はじめによんでね

05: 文 化人類学ガイドブック

Introducing Anthropology: A Graphic Guide

Mitzub'ixi Qu'q Ch'ij


1
人類学とはなにか?
1.    人類学とは何か?

2
「未開」とはなにか?(括弧でくくってい るところが味噌!)
2.    〈未開〉とは何か?

3
人間を研究する
3.    人びとを研究する


4
人類学のビッグな問題!
4.    人類学の大きな課題 


5
他者(別名「大文字の他者」)
5.    他者


6
変化する問題
6.    変化する課題


7
人類学の起源
7.    人類学の起源


8
創設者たち(父なる創設者たち:The Founding Fathers)
8.    建学の父たち


9
隠された項目(要するに啓蒙主義的系譜の ことです)
9.    隠された項目


10
ルネサンス期(前項を引き継いで)
10.    リコナサンス(大航海)時代


11
「古きものへの忠誠」 ("Fidelity to the Old")
11.    〈古き時代への忠誠〉


12
人権の問題
12.    人権という問い


13
イエズス会関連文書
13.    『イエズス会リレーションズ』


14
西洋思想の主潮
14.    西洋思考の主潮


15
伝統の連続性
15.    伝統の連続性


16
派生したマイナーな風潮
16.    派生したマイナーな風潮


17
帝国主義
17.    帝国主義


18
人類学の複雑性
18.    人類学の加担


19
倫理の違反
19.    倫理の冒涜


20
ルーツに戻ると・・
20.    ルーツへの回帰


21
必要不可欠な未開
21.    必要不可欠な未開性


22
発明創発/でっち上げを思い描いて
22.    創造についての推論


23
何が最初に人類に到来したか?
23.    何が最初にあったのか?


24
生きている残存物=遺風(Living Relics)
24.    現存する遺風


25
肘掛け椅子からの眺め
25.    肘掛け椅子からの眺め


26
進化主義の諸理論
26.    進化主義の諸理論


27
生物なるものと社会なるものを統合する
27.    生物学的理論と社会的理論の統合


28
伝播主義の理論
28.    伝播主義理論


29
人種の詐欺(The Race Spindle, 人種という名の詐欺、てな意味で しょうか?)
29.    人種というペテン


30
フィールド研究
30.    フィールド研究


31
人類学の樹
31.    人類学の樹


32
自然人類学(Physicalであって Naturalぢゃないよ〜)
32.    形質人類学


33
多元発生説《対》単元発生説
33.    多元発生説vs単一起源説


34
人間生態学と遺伝学
34.    人間生態学と遺伝学


35
社会生物学の隆盛
35.    社会生物学の隆盛


36
遺伝子理論における人種の再焦点化
36.    遺伝子理論のなかで再焦点化される人種


37
初期の人類学との別の関連性(リンク)
37.    初期人類学との他のつながり


38
考古学と物質文化
38.    考古学と物質文化


39
人類学的言語学
39.    人類学的言語学


40
社会/文化人類学
40.    社会/文化人類学


41
文化とは何か?
41.    文化とは何か?


42
専門領域への細分化 (Increasing Specialization)
42.    専門領域の増加


43
民族誌の岩盤=基盤
43.    民族誌(エスノグラフィ)の根幹


44
異国人を書く(Writing the Exotic)
44.    エキゾチックを書く


45
フランツ・ボアズ
45.    フランツ・ボアズ 


46
ブロニスラウ・マリノフスキー
46.    ブロニスロー・マリノフスキー


47
フィールドワーク
47.    フィールドワーク


48
フィールドワークにおける人間生態学
48.    フィールドワークの人間生態学


49
生態人類学
49.    生態人類学


50
経済の問題
50.    経済という問い


51
ポトラッチ儀礼
51.    ポトラッチ儀式


52
ニューギニアの「ビッグ・メン」
52.    ニューギニアの〈ビッグマン〉たち


53
クラ交換
53.    クラ交換


54
経済人類学
54.    経済人類学


55
交換と交易のネットワーク
55.    交換と交易のネットワーク


56
形式主義《対》実体主義論争
56.    形式主義者と実存主義者の論争


57
マルクス主義人類学
57.    マルクス主義人類学


58
マルクスの進化論的見解
58.    マルクス主義的進化論の見方


59
世帯単位(The Househould Unit)
59.    世帯単位


60
家族の形態
60.    家族の形態


61
婚姻紐帯(The Marriage Links)
61.    結婚紐帯


62
婚資、あるいは婚礼[契約]資金
62.    結婚契約にかかる支払い


63
親族の研究
63.    親族研究


64
親族記号
64.    親族コード


65
類別的親族 (Classificatory kinship)
65.    類別的親族


66
擬制的親族(fictive kinship)
66.    疑似的親族


67
出自理論(descent theory)
67.    出自理論


68
結婚と居住の規則
68.    結婚と居住の規則


69
親族用語
69.    親族の表現方法(イディオム)


70
親族の「効用(use)」とは何か?
70.    親族の〈効用〉とは何か?


