなとのもり公園と東遊園地はイベントを行う最適な場所」「再整備されることによってフラワーロードが一層活気づく」とした上で、「フラワーロード沿線における SDGsをテーマとするダンスフェスティバル」を提案しました。

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超域チームは、SDGsが誓う「地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)」というメッセージに特に注目しました。超域チームが提案した「SDGsをテーマとするダンスフェスティバル」は、フラワーロードを発信地として、さまざまなひとびとが繋がり社会課題への認識を深めることができるきっかけと位置付けられています。

超域チームは、今回の提案の根拠として「SDGsをテーマとするダンスフェスティバル」の特徴を3つあげました。
・テーマや活動が多様に設定できるという柔軟性
・企画者と参加者だけでなく、より多くのステークホルダーとの協力関係を築き深めることができる包摂性
・KIITOの企画力を十分に発揮できる新規性

趙さんは「ダンスは一つの不思議な言語であり、身体を動かすことによって年齢や国籍などの属性を超えてコミュニケーションすることができる」と説明しました。そして、社会をなんらかの要素で分けることは誰かを見過ごすことにつながってしまうかもしれないが、「SDGsをテーマとするダンスフェスティバル」であれば、社会課題に関心があるひと、ダンスに興味があるひと、さまざまな年齢や文化背景をもつひとなど、より多様なひとびとをイベントの対象者とすることができる、と強調しました。

趙さんは続いて、「SDGsをテーマとするダンスフェスティバル」の活動の広がりについて、チームで考えたアイデアを説明しました。

「参加者は好きなダンスグループからダンスを学ぶワークショップに参加することでSDGsについて学ぶきっかけを得ることもできますし、ダンスグループのメンバーたちは自分たちの活動の経緯について話したり、それらの活動とSDGsを結び付け、SDGsに対する理解を促進したりするカフェを開催することもできます。また、イベント関連グッズの販売も企画することができると思います。」「SDGsは長期的な目標です。このダンスフェスティバルも一回限りのものではなく、SDGsに関するさまざまなテーマを毎回もうけることで、長期的な展開を考えることができます。」

発表を聞く方々も、頷きながら耳を傾けていました。

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実は、超域チームがこの発表にいたるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。10月8日に行われた中間報告会のリハーサルでは、チームメンバーの意見をひとつに集約できておらず、プレゼンテーションも設定時間を大幅に超過してしまっていました。

担当の先生方からは
・現状分析と提案がリンクしているように見えない。
・プレゼンの形になっていない。プレゼンの方法から再検討が必要。
・もっとチーム全体をマネジメントする視点が欲しい。
など、非常に厳しい指摘を受けました。

その後、チームでミーティングを重ね、10月15日の学内の中間報告会では大幅に修正したプレゼンでのぞみました。先生方からは「かなりまとまってきている」という評価があった一方、以下のような指摘ももらっていました。

・そもそも、なぜダンスなのか。なぜダンスでなければならないのか。その説明が欲しい。
・ダンスをとおして、どのようにしてこのSDGsでテーマとなっている社会課題と向き合うのか、具体的な提案が欲しい。
・ダンスはひとの営みにおいて非常に根源的なものであり、ダンスとは何かという定義の深堀りが重要。なぜ共同体の中に「踊り」があるのか。そこには非常に重要な意味がある。そこをSDGsとどう絡めていくかをより深く考えるべき。

これらを受けて、チームでさらにプレゼンの内容を練り、10月16日の発表に至ったのでした。

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超域チームの発表に対して、さまざまな講評がなされました。

「SDGsとダンスという一種文化的な側面をつなぐ、というのは、非常に面白い視点だと思いました。身体表現を通して多様性を一緒に作り上げていくことが神戸のフラワーロードを舞台に行われるとすれば、それは非常に面白いことだと思いました。」

「非常に面白いですね。私はこういった話が大好きです。SDGsについて、誰が何を感じて、それを誰に伝えるのか、というところについてもう少し深く考えてみたら、より面白くなるのではないでしょうか。そうするとSDGsとダンスというものがより強力につながると思いました。」

「ほんとに面白いな、と思います。確かに、ダンスは誰でもできますよね。いろいろなひとが表現に参加できるので、いろいろな形での参加ができる。例えば、神戸市は認知症にやさしいまちづくりを目指しているので、そこにも繋げて、認知症の予防のためにこういう活動に取り組む、ということもできそうだなと思いました。」

「神戸には、神戸まつりという歴史のあるイベントがあります。そことのつながりも感じられると思いました。」

「ダンスとは、素晴らしいものを持ってきたな、と思っています。SDGsと日々の暮らしは少し距離があり、それをどうやって繋げていくのか、何を使ってつなげるのか、ということを考えてきたのですが、ダンスという手があったか、という、そういう感じがしています。かなり可能性があるなと思っています。」

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超域チームは、無事に報告を終え、また、さまざまな前向きな講評を得ることができ、とてもほっとした様子でした。とはいえ、超域イノベーション総合の取り組みはようやく折り返し地点にきたところです。1月の最終報告に向け、ここまで練ってきた企画をさらに良いものにしていく決意を強くしていました。本企画が超域チームの取り組みによってどのような深みを増していくのか、取材を続けていきたいと思います。

(書き手:森川優子 COデザインセンター特任研究員)