垂水象
の箴言集
(しんげんしゅう)
池田光
穂
「やまあらしの群れが、ある寒い冬の日に一緒に寄りそっ
て、おたがいの体温で寒さをしのごうとした。だが彼らは、すぐにおたがいの針を感じて、そのためにまた、はなればなれになった。さて、からだをあたためる
欲求から、ふたたびたがいに接近すると、また針の禍が繰りかえされ、その結果、彼らは二つの苦悩のあいだを、あちらこちらとうろつき、ついにいちばん我慢
しやすい適当な距離を見つけ出した」——ショーペンハウワー『余録と補遺』(哲学小品集)2-31
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書くという行為に取り憑かれ、夢中になって文字を操るあま り、文字とは自分を救ってくれるものである以前に、物事をはっきりさせ、ひとりよがりにならないための手段だという事実を忘れてしまえば、それこそ悪循環 にはまり込むのではないか?——ミッシェル・レリス『オランピアの頸のリボン』谷昌親訳、p.270.
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金嬉老にかぎらず、朝鮮人が自分自身の存在を告げるため に、犯罪を代償にしたり血縁を死においやったりして日本人宛のことばを作り出そうとしているときに、日本人は朝鮮人へのことばを、自分の何ものをもこわす ことなく排泄している——森崎和江(1968)
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いいところは後廻しといふ、自制をひそかにたのしむ趣味が 私にはある。——太宰治『津軽』
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かくして心理学主義、好むと好まざるとにかかわらず、社会 の始まりという考え、そして社会に先立って実在していた人間本性ならびに人間の心理学という考えを扱わざるをえない。——カール・R・ポパー『開かれた社 会とその敵(第二部)』小河原・内田訳、p.91
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あらゆる言語は自己じしんのなかで自己を伝達する。それは もっとも純粋な意味で伝達の「メディア」である。メディアであること、これはあらゆる精神的伝達の直接性であり、言語理論の根本問題である。
言葉は何を伝達するのか? 言語は言語に対応する精神的本 質を伝達する。この精神的本質は、言語のなかで自己を伝達するのであって言語を通して伝達されるのではない、ということを知っておくことがまず肝要だ。 (ともにベンヤミン)
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Non pertinet ad laudem artificis, inquantum artifex est, qua voluntate opus faciat; sed quale sit opus quod faciat. (作る人として見られた作る人の功績を讃えるのは、その作品にある意図のためではなくて、彼が実現した作品の質のせいなのである)——トマス・アキナス 『神学大全』I-II. 57,3
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嫌になったもうだめさ/だけどくさるのはやめとこう/日の 目を見るかもこの俺だって —— 沖てる夫
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ポストモダン状況では、ニーチェでさえニーチェ的ではない と判断されるのである ——Acidem Aigoloportna, 2003
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不治の理論病患者 —— T・パーソンズ(『社会体系論』 1951)
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厚生省を舐めるな〜よ〜っ! —— 寺田卓(大友克洋『老 人Z』1991)
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ただ死人の枯骨をもって道しるべとなすのみ ——法顕(4 世紀)
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ひとつだけの意識というのは、形容矛盾である。——ミハイ ル・バフチン(訳は桑野隆[2002:2])
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ナショナリズム批判の一本調子は、逆にナショナリズムのし ぶとさを経由しない学問のうさんくささを浮かびあがらせる。——関一敏 [ Seki Kazutoshi ](2002:15)
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さて、次の世紀には本は消滅するだろう。成功が時間を稼ぐ ことにかかっているというのに、本を読むのは時間がかかりすぎる。やがて、本というのは、フィルムやジャーナリズムとの対談やテレヴィ放送やカセットなど のメディアが一足先にその「メッセージ」を著者名著者名、書名つきで広く流布した印刷物のことである[というふうになる日がくる——引用者]、ということ になるだろう。……本は付け足りとして流布されるようになり、出版社には追加的な経済的利益を、読者には追加的な象徴的利益をもたらすことであろう。—— リオタール(1989[1983])(訳は陸井四郎ほか) 【→病人としてのマクルーハン】