71
連帯理論と近親相姦の禁止
71.    縁組理論とインセストタブー


72
心のなかの構造
72.    心(マインド)のなかの構造


73
基本的構造の形態
73.    基本構造の形態


74
縁組理論は本当にうまくいっているのか?
74.    縁組理論は役に立つのか?


75
政治と法律
75.    政治と法


76
オマケの例
76.    その他の事例


77
用語法的研究
77.    用語法(ターミノロジー)的アプローチ


78
政治人類学
78.    政治人類学


79
年齢階梯社会
79.    年齢階梯社会


80
共時的《対》通時的見解
80.    共時的視点vs通時的視点
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

81
他の社会階層化
81.    その他の社会階層
81.その他の社会階層化

【台詞】カール・マルクス「階級社会は、政治権力と経済的な財への不平等なアクセスによって階層化されているのだ」

【台詞】インドの女性「カースト社会は、社会的不平等と経済的不平等性とともに、儀礼や宗教によっても階層化されているのよ」

インドのカースト制度は、ルイ・デュモン(1911-98)の有名な研究『ホモ・ヒエラルキクス』(1967)おける研究テーマであった。

カール・マルクスKarl Marx, 1818-1883)

・ルイ・デュモン(Louis Dumont, 1911-1998)

・『ホモ・ヒエラルキクス』(1967)章立て:「序論 第1章 概念の歴史 第2章 体系から構造へ——淨と不浄 第3章 ヒエラルキー——「ヴァルナ」の理論 第4章 分業 第5章 婚姻規則——分離とヒエラルキー 第6章 接触と食物に関する規則 第7章 権力と領土 第8章 カーストの統治——司法と権威 第9章 付随現象と意味 第10章 比較——ヒンドゥー教徒以外、インド以外にカーストは存在するか 第11章 比較(続)——現在の動向 補論A カースト、人種差別主義、「社会成層」——社会人類学者の考察 補論B インドの宗教における現世放棄 補論C 古代インドにおける王権の概念 補論D ナショナリズムと「コミュナリズム」 あとがき——ヒエラルキーの理論へ向けて 完全英語版へのまえがき 原註 訳者あとがき 地図 参考文献」
82
交渉するアイデンティティ
82.    交渉するアイデンティティ
82. 交渉するアイデンティティ

【台詞】学者(人類学者)「政治は、境界という問いを生みだす。それは集団の構成員の権利と権威と結束の限界であり」——そして——「境界の内側での安定 性と制御の維持の限界でもある」

(綱渡りの重し) 金持ち 貧乏

これらの戦略間の緊張は、人類学者をして、エスニシティ(民族性)やナショナリズム※(国民主義あるいは国家主義)への関心へと導いた。

フレデリック・バース(バルト)(1928-2016)は、とりわけ編著『民族集団と境界』(1969)において、トランザクショナリズム(交渉主義)と いう概念を紹介して、バースの初期研究『スワート・パサンスの政治的リーダーシップ』において、対立と連立との間を振動する取引や引き続けられる「ゲー ム」によって、リーダーたちがどのように義務への忠誠を維持するのかを示した。この概念は、エスニシティ研究において、アイデンティティの交渉を調べる研 究として発展した。


※訳注:ナショナリズムは、古くは民族主義と訳されてきたが、ネーション(国民)や国民国家(ネーションステート)に最も信頼を置くイデオロギーなので、 あえて漢字を与えると国民主義あるいは国家主義になるだろう。



・「ア イデンティティ」「アイデンティティと生き方」「アイデンティティ・ポリティクス
・「民族的アイデンティティ」「政治的アイデンティティ」「先住民の帰属アイデンティティと社会実践
・「アイデンティティとイデオロギーの関係学
・「フレデリック・バース『民族集団と境界』論ノート
・「ナショナリズム

【本日の課題:01】※下線でリンクします
(もんだい)小 さい子どもたちが、 草履をスマホにみたててセルフィーを撮っているようにみえます。この子どもたちがおかれた、時代や、この子たちが、このようなジェスチャーを、どのような 文脈の中でおこなうようになったのか、説明してください。いつ、どこで、この写 真がとられる前に、この子どもたちはどのような経験をしているのか?について着目してください。(約20分)(→「静止映像の文化分析」)


