ハンナ・アーレント『全体主義の起源』読解ノート
Introduction to Hanna Arendt's The Origins of Totalitarianism,
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全体主義の起源の全テキスト:The Origins of Totalitarianism. by HANNAH ARENDT
■まず最初に絵解き(曼荼羅)から、ハンナ・アーレ
ント『全体主義の起
源』を少しでも読んだことのある人は以下のような用語があったことを思いだすはずです。
《全体主義の遡及力について》
全体主義と闘うためには、ただひとつのことを理解
せよ、とハンナ・アーレントはいう。それは〈全体主義は自由に対するもっとも根源的な否定〉と言うことだ。ただ
し、自由の否定は、あらゆる暴政に通底する。つまり、地球上のどのようなところでも、暴政が片鱗としてでも見受けられるようなところには、全体主義の運動
が胚胎し、アーレントが言うように、非全体主義的社会に不可避的に存在する全体主義の〈遡及力〉を否定することができないのだ。――「全体主義の本性につ
いて」
自由ノード(→英語のテキスト)
0. 序文
1. 階級社会の崩壊
2. 全体主義運動
3. 全体的支配
4. イデオロギーとテロル:→イデオロギーと恐怖政治:新規の統治形態(a novel form of government)
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関連情報
◎全体主義入門に関するメモ
【反ユダヤ主義】
1.反ユダヤ主義〈対〉ユダヤ人嫌悪:両者は全く こ となった思考様式である。
2.国民国家の成立とその洗練化が進むと、異質な 存 在としてのユダヤ人がイメージの中で〈可視化〉される。
3.イメージの中で可視化された〈ユダヤ人らし さ〉 は実は幻想である。なぜならば、同化傾向(=平準化)にあった、実際のユダヤ人は、社会にさまざまな影響を与えつつも、実際は多様化をとげて、他の国民と 変わらない存在になっていた。
【重要なポイント:結論】
2.と3.の著しい違いが意識されず、〈ユダヤ人 = 特殊〉、〈ユダヤ人=陰謀家〉というステレオタイプが確立し、構造化されていった。これが、〈反ユダヤ主義〉の典型的な特徴と思われる。
【帝国主義】
【全体主義】
【その他のアイディア】
・参考文献「ユダヤ人は狩猟民ではない、ユダヤ人は 寄生虫」(ヒトラー)――『わが闘争』第11章。および同書、第6章「戦時宣伝」――ちなみに、この章は、ハンナ・アーレントも、テロリズムとプロパガン ダの関係についての重要な示唆を与えてくれる文献として注目しています
・【政治家たちを調べるリトマス試験紙】実証主義者 や功利主義者(プラグマティストを含む)たちの思考が人間本性は普遍であり社会を含む環境を変えようと発想するのに、全体主義者は、人間の本性が変えられ る――とりわけ「科学」と教育を通して――と考えるのだ。それゆえ前者の実証主義者を含む非-全体主義者は、人間の福祉や福利を全面に推し出すのだが、全 体主義者は、そうは考えない。個々人の福利よりも社会(や経済)の公益性を優先するのだ。その意味で(ギリシャ――当時)チプラス首相や、イケメン度にお いてははるかに劣るが安倍晋三は、全体主義者の系譜ないしは方向性に位置する政治家である(2015年7月1日)。
・僕は、あらゆる民主政治は全体主義的な性格をもつ ことを免れえないのではないかと思います――トクヴィルが生きていたら僕を批判するでしょうが――その上で、政党の「世界観化」に歯止めをかけ、(特定の 党派だけでなく政党)政治そのものの全体主義化傾向をどのように飼いならすかが、ポイントになるでしょう。ISなどは近代政治の脅威ではなく、イランの祭 政一致や北朝鮮の「行き過ぎた」全体主義統治――北朝鮮には言葉の正しい意味での「政治」は存在しません――をどのように対処してゆくのかのかのほうが、 我が国の政治には重要な課題だと思います。
・地球全体の支配、という全体主義の論理――僕は理
念的支配における修辞という説をとるけど――を論証するために、彼女(アーレント)は、あの長々とした帝国主義の解説をしたのか? もちろん、後者におけ
る異民族支配の議論は、国民国家の概念の崩壊と(ユダヤ人を嚆矢とする)人権の消滅という彼女の議論に完全に重なるけどね
■その他の情報:全体主義の起源、読解マップ
資料
ひとつの民族、ひとつの帝国、ひとりの総統と読める Photo by Hugo Jaeger is the former personal photographer of Adolf Hitler.
http://www.vintag.es/2016/05/rare-wwii-color-photographs-taken-by.html
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