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記録文書、データ、コンピュータといった三種の神器の奇跡 を待つような人々は、科学的事実たる構成された対象と、博物館が保存している現実の対象(ただ、「資料が現に残っている」ために、後生の研究者に対して際 限なく事実の構成をやり直す可能性を与えている現実的対象)との間にある相違を理解することができない。——ブルデュ、シャルボルドン、パスロン(田原・ 水島訳)
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今日は、虚偽の世において、我々のかくも愛したる日本の国 の理想、あるいは理想を失った日本の葬りの席であります。私は怒ることも怒れません。泣くことも泣けません。どうぞ皆さん、もし私の申したことがおわかり になったならば、日本の理想を生かすために、一先ずこの国を葬ってください。 矢内原忠雄「神の国」(1937)
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おまえの生まれた時はあたかも、日本が一等国から四等国に 落伍した後であり、世界がやっと戦争から平和に移行した年である。この環境はおまえにとっても両親や身内のものにとっても、どんなに幸せな事かわからな い。しかし、偉大な世紀の悲劇は、日本民族を国家的に再起不能たらしめ、日本人はこれら骨身にしみるような民族的困難を受けることは、おまえにとって不幸 だと思う。これを脱却するためには、日本的感情の女という事を忘れて、勉励して個人的に豊かな人間性を持った立派な人間になることに努力しなければならな い。優れた才能をもった人間には、人為的国境はなく、一等国とか四等国の人為的に作られた国境はない事を、心に銘記して、人を愛し幸福な生き甲斐のある人 生を送ることを心から希望します——父。
山 端庸介(長 崎原爆の従軍写真家が1946年生まれたばかりの長女にあてた文章
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きょう、ただいまから、わたしたちは、こっかけんりょくに たいして、たちむかうことになったのでございます。 渡辺栄蔵、熊本地裁前にて(1969)
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人は錯誤に立脚して始めなければならず、錯誤に真理を承服 させなければならない。
すなわち、人は錯誤の源泉を暴露しなければならない。さも なければ、真理の声を聞いてもわれ われには何の役にも立たない。何か他のものが代わりに居座っているとき、真理は入ってくるこ とができない。
ある人に真理を納得させるには、真理を証明するだけでは十 分でなく、錯誤から真理への道を発 見しなければならない。
──L・ヴィトゲンシュタイン「フレーザー『金枝篇』につ いて」杖下隆英訳『ウィトゲンシュタイン全 集6』p.393、大修館書店、1975年 こちらへどうぞ
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先生方よ、不知火海に生きている人、死んだ人、その人たち の、まだ暖かみの残っている歴史の心音に掌をあてて、時間をゆっくりかけて巻き戻して下さい。そうすれば、ほろり、ほろりと、あのひとたちが出てまいりま す。ただ丁重に、丁重にあつかわねば、あのひとたちが苦しがる。
石 牟礼道子(1977) こちらへどうぞ
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ギャグ:「うるさ〜い! クソッ!」
(会話分析の教授室から聞こえてくる独り言) こちらへどうぞ
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「情報をシャワーのように浴びること。シャワーのように浴 びた上で判断し、決断を下すこと。それが公安警察における幹部のあり方だ」——警視庁公安部の幹部の発言。出典:青木理『日本の公安警察』p.36 こちらへどうぞ
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「人間はいらだちながら言を弄して、深い穴の縁に群れ集ま りながら自分たちの文化を築いているということを忘れる余裕はない」ケネス・バーク
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一度は時代遅れになったように思われた哲学が今なお命脈を たもっているのは、その実現の機を逸したからである。 ——アドルノ『否定弁証法』
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「生は美しい。未来の世代に属する人たちが、人間の生活か ら、すべての悪、すべての抑圧、すべての暴力をぬぐい去り、そして、そのすべてを享受するように・・」トロッキーの遺書1940.2.27付け(→レイナルド・アレナス)
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「「サティ」と呼ばれるこのいまわしい妻の殉死の風習がイ ンドでは絶えて見られないのはイギリスの統治のおかげであるし、同様にオランダもこれまでにバリに対してあきらかに力を尽くしてきた。このような仕事こそ が西洋文明が野蛮人たちを征服し、教化し、太古からの文明にとって代わる権利を正当化する資格証明書なのである」(ヘルムス)[出典:ギアツ『ローカルノレッジ』p.70]
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「科学を固定的でかつ普遍的な規則に従って営むことができ るし、またそうするべきであるという考えは、非現実的であると同時に有害でもある」パ ウル(ポール)・ファイヤアーベント、1975