83
エスニシティ(民族性)の諸問題
83.    エスニシティの諸問題
83. エスニシティの諸問題

一般的にエスニシティ(民族性)は、各集団がそれぞれを区別し、「私たち自身」ないし「私たち」という感覚もつ方法に関するものである。人類学者は、人び とがこの差異を表現するさまざまな方法や、差異の経験のされ方に関心を持つ。エスニシティは、人種とは異なる。

【台詞】男性「他者や他者の実践をステレオタイプ化することにより、人種はほかの集団に対して「私たち」を「彼ら」とは区別するんだね」

【台詞】別の男「それが結局のところ、人種主義、差別、暴力を生み出すんじゃよ」

他者性(alterity)は、よそ者つまり客体化された他者のことであり、人類学では最近に登場した概念である。すべての社会と集団は、他者性について 気づいていることが指摘されている。しかしそれは、人類学そのものの歴史と実践についての「自己再帰的」論争をも含んでいるのだ。

・「エスニシティ」(→「民族」)→「エスニシティ(ethnicity)は、民族集団から派生した用語で、民族の (ethnic)という形容詞の名詞形から、それ自体で民族=民族集団の意味 をもつ」

・「人種」「民族と民族性をめぐる用語集

・「 他者性(alterity)」
84
植民地主義
84.    植民地主義
84. 植民地主義

植民地主義、すなわちある社会に対する他の社会からの政治的支配と統制の行使、の研究の研究もまた、人類学ではその発展が遅れてきた研究である。マンチェ スター学派とローズ=リビングストン研究所が、社会変化と、部族と都市の生活の差異についての研究を発表したことで、重要性に欠く見えないものというとよ り、むしろ極めて重要な人類学的関心に関係するものとしての、植民地主義の存在がようやく見えてきた。

【台詞】アナザシ「それ以前は、俺ら「未開人」は少しも変っていないものとされてきた」——そして——「首長や統治者を任命するための儀式や儀礼に関わる 植民地統治者(colonial authority)のインパクトとは、植民者と被植民者の関係性を変化させる『構築的プロセス』だったとものの見事に暴露されてしまった」


その以外の研究は、非西洋の人びとによって西洋の法体系が受容され適応される方法について調べられてきた。

・植民地主義→「植民地・帝国主義時代の2つの時相

・「殖民主義国家・植民主義国家」「植民国家


85
反ー資本主義的人類学
85.    反-資本主義人類学
85. 反-資本主義人類学

マルクス主義に着想を得た人類学者は、資本主義と国家に対する植民地とポスト植民地の葛藤に関心を持ち、文化と政治とのもつれ合いを分析するための新たな 視点を生み出した。こうして、新たな概念と用語法が登場した。

中心——周辺論は、イマニュエル・ウォーラーステイン(1930-2019)の『近代世界システム論』(3巻、1974-89)で展開してきた概念であ る。

【台詞】学者(人類学者)「中心部は、力が行使される場所であり、周辺部は、中心で行われた判断によって影響を受ける場所じゃ」

従属理論は、アンドレ・グンダー=フランク(1929-2005)の『ラテンアメリカにおける資本主義と低開発』(1967)で展開された。

【台詞】グンダー=フランク「資本主義の発展は、植民地における収奪に依存するものであり、まさに従属と貧困と障害を創造※し、植民地の開発を阻害してい るのである」


幾ばくかの人類学者たちは、文化の用語のなかに、グローバルとローカルという考えを発展させてきた。従属集団の日常実践を研究するなかで、人類学者は、非 公式の構造——連帯、派閥、ネットワークなど——によって示される、組織内の、補足的で、並行する行動の形態に注目するようになってきた。

【台詞】アナザシ「ジェームズ(=ジム)・スコットは、『弱者の武器』において、日常的抵抗の様式としての政治に注目したんだよ」

【台詞】覆面をしたアナザシ「ここから、政治の暴力性と国家規則に対する抵抗に焦点を当てた、マイノリティ運動についての研究の流れが始まったのさ」

※ 訳注:ここでの「創造」は、従属理論における「低開発の開発(development of under-development)」という言い方で表現されるものであり、中心部が発展すればするほど、周辺部の富と労働はますます収奪される、とい う考え方である。

・脱植民地主義→「ポストコロニアル

イマニュエル・ウォーラーステインImmanuel Wallerstein, 1930-2019)

世界システム論World-systems theory


アンドレ・グンダー=フランクAndre Gunder Frank, 1929-2005)
86
法の人類学
86.    法人類学
86. 法人類学

人類学者は、司法※と慣習を区別するものの、この2つのものが働いているときにはその概念にほとんど差異はないということ指摘してきた。


【台詞】裁判官姿のアナザシ「しかしながら(近代の)司法制度でも係争を仲裁するためのものがあり、(伝統的な)慣習的制度でも規則違反に対して制裁がな されたり、誤った行動への処罰も存在するのだ」

