医療人類学
Medical Anthropology and/or Anthropological Medicine
【医療人類学の定義】the definition of medical anthropology
医学と人類学を架橋(ブ リッジ)する学問を医療人類学 (medical anthropology)と呼ぶ。
かつては「健康と病気にかんする 人類学研究」を、私はそう(=古い意味での医療人類学と)呼んでいたが、それは現在(2015年12月)においては、人類学パラダイム中心主義的であるよ うに思われる。
The medical anthropology could be defined as "anthropological studies on health and sickness," I thought before. But I have just changed my mind. Today it can be defined as "Interdisciplinary paradigm bridging between Medical science and Anthropological science."
医療人類学という分野は、1960年代後半から70年代前半にかけて、北米の研究者を中心に 徐々に成長、確立した分野であるが、類似の研究は、医史学(medical history, medical historiography)や民族医学(ethnomedicine)というジャンルのなかで、ほぼ全世界的に1930年代頃には研究がはじまってい た。
現在、文化人類学、自然人類学、公衆衛生学、社会医学、看護学などの分野において、つぎの3 つの主要な論点が具体例を通して学ばれているが、これらは、現在の医療人類学者の多くの関心に通底する[池田・奥野 2007]。
医療人類学は、人類学・社会学の民族誌学的方法、第二次大戦後に本格化する国際的な医療援助 の現場、臨床現場における人間行動の微細な観察の蓄積などを背景に、健康と病気について人類学から実践的に関与しようという方向性をつねに持ち続けてき た。つまり、身体にかかわる文化的事象を研究しようとする人類学の学問的嗜好と、よりよい生活の質をもとめる近代医療の社会実践が折衷的に融合したものと みてよい。
■人 類学的医療の定義
【人類学的医療】anthropological medicine
これに対して、人類学的な感覚と理想をもち、そこから既存の医療を組み替えてゆく医療実践 を、人類学的医学あるいは人類学的医療(anthropological medicine)と呼ぼう。人類学的医療は、アーサー・クラインマンが提唱したアイディアにもとづいて、いまだ充分に実現されてはいない可能態として 「きたるべき未来の医療」のことである。[→より詳しい説明はこちら]
クレジット:池田光穂「医療人類学の定義」
文献
関連リンク
Copyleft, CC, Mitzub'ixi Quq Chi'j,1997-2019