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ロシア人:「これ(鮭)はソビエトの魚である」、日本人: 「証拠はあるんですか?」、ロシア人「切り身が赤い」(立川談志1968.2.27)
「ソヴィエト共産主義になったらお前の病気も治ってしま う」自宅に招いた向坂逸郎が東郷健に投げかけたと呼ばれることば(ca. 1978)(東郷 2002:164)
「フランスにも詩があるんですか? それから、フランスに も恋はあるんですか?」レリスが引用するエチオピアの女性エマワイシュの発話をギアツが引用しているのを、レリスの書物(『幻のアフリカ』を通して引用す る:邦訳、p.367)
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「思考はおそらく、人が18歳のときよりも35歳のときの ほうが、そして学校の課程の中よりも外でのほうが、より大きな幼年時代を手に入れることができる」リオタール(管啓次郎訳『こどもたちに語るポストモダ ン』)
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「なにしろ帝国主義というシステムは、べつの可能性をにべ もなく消し去り、それを思考できないものにしているからだ」サイード(大橋洋一訳、『文化と帝国主義』p.66)
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「われわれは原始時代の四足の獣からまだ脱しきれていな い。サスペンダーを身につけたり、見識に満ちた論文を書いたり、ココアを作ることを学んできたが、単なる異なる部族どうしがヨーロッパの恵まれた半島のひ とつで共生するための重大な決断をくださなければならないときには、大規模な相互破壊の他の方法は思いつかなかった」ベオグラードのトロッキー
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「芸術は死んだ、日常生活を創造せよ」1968.05ソル ボンヌの壁書
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孤立した珍しい実験の時代が過去のものとなったように、個 々のバラバラの変わりやすい仮説の時代も終わった。これからは仮説は総合である。——ガストン・バシュラール『新しい科学的精神』
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「自由を求める苛立ちに<かたち>を与える」M・フーコー こちらへどうぞ!
「SMの実践で主張されるのは、われわれは妙なものから、 身体の奇妙な部分から、しかもじつに奇妙な状況下で、快楽を生み出せるということなのです」M・フーコー
「誕生したものは、したがって言述(ディスクール)の広 大な可能性である。日常性に関するあるひとつの知は、そこにあっては、少なくともその原因の一翼を担い、解読用の格子を持ち合わせているのであって、それ を西洋はわれわれの所作に、われわれの存在様式と行動様式とに充当しようとしたのである。」M・フーコー「汚名に塗れた人びとの生活」(田中寛一訳)『現 代思想』15(3):87,1987
「60年代以降の知識人の役割とは、まさしく、自分の経 験、自分の能力、自分の個人的選択、自分の欲求にもとづいて自分を位置づけることである。」M・フーコーの75年11月カリフォルニアでの発言(エリボ ン『ミッシェル・フーコー伝』新潮社,1991:429-430)
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「わたしたちは村々にナパーム爆弾を落としておきながら、 かれらを非難することができるのか」R・ロザルド
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「肉体の死が彼らを倒すまえに、こうして彼らは社会的に死 んでいるだ」シゲリスト
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「主体と客体というカテゴリーは、戦争のためのに造られた ものである」ブルーノ・ラトゥール
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「性欲の中に突如として愛が登場すること——これはひとつ の奇蹟である」メルロ=ポンティ
「問題の一切は、文字通り、ネガティブなものを、いかに厳 密に考えるかに帰着する」:メルロ=ポンティ『見えるものと見えないもの』
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(学問はかくもはかなし:熊本大学文学部のことではありま せん、念のため)
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「まことに現実とはいつもこのようにアンチ・クライマック スに終わる」菅原和孝
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「20世紀知識人のひとつの傾向としてある特定の集団に希 望や抵抗の拠点を見る宿弊がある」三島憲一
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「議論の相手となりうるのは自分のいうことを理解する者だ けだ、というのは自明の理である。」エドマンド・リーチ
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病気でないような「理論」は屑である。 垂水源之介 こちらへどうぞ!