【台詞】先住民姿のアナザシ「慣習は規範規則を強化するのさ。規範規則とは、期待されている活動と行動の形態のことなんだよ」

※訳注:law を文脈により司法と法を訳し分けている。

ポール・ボハナンは編著本『法と交戦行為』(1967)において、ちょうど「二重に制度化される」ものとして、司法を、慣習と行為規則から区別した。「二 重に制度化される」とは、司法というものは、他の制度から由来する慣習あるいは規則を、制度の中に再度取り込んだものだという意味である。

アメリカの人類学者E.アダムソン・ホーベルは、『未開人の法』(1954)において、法は次の3つの原理を含んでいると指摘した。

1. 正しい行動を保証し誤った行動を罰するための(暴力などの物理的)力の利用を正当化すること、

2. 強制力を行使するため、個人に権力を割り当てること。

3. 思い付きではなく伝統を尊重する。法の執行は、慣習であれ制定法であれ、周知されている規則に則って行われなければならない

・法人類学→「法の人類学入門」「法人類学:仮想シラバス
87
口論解決のメカニズム
87.    係争処理のメカニズム
87. 係争処理のメカニズム

狩猟採集社会では(争いを避けるために実際に会わないことつまり)回避が起こる。

【台詞】アナザシ「社会的空間が広大で、公式な統制のメカニズムが相対的に発展していない」

【台詞】学者(人類学者)「人びとの間での紛争や攻撃の源を見つけるために、卜占あるいは神判が利用されるのじゃ」


仲裁、交渉、調停、裁決は、いろいろなやり方があるが、それは(網の目のようになった社会に病気のように蔓延する)紛争や競合をそれ以上引きおこさないた めである。それらは、争いつまり競合による具体的出来事を処理しようとするのであり、それらはまた、賠償を決定したり、慣習的制裁を働かせることとなる。

【台詞】学者(人類学者)「争いは、非公式的にできあがる寄り合いや集会へ持ち出されることもある」——そして——「そこでは、係争後も一緒に暮らしてい かなければならない人びとのあいだでの合意が探求される」

(非公式の寄り合いや集会での役割)裁判官、被告(人)、陪審員

そこでは、具体的でしばしば儀礼的な、係争を仲裁し裁決を下すために権威を与えた集団がいる。そうでなければ、係いは、公式に制度化された裁判所によって 処理される。

・「裁判外紛争解決(ADR)
88
宗教
88.    宗教
88. 宗教

宗教的信念の研究は、人類学者にとって主要な関心分野であり、人類学者は多数の宗教的な組織や実践の形態を範疇化してきた。

【台詞】大木「アニミズムは、山や川、木に霊魂が宿っているとする信念だよ」

【台詞】動物「初期の多くの人類学者と同様に、E.B.タイラーは、アニミズムが最古の宗教形態だと指摘したんだ」

【台詞】E.B.タイラー「フェティシズムは、初期の人類学者のもう1つの関心事であった。人類学者は、「未開の」人びとが事物に呪術力を持たせたと考え ていたのだ」

物神性(fetishes)は存在するものの、それらは信念体系の基盤を形成するわけではない。

トーテミズムは、北アメリカの五大湖地方に住むオジブウェに由来する言葉である。トーテムは、動物種によって表象される霊的存在である。特定のトーテムが クランを象徴する。同じトーテムを共有する人びと同士は結婚できない。個人は自分自身の守護霊つまりトーテムを持っているが、それは特定の食物を摂ること が禁止されている:「あなたのトーテムを表象する動物をあなたは食べてはいけない」というぐあいに。トーテムのまた別の形態は、聖なる場所の霊魂に所属す るともいう。

レヴィ=ストロースは『トーテミズム』(1962)において、トーテミズム(トーテム信仰)というようなものは存在しないと主張した。

【台詞】レヴィ=ストロース「この用語は、1つの現象だけに使われるのではなく、さまざまな現象に使われている」——そして——「クランあるいは他の社会 集団の紋章である「トーテム」と、禁忌の食べ物や聖なる組織の射程を示す「トーテム」の違いは、大きく隔たっているのである」


宗教→「宗教人類学」「癒しをうむ社会的文脈」「新宗教と癒し」「宗教と社会生活

・「アニミズム

・「トーテミズム」(プ レ人類学=人類学以前

・「タイラーによると、宗教はこのようなアニミズムみられる自然崇拝から死者崇拝や呪物 崇拝(フェティシズム)を経て多神教になり、そして最後に一神教へ進化したのではないかと考えた」

・レヴィ=ストロース『今日のトーテミスム』の章立て:「序論 第1章 トーテム幻想 第2章 オーストラリアの唯名論 第3章 機能主義的トーテミズム 第4章 知性へ 第5章 心の中のトーテミズム」
89
シャーマニズムとカーゴ・カルト(積荷崇 拝)
89.    シャーマニズムとカーゴカルト
89. シャーマニズムとカーゴカルト

シャーマンは、人間世界と霊魂の世界、人間と動物、あるいは生者と死者の間を媒介する宗教的に熟練した人物である。

【台詞】シャーマン「「メディシン・マン」や「魔法使い」あるいは「呪医」というよりもシャーマンと呼ぶほうが政治的に正しい言い方なのじゃ」

【台詞】信者「カーゴカルト運動と千年王国運動は、世界の終末あるいは新たな世代の幕開けを現(うつつ)として見せてくれるのじゃー」

カーゴカルト(積荷崇拝)運動とは、第二次世界大戦後にメラネシアで流行した(千年王国運動の)名称である。(積荷)は西洋からやっていくる財を指す。い くつかのケースでは、預言者が登場し「カーゴ」をともなって祖先たちが再来しする日々がその目前に迫っており、到来する新たな時代では、白人ではなくネイ ティブの彼ら自身によって社会が統制されることを宣言したのだ。北アメリカにも同様の運動がおこり、それは土着運動あるいは宗教復興(リバイタリゼーショ ン)運動と名付けられた。

これら以外に、宗教の2つの基本的な形態があり、ひとつは多神教(1つ以上の神格の存在への信念)であり、他のひとつは一神教(ただ1つの神の存在への信 念)である。フランスの社会学者エミール・デュルケーム(1858-1917)はその著書『宗教生活の原初形態』でそれとは違った宗教の2つの見方につい て示した。まず最初は、機能主義的見方であり、宗教は、信念であり活動であるので、その機能によって定義されるというものだ。

【台詞】エミール・デュルケーム「宗教は、社会的結束を強める社会的な創造物である」——そして——「もうひとつは〈聖〉と〈俗〉という基本的な区別だ。 それは次のページで示したい」

・「シャーマニズム・シャーマン

・「カーゴカルト」→ 「カーゴカルト(Cargo Cult)は、文字どうり訳 すと「積荷崇拝」あるいは「積荷カルト」であり、19世紀後半から20世紀中ごろまでに、メラネシアを中心として、西洋の植民地主義により、先住民・原住 民に大量の物量や、彼らの技術にはない珍奇で 奇跡的な技術の導入により、彼らの間で認知的混乱がおこり、その時に同時におきた社会不安に乗じておこった「千年王国運動(millennium movement)」と呼ばれる宗教的熱狂運動のことをさす、文化人類学の用語である。カーゴとは、船や飛行機の積み荷のことで、彼らは、自分たちが物質 的に西洋人に対して貧困である ——そのようなイデオロギーは西洋人が武力と物量で持ち込んだのだが——ことの原因を考え、それは(キリストの救世主に似た)救済主が豊かな物量をもたら す至福の時が、いずれ近々おこるだろうと信じて、手作りの飛行場——もちろん実用的価値はない——や、木製の飛行機の像を造って、その積み荷の招来を期待 した。もちろん、積み荷などやっては来ずに、各地で熱狂的な運動は急速に醒めることになったが、広域的な地域の局所的な部分で、この間(7-80年間)散 発的に起こりつづけた。カーゴカルト運動は、メラネシアとりわけ、ニューギニアで発生した(Vailala Madness 1919-1922, Taro Cult, Cargo Cult)やヴァヌアツ(John Frum)などで起こったが、こ れらは急速な文化変容による現地社会のストレスマネジメントの社会的適応——それもかなり虚しい帰結を結ぶ——だと現在では解釈されている」
90
聖と俗
90.    聖と俗
90. 聖と俗

聖(sacred)は、通常の世界とは区別される。聖は儀礼と関連したタブーのように、隠され禁止された、あるいは特別な知識や実践を含んでいる。

【台詞】エミール・デュルケーム「聖は、呪術的な力や霊魂あるいは神格と関係しており、宗教的そして呪術的実践の両方に関係する可能性があるのだ」

俗(profane)は、日常の世界に属していて、日々の知識と実用的な実践を伴う。

【台詞】エミール・デュルケーム「俗は、日常生活、特に世俗的活動に関する物理的なモノと関連するのだよ」

エミール・デュルケーム(David Émile Durkheim, 1858-1917)