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「真の本質的な相互作用は歴史過程における主体と客体との 弁証法的関係である」ルカーチ
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「学 問を知るには、その学問を研究している人たちがいったいどんなことを行っているかを見るべきである。」クリフォード・ギアツ
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「あるものを体験して美しいと思うのは体験のしかたを必然 的に誤ると言うことである」ニーチェ
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「すべての理論家のなかでもっとも無謀で不誠実な者は、事 実をしてあるがままに語らしめると公言してはばからない者である。」アルフレッド・マーシャル
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「記号のないところにはイデオロギーもない」バフチン
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「人生と真理と事柄は込み入りがちなものである。単純なの は事柄ではなく哲学者のほうである。‥‥過度の単純化は哲学者の職業病である、と。」オースティン
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「エキゾチシズムと倒錯とは、少なくとも、ピューリタニズ ムからすれば、ほとんど表と裏なのである。」(西成彦:マゾッホの小説集)
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「脱出が不可能だったと、あえて証言するのは、私の声だけ なのだろうか?」レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』
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「知的体系とは、ここでは、われわれがあれこれと手を入 れ、調整し、処理を施して、ついにはなんらかの仕方で適当に調和させてしまうような見解の集まりではないのである。」F・ジェイムソン『弁証法的批評の冒 険』p.147
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「意識の改革とは過去と未来との概念上の断絶といった問題 ではなくて、むしろ過去の諸思想を完成させるという問題だ」(マルクスのルーゲへの手紙、1848)
「私の弁証法の利点は、物事を少しづつ言うことである。 ——ところが彼らは、私がなにもかも言いつくしていると思い込み、せっかちに私に反駁して、自分の間抜けさ加減をまる出しにするしか能がない!」 1867.6.26マルクスのエンゲルスあての書簡
「ひとつのものをさまざまな関係のなかに置くことによっ て、われわれは新しい諸関係と新しい真理を演繹することができる」カール・マルクス
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「いっさいの誤解と無理解に抗して仕事をおこなうのは、じ つに楽しいことなのである」中沢新一(『はじまりのレーニン』)
「誤りをおかさないのは、なにもしないものだけである」 レーニン
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「この世の弱き ものが倒れるならば、破滅が傲慢な者を打ち据えるだろう」レイナルド・アレナス『めくるめく世界』
(→「この世に不正があるかぎり、おまえたちは立ち上がって闘わねばならない。迫害され るものを守らねばならない」ティル・オイゲンシュピーゲルの妻が息子たちに語ったことば)
(イバン・イリイチは次のような趣旨の発言をユダヤの言い伝を捩っていう”犠牲をはらい ながら世界の破滅に抵抗する人びとがいる。そういう人びとによって世界は支えられている。だが、彼(女)たちは、そのことを知らない。しかし、そのような 人たちが倒れる時、世界もまた崩壊するのだ”。これは12人の賢人が世界の12の支柱を支えるという逸話からきているという。賢人とは名も無き人びとのこ とだともいう)。
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自分の一番大切な宝を惜しみなく浪費する時にこそ、自分の 本分を尽くしたことになる詩人なのです。——ゲーテ『ファウスト』p.66
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「われわれの信ずるものは、その根底においてわれわれの属 するものによって条件づけられる」マイケル・ポランニー
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「ところでアカデミズムというものは、つねに虚構の普遍言 語であります。ですから、議論の領域とその限界をあきらかにしておかねばなりません」セルトー『文化の政治学』(「複数の文化」)山田登世子訳, p.261
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・Don Juan:いかにも。呪術師は人間だ。われわれは思考の産物なのだ。ものごとを明らかにすることを求めている。
・Castaneda:わたしの大きな欠点は説明を求めた がると思っていたのだが。
・Don Juan:いや、そうではない。お前の欠点は都合の良い説明、お前とお前の世界に合った説明を求めるところにある。わしが反対するのは、お前なりに辻つま を合わせようとすることだ。呪術師も自分でものごとを説明するが、お前のように強引ではない。(カスタネダ『未知の次元』名谷訳,p.14)