・「「聖なる空間」作成ノート


91
魔術/呪術の人類学
91.    呪術の人類学
91. 呪術の人類学

信念体系は、妖術(witchcraft)や邪術(sorcery)をも含むことが多く、ときにすべてまとめて呪術と称される。

【台詞】呪術師に扮した人類学者「妖術は、悪意のある呪術力を伴い、個人の性質に生まれつき備わっているのじゃ」

【台詞】妖術師「邪術は、悪意のある呪術力を伴い、生得的なものではなく、習得されるものよ」

E.E.エヴァンズ=プリチャード(1903-73)は、『アザンデの世界:妖術・託宣・呪術』(1937)という影響力の大きい業績を残した。ザンデ人 ※は、妖術に取り憑かれている人たちである。エヴァンズ=プリチャードによると、この信念はそれ自体の論理と合理性を持っている。妖術は、個人の幸運と不 運を説明するための、合理主義者がもつ原因と結果を超越した、もう1つの層(レイヤー)として作動する。



訳注:ザンデ語では、ザンデは単数表現で、集合的人格や社会をあらわすアザンデなので、人間をあらわす時は、ザンデ人、社会や民族としてはアザンデと呼ん でおく。

・「モースとユーベル「呪術の一般理論」」→︎▶呪術師とその呪術呪術は本当に効くのでしょうか︎︎▶︎呪術で人は殺せるのか▶︎︎共感呪術(類感呪術・感染呪術)葉巻の呪文、または愛の呪術▶︎︎▶︎▶︎︎▶︎▶︎
92
信念をめぐる論争
92.    信念についての論争
92. 信念についての論争

エヴァンズ=プリチャードの研究は「あることを合理的なものとして信じるとは何か?」という論争において重要なものとなった※。この論争は、理性と合理性 の意味を問うものだった。この論争は、思考、信念、実践をそれ自身の文化的文脈のなかで、信じる者や実践する者の視点から理解するという文化相対性という 概念をうみだすことになった。

【台詞】エヴァンズ=プリチャード「西洋的見方を優越させる自民族中心主義、とりわけ〈現実〉の唯一の決定要素としての科学的、つまり道具的合理性をそれ (=文化相対主義)は浮き彫りにしたのだ」



※訳注:これは、ウィトゲンシュタイン派のピーター・ウィンチによる議論が刺激になりなり、現在では合理性論争あるいは社会科学における合理性論争と呼ば れている。

・「ピーター・ウィンチと合理性論争

エドワード・エヴァン・エヴァンズ=プリチャード(Edward Evan Evans-Pritchard, 1902-1973)
93
儀礼の検討
93.    儀礼の検証
93. 儀礼の検証

宗教は、儀礼を伴い、神話と象徴(シンボリズム)をとおして表現されやすい。これらはいずれも技芸(アート)の特徴か、その部分である。儀礼は、個人のラ イフサイクルにとって重要な社会的出来事ないし局面(ステージ)を印付けるものである。儀礼においては、信念体系が実行され、象徴的に規定され強化され る。そうすることで、信念体系が個人的かつ集団的な意味を行使あるいは構築するために差動する。

【台詞】エヴァンズ=プリチャード「儀礼は、個人ないしは集団的にアイデンティティを表現する」——そして——「儀礼は、社会的緊張状態や紛争を解決し、 解き放ち、あるいは社会的結束と連帯を促進するために役立つのだ」


94
通過儀礼
94.    通過儀礼
94. 通過儀礼

アルノルト・ファン=ヘネップ(1873-1957)は、通過儀礼ついての有名な研究業績を残した。通過儀礼とは(成人式、結婚式、葬式など)個人の人生 における重要な出来事をしるしづける儀礼のことである。

名付け儀礼は、共同体のメンバーではない〈人ではない存在〉から共同体のメンバーという〈人としての存在〉移行をしるしづける儀礼である。

加入礼(イニシエーション)は、1つの地位から別の地位へ、例えば子どもから大人への移行をしるしづける儀礼である。

婚姻儀礼は、独身から既婚への移行をしるしづける儀礼である。

葬儀は、〈人としての存在〉から先祖へ、つまり現在の世界からそれを超越した世界への移行をしるしづける儀礼である。

すべての通過儀礼は、分離→移行→統合の3つの段階がある。分離は、儀礼に先立つ集団から離れ、その前の地位と儀礼の結果獲得される地位とのあいだの、空 間的で象徴的な距離というものをつくりだす。移行は、ラテン語でいう〈閾値〉の意味であるリミナルな(境界的)状態であり、儀礼行動の大部分活動に相当す る。移行期間と移行の実現は、危険であるか発展的であるかのいずれかである。

【台詞】聖職入門者「それ(分離)は、日常の逆転を含むことが多いんだ。許容されている活動ないし範疇(カテゴリー)が転覆するのさ。」

【台詞】聖職修行者「それ(移行)は、儀礼に参加するグループと個々人のあいだに特別なつながりを生み出すようなんだよ」

【台詞】聖職就任者「それは(統合)、新たな知識が伝えられ会得するようなんだよ」

儀礼の完了時におこなわれる、統合は、新たな状態を獲得した個人が社会へ再統合されることである。

・「通過儀礼


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神話の研究
95.    神話研究
95. 神話研究

本来、神聖なものであるにせよ宗教的なものであるにせよ、神話というものは、個人的や逸話的というよりも、社会的な語りである。そして、自然、超自然、社 会文化なものであれ、神話は、事象の起源や創造について言及がある。神話は、特定の儀礼を表出するのだ。神話と儀礼は、共通の象徴的要素を共有し、創造的 かつ宗教的表現をするために両者は相補的な関係にある。

【台詞】マリノフスキー「ボアズ先生は、神話を、集団間の地域関係のガイドのごとくとらえ、文化と文化の特性に関する情報の貯蔵庫だとみていたのですね」

【台詞】ボアズ「マリノフスキー君は、神話を〈社会的行動のための憲章〉としてとらえ、人びとの慣習や行動することを説明し正当化するための合理的手段と 見たんだな」

・「神話」→「神話学

・「神話(myth)とは、読んで字のごとく、神や仏などの超自然的存在(supernatural beings)や、ものすごく昔(つまり神話的時代)の先祖や祖先、あるいは、人間のみならず動植物(→アニミズム)や事物の霊的存在が主人公になる物語 のことである。神話は、どのような社会において語られる時にも、そこには存在しないものについて話すので、語り手は聞き手とともにいる(=共在する)時空 間とは異なる話であることを強調する。また、語り終わったときには、そのような内容を過去のものや、伝聞推定のように表現して、「今まさにここに」という 時空間とは別物であることを強調する」
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クロード・レヴィ=ストロース
96.    クロード・レヴィ=ストロース
96. クロード・レヴィ=ストロース

神話研究と最も関わりの深いフランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロース(1908-2009)は、法と哲学の学びから始めた。1934年に社会学を 教えるためにブラジルに渡り、最終的にはボロロ先住民の間でフィールドワークを行った。

【台詞】レヴィ=ストロース「神話は、思考の種類(タイプ)の1つであり、すべての人間文化と社会体系の基盤となる、普遍的な〈構造原理〉の実例なのであ る」

神話は、普遍的で文化的に特有な矛盾ないし対立が象徴的に調停され、解決されたり、それら自体を反映してきた。。対立は、レヴィ=ストロースの構造主義の 体系にとって極めて重要である。



Myth is used to reflect on and symbolically mediate or resolve universal and culturally specific contradictions or oppositions.


レヴィ=ストロース(Claude Levi-Strauss, 1908-2009)
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二項対立と構造
97.    二項対立と構造
97. 二項対立と構造

対立は、死と創造、母系と父系、生と熱など、二項(バイナリー)から成る。神話は、異なる象徴的要素を限りなく編成し、また再編成する。神話の異なる ヴァージョンは、神話的な知識と思考が常に創造され修正されていることを示している。レヴィ=ストロースにとって、文化の本質は構造であり、各々の文化は それ独自の配列ないし構造を持っている。これらの構造は、世界規模の体系の一部として存在し、その体系は、人類の物理的結合(psychic unity)を基盤として存在しうる、すべての構造から成るものである。

【台詞】レヴィ=ストロース「私の関心は社会の理想的な構造にあります。人類学者は、存在しうるすべての配列を抽象的に解きほぐすのです」

【台詞】アナザシ「だから構造には2つのかたちがあるんですよ。人類学者の心(マインド)のかたちと、研究対象の人びとの心(マインド)のかたちなのさ。 誰の思考が最も重要なのかしらね?」

・「構造」「人間の身体は対象化される(対象化可能な)構造ではなく、それ自体が構造をつくりだすものである

レヴィ=ストロース(Claude Levi-Strauss, 1908-2009)
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象徴とコミュニケーション
98.    象徴(シンボル)とコミュニケーション
98. シンボルとコミュニケーション

シンボル(象徴)は、儀礼と神話についての議論の中心であり、意味とコミュニケーションに関する問い提起する。シンボリズムの研究は、象徴人類学や認知人 類学などとは異なるアプローチを展開した。その概念と用語法は、言語学と記号学からの借用していた。

【台詞】学者(人類学者)「だが、大いなる注意が必要じゃ。なぜならそれらは、違った書き手だと違った方法として使われるからじゃ」

【台詞】アナザシ「ははん!自分にとって都合がいいようにでっち上げるということね?」


・「言語について考える」→
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象徴と社会過程
99.    象徴(シンボル)と社会プロセス
99. 象徴(シンボル)と社会プロセス