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古い民族誌的形式と闘うこと、あるいは古い民族誌的形式の ために戦うこと、それを利用し、結びつけること、その抵抗を克服すること、あるいはその中に立脚点を見いだすこと。垂水源之介
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「学者としての私にとってもっとも興味深いものは、粗雑な 政治的真理などではなく細部(ディテール)なのである」サイード,1986:15
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The conditions of society which brought it forth and nourished
it have long disappeared; but as those far-off stars which once were
and are not, still continue to shed their rays upon us, so the light of
chivalry, which was a child of feudalism, still illuminates our moral
path, surviving its mother institution. It is a pleasure to me to
reflect upon this subject in the language of Burke, who uttered the
well-known touching eulogy over the neglected bier of its European
prototype. - Inazo Nitobe, BUSHIDO, 1899.
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「観念論哲学全体を知識人のユートピアの表現と定義するの は、容易にできることである。知識人は、そのユートピアによって自らを「独立」で、自立的で、それ自身の性格を与えられた存在と考えるのである。」グラム シ『獄中ノート』(QCp.1515;PNp.8)
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様式とは権力である ホッブス『リヴァイアサン』
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人間は素面で語るときいちばん自分自身でなくなる。彼に仮 面を与えよ、そうすれば彼は真実を語るであろう オスカー・ワイルド『芸術家としての批評家』
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経験は語りに変形されなければならない。 ラボフ
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「投薬という医学的処置も、笞打ちがそうであるのに劣ら ず、懲らしめの一種なのだから」1214b、アリストテレス、エウデモス倫理学
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[Omnis mundi creatura quasi liber et pictura nobis est, et speculum. Nostrae vitae, nostrae mortis, nostri status, nostrae sortis fidele signaculum.]
[この世の被造物はみな我々にとって、いわば本や、絵や、 鏡のようなものだ。我々の命、我々の死、我々のいる位置、我々の運命にとっての確かなしるしとなりうるのである](アラヌス「薔薇の続唱」)
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「権力の管理制度として民主主義は最悪ではあるけれど—— 政治はやはり人間の最悪の面を引き出すから——、唯一可能な政治形態ということになるのである」(R・ドーア『貿易摩擦の社会学』)
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「各時代の思想はその技術に反映される」ノーバート・ ウィーナー『サイバネティクス』こちらへどう ぞ!
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「真の審問とは、ラディカルになるかどうかにあるのでは ない、どういうラディカルになるかなのである」キング牧師
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「多元論とは、中心的権威が反対意見を受け入れるかのよう に見せかけて実は骨抜きにするために用いる方法論のことである」ガヤトリ・スピバック
「たとえばひとはそうですね、フランスで産み出されている理論的な事柄の一部は、アフリ カや、インドや、こうしたいわゆる自然な場所からきた人々には、自然に手に入ると言われています。もしひとが啓蒙主義以後の理論の歴史を吟味してみれば、 これまでの主要な問題は自伝の問題であったのです。つまり主体的構造が事実、客観的真実を与えることができるのです。こうした同じ世紀の間、こうした他の 場所に見いだされた「土着の情報提供者」の書いたものは、疑いもなく民族誌学、比較言語学、比較宗教学など、いわゆる諸科学の創始のための客観的証拠とし て扱われました。だから再び、理論的問題は知識のある人にのみ関連してきます。知識のある人は自我にまつわるすべての問題を持っています。世間に知られて いる人は、どういうわけか問題性のある自我をもっていないように思われます。」
(スピヴァック,1992:119-120)『ポスト植民地主義の思想』彩流社