マンチェスター学派の頭目であったヴィクター・ターナー(1920-83)は、社会過程の部分としてのシンボル(象徴)に焦点を当ててきた。「私たちは諸 記号をとおして社会を支配する……そして、シンボルをとおして私たち自身を支配する」のだと彼は指摘している。

【台詞】ナチに扮した人類学者「ターナーにとって、自然で感情的な意味とつながりのあるシンボルを際立たせるのは、動機だったのである」

【台詞】アナザシ「それゆえシンボルは恣意的に決まるわけじゃない」

ターナーは、コミュニタス(cmmunitas)という概念を導く。つまりシンボリズムをとおして接近することができる文化の創造的衝動ないしは始原の土 台をコミュニタスと提唱した。

・「シンボル」→「イコン・インデックス・シンボル」→「記号・表象・象徴

ヴィクター・W・ターナー(Victor Witter Turner, 1920-1983)

・「生と死の儀礼における分類の次元
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アクター、メッセージ、コード(行為者/ 伝達内容/暗号)
100.    主体(アクター)、メッセージ、コード
100. アクター、メッセージ、コード

シンボリズムへの人類学的アプローチは、メッセージよりもアクターが強調される、そしてコードよりもメッセージが強調される。ここで言うアクターとは、シ ンボリズムを採用したり関わったりする人格存在のことをさす。

【台詞】男性「「コード」とは、礼儀作法のような規範的規則のひとつのセットですな」

【台詞】別の男性「あるいは、1つの領域ないしは段階から別のそれらへの移し替えるための規則の一式ですな」——そして——「情報がパックされ運ばれ展開 される方法と、情報を形作り中身を示す方法は、互いに影響し合っておりますな」

グレゴリー・ベイトソン(1904-80)は、文化を情報の生成と伝達のためのメカニズムであるとした。彼は遊びとメタコミュニケーションという概念を紹 介した。シンボリズムにおける遊び、創造力、そして儀礼は、人びとの意識を拡大し再組織化する活動である。


・「アクター」(行為主体)

・「メッセージ」(メディアはメッセージである

・コード(暗号、要項)

グレゴリー・ベイトソン(Gregory Bateson, 1904-1980)

【本日の課題:02】※下線でリンクします。
これらの一連の組写真 をみて、男の子と乳幼児の妹と母親(乳房に着目)がどのように表現されているのか、人類学者のミードやベイトソンになった気持ちで分析してみよう。なお組 み写真の時系列の順番は、左側の縦列から1→2→3、ひきつづき右の縦列から4→5→6の順になっている【約20分】(→「静止映像の文化分析」)。
101
シンボリズムと新しい見解
101.    象徴主義と新たな視点
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
102
芸術の人類学
102.    芸術人類学


103
映像人類学
103.    映像人類学


104
消失してゆく世界
104.    消えゆく世界


105
新しい枝か?古い根っこか?
105.    新たな枝派か?あるいは古根か?


106
フィールド経験を書きたてる (Writing up the field)
106.    フィールドを書き上げる


107
現在において書く
107.    現在において書く


108
自己[回帰の]人類学(Auto- Anthropology)
108.    自己回帰の人類学


109
二重のテポストラン、闘争的テポストラン
109.    テポツォトラン論争/テポツォトランの2つの顔


110
テポストラン再訪
110.    テポツォトラン再訪


111
人類学とは科学なのか?
111.    人類学は科学なのか?


112
科学のふりをすること
112.    見せかけの科学


113
インディアンは居留地を出る
113.    保留地の外へ出たインディアンたち

114
誰がインディアンのための語るのか? 114.    誰がインディアンのために語るのか?

115
神としての白人
115.    神としての白人

116
権威の神話
116.    権威神話

117
出来事の位相
117.    出来事の地平線


118
自己批判的人類学
118.    自己批判の人類学


119
人類学のヒーロー
119.    人類学の英雄


120
ミード神話の没落
120.    ミード神話の崩壊


121
観察される観察者
121.    『観察される観察者』


122
粘土の足
122.    もろい基礎


123
自己投射の議論
123.    自己投射の問題


124
文化を書くこととポストモダニズム
124.    文化を書くこととポストモダン


125
ポストモダンの麻痺
125.    ポストモダンの無気力感


126
人類学における女性
126.    人類学の女性たち


127
人類学者たちの親族紐帯
127.    人類学者の親族紐帯


128
フィールドの協力者
128.    フィールドの協力者


129
フェミニスト人類学
129.    フェミニスト人類学


130
フェミニスト人類学の位置づけ
130.    フェミニスト人類学の位置付け


131
未接触の人々
131.    穢れなき民


132
ヤノマモ・スキャンダル
132.    ヤノマミ騒動(スキャンダル)


133
内戦を創り出す
133.    生み出される内乱


134
人類学はどこへゆく?
134.    人類学はどこへ行く?


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